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2章 第7話 護衛。 ???。

 


(護衛視点)



 アンナ様とルーナの貴族令嬢の嫌味の応酬を主人の後ろで見守って思った。


(女ってこええええ! アンナ様かっけええ!)


 華麗にあしらった主人の姿に『漢』を感じたのであった。


(尊敬します!)


 護衛は主人の後ろ姿を尊敬の目で見つめた。


 残念ながら、アンナ様が求める恋愛的な感情である『恋心』はちっとも起こらなかったのであった。


 仮に護衛がアンナ様に惚れて想いを告げても、アンナ様は内心から喜びそして断るのであろう……。結局は断るので、護衛が尊敬という感情で留まったのは正解かもしれない。





 主人の客室の前で待機していると、黒髪の青い瞳の青年であるヘンリー王子が現れた。垂れ目な優しげな風貌は男から見ると弱々しく見える。けれども、こういった風貌に女性の庇護欲が刺激されるというのはナンパ大国出身の護衛は知っている。


(一体何人女を泣かしてきたのだろう)と護衛はあながち間違えではない疑問を抱いた。


 王子は護衛の問う様な視線に気付かずに、要件だけを告げた。


「アンナ様をちゃんと守って欲しい」


 守っているつもりである護衛は首を傾げた。王子は真剣な目をしていた。


「きっと暗殺者が送られる。夜は特に警戒して欲しい。俺も出来る限りの事はする」


 度々暗殺されそうになったヘンリーからすれば、夜の警備は重要だと本能で知っていた。だが、この護衛はナンパ大国出身。ルーナ国での常識はきっと通じないと見事に察した王子であった。


 案の定、護衛は「えええええええっ!?」と驚愕する。


「静かに!」


「ふごっ!?」


 護衛の口を手で塞ぐヘンリーは「黙らないとどうなるか分かる?」と殺気を放った。視線が鋭い。全然弱々しくない。めちゃくちゃ怖い。


(あっこれ黙らないと殺されるわ)


 自分の身が何より可愛いナンパ大国出身の護衛はコクコクと頷いた。





(???視点)


 厳しい顔をした眉がふた眉に別れた50代男性は絵画が並ぶサロンでタバコをふかしていた。


 格好は軍服で日に焼けた肌のまぶたの上に傷痕だと分かる一筋の線状の白い肌がある。目は無事の様で傷痕で欠けた眉も相まって歴戦の戦士の様だ。


 大きなテーブルに備え付けられた一人用ソファーに座るその男。脇には出っ歯で細身の目が大きな同じく50代頃の男がテーブルに肘を付いて座っていた。格好は貴族の服装だ。


 軍服の男は貴族の男にタバコをふかしながら問い掛けた。


「首尾はどうだ?」


 貴族の男は嬉しそうにいやらしく目を細める。


「いつでも切り捨てられる連中の娘が早速嫌がらせをしているみたいです」


 軍服の男は「ほお?」と僅かに口の端を上げた。


「大国といえども所詮は女。直ぐに泣いて国に帰るでしょう」


 貴族の男は悪いネズミの如く暗い笑みを浮かべた。


 軍服の男は「念のため、暗殺者を手配しろ。くれぐれも殺しはするなよ」と釘を刺す。


「ええ。もちろんです。大国なんて鬱陶しい。大国の配下と見られるなんて屈辱ですよ」


「弱々しい王子に嫁ぐとはこちらを配下にする意図があるに違いない。早々に帰ってもらおう」


 二人の男の笑い声が部屋に響いたのであった。


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