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世界も人も狂ってる  作者: 拓斗
2 エルランドでの生活 (1)
14/67

14 朝の訓練 2

「おーいユキ、起きてるか?今日も朝の訓練始めるぞ。」


マサトは今日もユキを起こしに来た。しかし昨日とは違い、ユキも昨晩は早めに寝て既に起きていた。


「なんだ起きてたのか。いい心がけだ、それから昨日は言い忘れてたがおはようユキ。」


「ああおはようマサト。」


お互いに朝の挨拶をするとマサトは庭に向かい始めた。ユキも魔剣リディアを持ちマサトを追う。セシルを起こさないように、2人とも移動中は何も話さなかった。だが庭に着くとマサトはユキに質問する。


「ユキそういやお前の魔法適性はいったいなんなんだ。そんでどのぐらい使えるんだ。」


マサトはユキに剣だけではなく、魔法や槍、弓、格闘術等も教えるつもりでいた。剣は昨日見た、今日は魔法を教えるつもりでいた。しかし魔法適性が違う属性の魔法は使う事すら出来ないので、訓練を始める前に聞いておく必要がある。


「え、マサトって魔法も使えるのか。僕はてっきり剣の専門だとばかり思っていたよ。」


「ある程度強くなったやつは、剣も魔法もどっちもそこそこ使えるんだよ。ちなみに俺は剣は勿論、槍、弓、格闘術、魔法そのあたりなら全部使えるぜ。でもまあ剣以外は専門のやつには負けるだろうがな。だがいろんな事ができる方が結構役にたつんだぜ。まあ器用貧乏になるかもしれんがな。これは俺の自論だ、ユキが剣だけを習いたいならそれでも構わない。」


ユキはマサトの言う事も一理あると考えた。


(専門には勝てないにしろ、習っておく必要はあるかもしれない。常に剣を持ち歩いている訳では無いし、時には魔法や弓で戦う事もあるかもしれない。それに何も武器を持たず魔力も尽きてしまった時に、何も出来ないというのは困る。格闘術も習っておこう。)


「いや、マサト魔法やその他も僕に教えて欲しい。いざという時に何も出来ないんじゃ仕方ないからな。それから僕の魔法適性は風と闇だ。風は

自分で言うのもなんだがそこそこ使えると思う。だけど闇はせいぜい目くらまし程度しか出来ないと思う。召喚魔法も全然ダメで魔獣も魔物も召喚出来ない。頑張ってもただの動物ぐらいしか呼び出せないと思う。」


ユキの言葉を聞きマサトは少し考える。10秒程考えたあとマサトはユキの今後の訓練のスケジュールを決めた。


「残念ながら、俺の魔法適性は火と土だ。魔法を教える事は出来ない。だがなかなか闇とはなかなかいい属性だなユキ。」


「いやだから闇はほとんど使えないんだって。」

ユキはマサトにもう一度説明した。だがマサトの言っていたように全て覚えたかった。


「いやいや目くらまし程度って言ってるがな、戦闘中目くらまし食らったらほぼおしまいだぞ。正々堂々戦えって言うやつもいるが正々堂々戦っても死んじまったら意味ねーんだから。別に火力が全てじゃあ無いんだし。それに魔獣や魔物は戦闘能力は高いがただの動物にだって良さはあるぞ。姿が小さかったり、特殊な環境でも生活出来たり。戦闘では使えなくても偵察とかなら優秀だと俺は思うぞ。」


なるほどとユキは思った。ユキは常に戦うで勝つことを優先していた。そのため勝負が決まる火力で物事を考えていた。だが現実は小細工や罠、不意打ち等もしなければ勝つことは難しい。ユキはまた1つ考えを改めた。


「それじゃあ魔法は自分で学ぶことにするよ。マサトは剣や格闘術を教えてくれ。」


マサトは少しユキは焦っているのではないかと考えた。

(ユキは大人よりも大人だがまだ10歳だ。だが実の両親を殺されたことで、俺やセシルがまたいなくなることを恐れているんだろう。……だが無理は禁物だ、ここは1つ教えてやらんとな。)


「ユキ闇魔法は初級だけにしておけ。」


「え?」


マサトは先程まではいろんな事ができる方が良いと言っていたのに、急に初級魔法だけにしておけと言われてユキは混乱した。

マサトはそんなユキの様子を見て自分の考えがあっていた事に気づく。


「ユキいろんな事が出来るのはいい事だが、それで無理をして倒れたり、全てが疎かになっては元も子もないぞ。魔法は風魔法に集中しろ、闇魔法は目くらましや動物が操れる程度で問題ない。今闇魔法をいつでも使えるように極めるんだ。」


ユキは納得出来なかった。だが自分は戦闘についてはほとんど知識がない。自分より圧倒的に経験と知識があるマサトに、訓練中は従った方が良いとユキは判断した。


「分かった。少し無茶をしようとしていたかもしれない。闇魔法は初級魔法だけにしてみるよ。それで今日はなんの訓練をするんだ?」


「うーん魔法を今日はやろうと思っていたんだか、属性が違うなら仕方ない。魔法はユキの自主練に期待するとして、まあ今日も剣だな。早く槍や弓を買わないとだな。ふむ.....よし今日買いに行くか。セシルも連れて。」


マサトのいきなりの提案にユキは驚いたが、ありがたかった。


「分かった、ありがとうマサト。」


「なにいいってことよ。それより早く始めるぞ。随分と話しててもうすぐ日が昇るじゃねーか。」


「ああだから今日は最初から本気でいかせてもらうぞ。」

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