クリスマススペシャル☆
「……ああ戦争したい。やはりカルマ国に戦争ふっかけるか……」
ヴィント国王はピアチェーヴォレ国の侵略を諦めた為に行き場の無い闘争心を持て余していた。
血が見たい。嘆き苦しむ様が見たい。
最早病的に病んでる状態のヴィント国王は玉座で背中を丸めて悩んでいた。
「父上。如何なさいました?」
そこに現れたのは愛息子のクローヴィスだった。この晴れない想いを正直に愛息子に伝えた。
すると愛息子は提案する。
「ああなるほど。ならば今日という日にピッタリな殺戮があります。人手不足な為、父上に参加して貰えると大変助かります」
ほお。流石愛息子だ。殺戮……ふふふふ。血が滾るわ。
ヴィント国王は悪魔の笑みを浮かべその提案にのることにした。
愛剣が久々に活躍するわい。
コケコッコーー……
儂は芝生が広がる場所に建てられた臭い横長の建物を訪れた。そこには汗を流し社畜同然に働く民草がいた。
儂は嫌な予感がした。愛息子を見ると良い笑顔で説明しだした。
「今日は鶏が大量に殺戮される日です。そのお手伝いをして頂きたいのです」
「……儂がか?」
「はい。父上には血がよく似合う。是非とも血塗れになって民の為に活躍して下さい」
「……儂は国王だぞ?」
「父上はいつも最前線で民の代わりに血を浴びてるではないですか?」
「……鶏の血を浴びるのか? 儂が?」
「どっちみち赤いのですから一緒では?」
「…………それもそうか」
愛息子の言う事だ。多分間違ってはいないだろう。儂は目をギラつかせて哀れな生贄共を屠る為に愛剣を抜いた。
「フハハハハッ!! 覚悟するが良い!!」
鶏に突っ込んでいく国王を見て、作業に疲れた人は「助かりまーす」と無感動に見送った。
「「「メリークリスマス!!」」」
ここはピアチェーヴォレの城下町。毎日浮かれてるのに今日は益々浮かれてるナンパ男達は今日もナンパに励んでいた。
「俺は君のサンタクロース。愛を君にプレゼントするぜ」
「愛はモノに変えられない価値がある。私と共に愛を育みましょう」
「僕と共にヤドリギの下へ行きましょう」
そして冷めた目をした女性は返事をする。
「返品可能ですか?」
「モノの方が良いに決まっている。だって捨てれるでしょ?」
「ヤドリギの下で猥褻な事する気でしょ? 衛兵呼ぶわよ?」
ナンパ男達は固まった。それを尻目に去っていく女性達。
「「「メリークリスマス!!」」」
今年こそは素敵なクリスマスを迎える為にナンパ男達は諦めない。意気揚々と次のターゲットに向かうのだった。
カステッロ城にルーナの兄妹は招かれていた。
ディナーの席でルーナの末姫ララが感激のあまり咽び泣いていた。
「本日はお招きいただきありがとうございます。アンナ様とこうして再び相まみえる事ができ恐悦至極でございます」
「泣くほど、喜んで頂けて嬉しいわ。ララ姫は以前と随分変わりましたね」とピアチェーヴォレの女王は和かに応じた。
ララ姫の隣に座るヘンリー王子はよく喋る妹に驚いた。
「……ララってこんなに人前で喋れたの?」
妹は兄ににこっと花が綻ぶ笑顔を向けた。
「アンナ様とお喋りする為に鍛えました!」
女王の弟は胡乱げに姉を見詰める。
「……ねぇ。姉上って女性にやたらとモテるよね? 男に産まれた方がかなり楽だったんじゃ」
「だまらっしゃい。あり得ない話をしないで頂戴」
「へーへー。あーあー。今日は素敵な女性とヤドリギの下に行きたかったなー」
女王はにっこりと凍える笑みを浮かべた。
「行かせないわよ?」
その話に食い付くのは恋愛物語大好きな引きこもり姫ララであった。
「それってあのジンクスですか!? よくご存知ですね!」
「うん。知ってるに決まってるじゃん。ここはピアチェーヴォレだよ? 女性を口説く術は必須科目よりも重要課題だよ」
話についていけない普通の男性代表のヘンリー王子は首を傾げた。
「ジンクスって何ですか?」
女王は詳しく説明した。
「ヤドリギの伝説があるの。クリスマスにヤドリギの下でキスをするとヤドリギの祝福を貰えるらしいわ。それは結婚の約束したのと同等の意味だとか。あと、ヤドリギの下にいる若い女性はキスを拒めないの。拒んだら翌年の結婚のチャンスを逃すと伝えられているわ」
「姉上っくわっしっ。誰とキスつもりだったの?」
「……ジーノ。姉さんいい加減に怒るわよ?」
「へー。面白そうですね。アンナ様一緒に行ってみませんか?」
「「「!?」」」
「お兄様ッ!? 大胆ッ!?」
「あっ。姉上が逃げた……」
メリークリスマス!!☆彡




