13 朝の訓練 1
「おいユキ起きろ、もう朝だぞ。」
ユキは見慣れない場所で目を覚ます。
(ああそうだっだ。僕は昨日からこの家の家族になったんだった。)
ユキは重い体を起こしながら、窓の方をみる。
「マサトどうしたんだ。まだ日は出でないぞ。こんな早くから一体なんなんだ。」
ユキはマサトに不満をぶつけた。昨日はいろいろあって疲れているのだ。せめて今日ぐらいは、もう少し眠りたい。だがそんなことはお構い無しとマサトはユキのことを起こす。
「おいユキ、お前昨日言ってただろ。強くなりたいって。だから鍛えてやろうと思ったのにいいのか。別に俺はどうでもいいが。」
そうだユキは今度は守られる側ではなく、守る側になると決めたのだ。マサトの話を聞いてユキは一気に覚醒した。
「ああそうだっだな。けれどいいのか、昨日は悩んでいたみたいだったが。」
マサトは確かに昨日は、ユキに武を教えるべきか悩んでいた。その理由は部屋の隅に置かれている魔剣リディアだ。おとぎ話にも出てくるぐらい有名な剣であり、マサトは自分が知っている伝説を思い出していた。
魔剣リディアとは、世界を滅ぼすと言われており、かつて神と魔神の戦争があった時に、失われたと言われいた魔剣だ。魔神はエルフ、ドワーフ、獣人、魔族などを使役しており、神は人間達を使い戦った。だがそもそもの身体能力が劣る人間は常に敗北しており、その事に危機感を持った神は10本の聖剣を人間に授けた。聖剣を手に入れた人間達により戦況は人間と神側が有利になった。しかしどうやったのか聖剣の1本を魔神は人間達から盗み出した。その聖剣に自身の力を入れて人間と神を滅ぼそうとした。しかし神と魔神の2神が1本の剣に力を込めたことにより。聖剣は暴走、結果魔神自身と魔神陣営のエルフ、ドワーフ、獣人、魔族の9割を消し去ってしまった。その暴走した聖剣は聖剣として扱われず。魔剣リディアと呼ばれるようになった。最終的には聖剣5本の犠牲によりが魔剣リディアを破壊した。とゆうのが一般的な伝説だ。だがら聖剣の所有者と神を今でも信仰している者もいるし、アロマス聖国は神を信仰してできた、宗教国家だ。一方エルフ、ドワーフ、獣人、魔族達は今でも見かけると殺戮対象としてアロマス聖国から聖騎士達が派遣される。魔剣リディアに至っては物事の悪いことは全て、魔剣リディアのせいにされるぐらいに世界から嫌われている。
そんな魔剣の所有者であるユキに果たして、武を教えていいのか、実はまだマサトは分からなかった。がセシルのことを助けてくれると言ってくれた、ユキのことを信頼しており、ユキなら間違った使い方をしないだろうと考えていた。
「ああその件はもういいんだ。ユキなら大丈夫だろ。それより早く庭に出てこい、その魔剣を持ってな。」
マサトは言い終わるとさっさと部屋から出ていってしまった。ユキは急いで持ってきた服の中で動きやすそうな服に着替え、言われた通り魔剣リディアを持って庭に向かった。
ユキが庭に着くとマサトは1人で素振りをしていた。しばらく様子を見ているとどうやら終わったようだ。
「きたかユキ、まずはお前がどのぐらい出来るのか見てやる。要は模擬戦だ、だが俺もお前も真剣を使う。分かっているだろうが当たれば最悪死ぬことになる。俺は教えるのが下手だからこれしか出来ない。まあ実戦なんて全部真剣なんだ、あんまり緊張しないでやってこい。」
マサトは話を終えると構えてきた。ユキは一気にマサトが大きくなった感覚を受けた。ユキは一瞬怯んでしまった。
「おいどうした。実戦じゃその一瞬の怯みが命取りだぞ。早く構えろ。」
マサトはユキに注意をする。ユキはまだマサトが大きく見てたが、心を落ち着かせてリディアを鞘から抜いた。そしてマサトの構えを真似する。だが何かおかしい。体に変な感覚がある。これは
「俺の構えを真似するのは構わないが、たぶんお前には向いてないぞ。まあ今回はそれでも良いがそのうち自分の構えを見つけろよ。さて俺はいつでもいいぜ、早く来い。」
ユキはマサトに一気に斬りかかった。だが見事に躱されてしまった。
「来いと言って本当に来るやつがいるか。それから相手の出方が分からないうちにあんまり突進するな。」
ユキは今度はマサトの忠告通りよく観察してみることにした。だがマサトはユキの目の前から消えていつの間にかユキの後ろに立っていた。」
「観察するのはいい事だが、そればかりに気を取られていると、やられちまうぞ。それから観察にしても相手だけじゃあなくてもっと広く観察しろ。そうしないと意味ないぞ。」
ユキは急いでマサトから距離をとりもう一度マサトと向かい合った。
(だけどどうすれば、正直マサトに正面から攻撃しても躱されることは最初に分かっているし、なら隙を作るまでだ。)
ユキは最初と同じようにマサトに一気にに斬りかかった。しかし最初とは違い少しフェイントを入れてみた。だがマサトにはやはり効かなかった。
「フェイントは良いが、本人が素直すぎるな。気づいてないかもしれんが、目でバレバレだぞ。」
そして1時間後ユキは庭で倒れ込んでいた。一方マサトは涼しい顔で立っていた。
「よし今日はこのぐらいで終わるとしよう。そろそろセシルも起きるだろうしな。ユキは今日言われたことをちゃんと覚えておくんだぞ。」
ユキは返事も出来なかった。マサトはそんなユキを見て自分も最初はこんな感じだったと懐かしんだ。
「ユキ先に行ってるぞ。ちなみにこれから毎日朝は訓練するからな。そのつもりでいろよ。」
マサトは本当に行ってしまった。だがユキは未だに動けずにいた。




