25 目覚め
あれどうしたんだ。体が動かない。たしか僕は·····そうだフレイムタイガーと戦ってでも勝てなくて、そう鈴を鳴らしてどうしたんだ?そこから記憶がない。
ユキは必死で思い出そうとするが思い出せない。するとどこからでもない、ユキはの中から声が聞こえてきた。
(私が助けた。)
「お前もしかしてあの時の声。」
(話はまず3人を外を安心させてから。)
彼女の声を聞くと、ユキは一気に覚醒した。
「あ···れここは僕の部屋なのか。」
ユキは周りを確認する人はいない、しかし家の中には誰かがいるようだ。ユキは重い体を起こそうとするが上手く動けない。仕方なく近くに置いてある、水差しを取ろうとするが上手く掴めず、床に落としてしまった。だが落とした音でユキが目を覚ましたことが分かったようだ。物凄い勢いの足音が3つ聞こえる。
「ユキさん大丈夫ですか。」
1番最初に来たのはセシルだった。その後マサト、マツ会長の順番で部屋に入ってきた。
「おいユキ無事か?体はなんともないか。」
「ユキ君目を覚ましたのか。」
ユキは自分の体を確認する。しかし特に目立った外傷は無く、上手く体を動かすことが出来ないぐらいだろうか。
「うん。僕はなんとか大丈夫みたいだ。みんなもどうやら大丈夫そー」
セシルがユキに抱きついてきた。しかも全力で。大丈夫とは言ったが、さすがに怪我をしている状態で全力で抱きつかれたら、さすがに痛い。しかし今にも泣きそうな顔でいるセシルにユキは何も出来なかった。
「コラコラ、セシルちゃんそんなに強く抱きしめたら、さすがにユキ君も痛そうだよ。」
マツ会長が止めに入るが、セシルは聞こえてないのか、一向に止める気配がない。仕方ないのでユキはこのまま話を進める事にした。
「とにかく僕は大丈夫だから、何があったのか教えてくれるかな。」
「·····教えるのはいいが、ユキお前に後で話がある。」
マサトはいつもより数段声を低くして、かなり雰囲気を出しながら、ユキに言った。そしてユキは
「·····」
何も言えなかった。何を言われるのかは大抵分かっているが、それでも何も言えなかった。そんな雰囲気を感じ取ったマツ会長が、話を変えようと事件の話をし始めた。
「今分かっている事だと、強盗団虎の爪がマツブキ商会を襲撃をした。そしてマサトが虎の爪を追い詰めたが、虎の爪の頭領と思われる者が召喚石にてフレイムタイガーを召喚。しかし何故かフレイムタイガーは召喚者の頭領の命令を聞かず、そのまま頭領を殺害、その混乱に応じて虎の爪の団員や来ていた、お客様は逃げた。しかし私達には気を失っていたセシルちゃんと傷を負ったマサトがいて逃げるのが困難だった。そこで君が囮になり、私達は逃げることが出来た。そして私達が戻ってきたら、フレイムタイガーは首を斬られ死んでおり、ユキ君が1人倒れていた。とゆうのが今のところ分かっている事だね。君には聞きたい事があるんだけどいいかい。」
フレイムタイガーが死んでいた?一体誰がいやそんなの僕しかいなかったなら、僕がやったのだんだろう。だけど僕にはその記憶が、
直後ユキに今まで受けたことの無い、激しい頭痛がきた。そして記憶も。
な··んなん···だ。この痛みは。そしてなんだこの記憶。天使?神?魔神?何を言っているんだ。これは僕じゃない、ならこれは一体誰なんだ。ダメだこれ以上は頭痛が酷くて考えられない。
ユキの様子がおかしい事に気がついたマサトは未だにユキに抱きついているセシルを捕まえ、外へ向かっていった。
「マツ今はまだ休ませて休ませてやってくれ。少し俺達も興奮し過ぎだった。」
「そうだね。彼はまだ疲れているみたいだ。ユキ君また後で来るよ。」
3人はユキの部屋から出ていった。次第にユキの頭痛も収まり、記憶もハッキリしてきた。
「なんなんだこの記憶は?」
(それはあなたの記憶。そして私がやった事。)
ユキはなんてことの無いただの独り言のつもりはだったのだが、返答が聞こえてきた。
「誰だ。」
ユキは周りを確認するするが人の気配は無い。そしてそのまま声は自分の中から聞こえて、来るのが何故か分かってしまった。そして1分ほど状況を飲み込むため心を落ち着けた。そして完全に心を落ち着かせたらまた声が聞こえてきた。
(落ち着いた。大丈夫だと分かっていても、心配するなんて不思議。)
「不思議なのは僕の方だ。一体これはなんなんだ。なんなんだこの声は、なんなんだこの記憶は。何か知っているなら教えてくれ。」
ユキは若干疲れきった感じでお願いした。未だにユキは落ち着いてはいるものの何一つ分からなかった。
(さっきも言ったけど記憶はユキのもの。だけどそれはあなたがやった事じゃない。私がやった事。忘れたの?あの時あなたは言ったじゃない私の目的を助けてくれるって。)
今の言葉でユキは完全に思い出した。
そうだ僕はセシルの呪いを解く事が出来ると聞いて、彼女の目的の手伝いをすると約束したんだった。今思えば、いくら命の危険があったからとは言え、簡単に受け入れてしまったな。だけど僕はこうして生きているし、セシルの呪いを解けるかもしてないんだ。きっとこれで間違えじゃない。
(あなたは間違ってはいない。だけど正しくも無い。)
「え?」
ユキは心を読まれているのかと考え、そうゆえば本当に心が読める事を思い出した。それにここまで来たらもうなんでもありだと考えるのを放棄した。
(あなたは私の目的を手伝う気がなければ、今ここにはいない。だけど私の目的を手伝うのならあなたは沢山傷つく事になる。どちらが良かったのかは分からない。)
「·····分かった。少し強制的とも思えなくもないが、セシルの呪いが解けるなら、別に普段でもそのまま目的の手助けをしていただろうし。それでその目的ってのはなんなんだ。」
ユキはどうせこいつには心が読まれているなら、嘘は通じないと思い本心で喋った方が良いと考えた。セシルの呪いを解くことはユキにとってとても重要な事ではあるし。ユキに頼んだとゆうことはユキに出来ることだろう。そう甘く考えていた。
(そんな甘い考えじゃ直ぐに、死ぬよ。)
「うっ。」
(私の目的は神への復讐。)




