第18話 不意打ち。
戦争は無事回避され役目を終えた皆がそれぞれの国に帰った。ルーナの第一王子である俺もヴィント国から馬車を借りて帰るとこだった。なんとびっくりピアチェーヴォレの裏切り者の男達数人が一緒に同乗してるのだ。俺は嫌がったのだが、「ヘンリー王子を無事に送り届けないと殺されるんだよぉぉおおお!! 人助けだと思って乗せてぇぇえええ!!」と情け無く縋り付かれたので仕方なく許可した。ピアチェーヴォレを裏切る真似をしたんだ処刑されて当然だと思う。
そもそも本当に裏切ったのか疑問に思った。あまりにも上手いこと戦争が回避されたのだから疑って当然だ。俺はゴミを見るようにナンパ男達を見た。
「本当にピアチェーヴォレを裏切るつもりだったのか? あれは演技か?」
ナンパ男達は「へ? あっ! そ、それは勿論演技ですよぉぉおおお!! と、当然じゃないですかぁぁあああ!!」と慌てふためく。
怪しい。怪し過ぎる。
ナンパ男達は話題を逸らそうと別の話題を持ち出してきた。
「そういえば女王様からの伝言ですけど……」
女王様からの伝言と聴いて俺はドキッとした。うぅ ふられたときの心の傷が疼く。
「返事は はい。喜んで だそうです。あの時は取り乱して申し訳なかった とか言ってましたよ。何の事かわかりませんが」
俺にも残念ながら何の事だかさっぱりわからない。俺は結婚の申し込みしかして無いし、いったい何のことやら……ッツ!?
ある可能性に気づいた。顔が熱くなってきた。これは不意打ち過ぎるっ。
「顔真っ赤ですよ? 熱でもあるんですか? あっもしかしてヘンリー王子もあの女王様から怒りの鉄槌を受けちゃいましたか? 俺たち仲間ですね。ハハハハハ」
……全く違うのだが、今は反論する余裕が無かった。