15 買い物
「よし、2人とも準備はいいか?いいならそろそろ出かけるぞ。ってまだできてないのか、2人とも早くしろ。」
マサトは玄関でユキとセシルに、急ぐように促した。しかし2人は未だに来る様子は無かった。なのでマサトはもう一度聞いてみることにした。
「おい、どうしたんだ。早くしないと、もうそろそろ昼になるぞ。」
ユキとセシルは悩んでいた。その悩みとは
((どんな格好していこう))
ユキもセシルもほとんど外出したことが、無かった。更にお互いにまだ出会って数日しか経っていない。のでお互いの趣味等を全く理解していなかった。自分の好きな服を着ればいいと傍から見れば言えるが、相手に少しでも良い印象を与えようともう既に30分程経っていた。そんな事は知らずにマサトは待ち続けた。結局3人が家を出たのはそれから1時間後であった。
「ここが商店街。」
「なんだユキは来たことないのか?ってそりゃあ伯爵家の人には、必要な物はここには置いて無いから仕方ないか。」
ユキは感動していた。噂では聞いたがあったが、実際に商店街に来たのは初めてだった。そんなユキを見てセシルは
「ここには、大抵の物が置いてますよ。きっとユキさんの探し物も見つかりますよ。それよりパパ今日は何を買うの?いきなり朝食の時に、ユキさんの物を買うって。ユキさんの食器等は予備のをまわすから要らないって言ってたよね。何を買うの?」
マサトはセシルの質問になんて答えようか迷う。ここで武器と言ってしまえばなぜと聞かれるだろう。マサトの武器を3人で買いに来る必要はないし、そもそも買うのはユキの武器だ。大きさや重さがちがすぎて嘘をつくのは不可能だろう。マサトがなんて言おうか悩んでいると、ユキが服を引っ張ってきた。
「マサト、これは僕から説明するよ。別に隠して置く必要無いんだし、いずれセシルも気づくよ。」
ユキはセシルに元々、自分がマサトに強くしてほしいといずれ言うつもりだった。ユキが強くなる目的は今度は誰かを守りたいからだ。そしてユキが1番守りたいのはマサトとセシルの2人だ。マサトは自分で自分を守る力はあるが、セシルは自分を守る力は無い。なので少なくともセシルは自分が守ろうと思っていた。それにマサトは傭兵だ、常に家にいる訳では無いし、命を落とす事もあるかもしれない。そんな時は自分しかセシルの事を守る人がいないとユキは考えていた。なのでセシルに隠す必要は無い。
「パパ、ユキさん隠すってなんですか。家族内で隠し事はなしですよ。早く教えてください。」
セシルは自分に何か隠し事をしている2人を問い詰めようとした。ユキはちゃんとセシルに何を買う目的なのか伝えることにした。
「セシル今日は、僕の武器等を買いに来たんだ。」
その答えを聞いてセシルは
「え……ユキさんも傭兵に危険な所にパパと行くんですか。」
悲しそうな顔をした。少し泣きそうでもある。
「いいや、僕は傭兵にはならないよ。僕が強くなりたいのはいざって時のためにセシルやマサトを守りたいからだよ。もう大切な人を失いたくないからね。」
その答えを聞いてセシルは今度は明らかに安心していた。その様子を見てマサトは心を痛めた。
(セシルは俺に傭兵はやってほしくないだろう。いつ死ぬとも分からない仕事に行く父親を毎回待ち続けているのは俺がセシルの立場でもきつい。だがすまないセシル、お前の呪いを解く手段を探すためにはいろんな場所に行かなければならないんだ。もしお前の呪いが解けたら俺とセシルとユキの3人で仲良く暮らそう。それまで辛抱してくれ。)
「そうだったんですか。なら私もユキさんの事を守るますよ。なんだった家族ですから。ん?パパどうかしたんですか、そんな顔をしてせっかくのお出かけなんだからパパも楽しもうよ。」
「ああそうだなそしてもう目的地に着くぞ。」
ユキとセシルはまさかと思った。目の前の建物は商店街の中央にあるエルランド王国一と言われる、マツブキ商会だったからだ。




