26 神罰 1
「え?」
ユキは思わずおかしな声を出してしまった。顔もきっと変な顔をしていたに違いない。だがそんなことはどうでもいいぐらいの話だった。
「神を殺す?何を言ってるんだ。確かに僕は出来ることならなんでもやるつもりだったけど、神殺しなんて。」
馬鹿げてる。ユキは心からそう思った。目の前の少女が何か言い間違えをしたのではないかとも考えたが、訂正する素振りはない。
(そんなに興奮しないで。別に不可能なことを言っている訳じゃないんだし。)
「いやいや不可能だろ。なんだよ神殺しって。それにセシルの呪いと神なんの関係があるんだ。」
ユキは驚きで少し混乱していたが、1番気になるのはやはり呪いとの関係だった。
「それにお前本当になんなんだ。神殺しをしたいなんて。この状況から見て、普通の人間じゃあ無さそうだし、やっぱりちゃんと説明してもらわないとわけがわからない。」
ユキは状況を整理し、情報を得るため彼女に聞いた。彼女は10秒ほど沈黙したあと口を開いた。
(そうね、このまま話をしていても仕方ない。私が説明するからあなたはそれを信じて。まあ流石に無理があるとは私も思ってるけどとりあえず私の話を信じて。)
「……分かった。とりあえず信じる信じないは置いておいて、話を聞かせてくれ。」
その言葉を聞いた彼女は静かに語り出した。
これは私でさえ、どのぐらい昔なのか分からないぐらい昔に起きた出来事。私は辺境の小さな村に住んでいた。父と母それに私の3人家族で、裕福とは言えなかったが毎日がとても楽しかった。そして私の楽しみは、父が商人をやっていたので一緒に王都に行くことだった。そして大好きなユナ姉さんと遊ぶ事だった。ユナ姉さんは当時私が住んでいた国のお姫様だったらしいが、当時は別に王族が1人で外に出歩いても、大丈夫なぐらい平和だった。ずっとこの平和が続くんだろうなと私は思っていた。だがそんな私の想像は直ぐに壊された。その日も私は父と一緒に王都に来ており、ユナ姉さんと一緒に遊ぶつもりだった。だが急に嵐が来た。さっきまでものすごくいい天気だったのに、こんなのおかしい。私はそんな事を考えていると空から何かが降りてきた。それはまさに神話等に出てくる天使だった。しかし天使なんて生物は存在しない。あくまでも神話なのだから。王都の人達も不思議に思いどんどん家から出てきた。そこからだ私達の平和が壊れたのは。天使達はどんどん出てきて恐らくは10万体ほどいただろう。王都の人や私達は少し不安だったが、それより何が起きるのか楽しみだった。だがそんな楽しみは一瞬で終わる。天使達が人々を攻撃してきたのだ。みんな逃げた、私も逃げた。だけどみんなどんどん死んでいった。だけど私は生き残った。血と死体に囲まれていながら生きていた。何が起きているのか私には理解出来なかったが、とりあえず父を探した。結論から言えば父は見つかった。体がバラバラになった状態で。私は泣いた、多分人間の一生分以上泣いた。だけど父は帰ってこない。その事実が分かるとさらに泣いた。
ここにいても仕方ないと王城を目指すことにした。王城を目指している最中には生きている人は見つからなかった。私は王城に着くと目の前には生き延びた人が集まっていた。そしてその中にはユナ姉さんもいた。王族として指揮をとっているみたいだったが、私はユナ姉さんに抱きついた。
お互いの無事を確認すると私達はまた泣いた。だが本当の地獄はここからだった。




