序章 社交界デビューで学んだ事。
あれは青春真っ盛りの17歳の頃であった。私はまだ王女で今のように仕事人間でなく、恋に恋をする乙女であった。遅めの社交界デビューの舞踏会にて素敵なラブロマンスが始まる事を期待していた。
だってさ周りを観察してるとイケメンな貴族が女の人を口説いてるんだよ。
「最近目の調子が悪いんだ。君と出会ってから、君しか見えない」
だってさ! 私にも言ってくれる人いないのかな? ドキドキ
燃えるように真っ赤な長いウェーブがかかった髪は背中に流して、つり気味な緑の瞳はキラキラと輝かせ、髪と同じ色の真っ赤なオフショルダーのドレスを纏い私は貴族達に挨拶した。
男の人も女の人も王女である身分である私に対してきちんと丁寧に挨拶した。それは良かったのだが、なんか思ったのと違う。私が「あっこの人イケメンだ!」と思って頬を染めて視線を送ると逸らされるのだ。「まあ。気のせいかな」と思ったのだが、年頃の少年や青年とことごとく視線が合わないのだ。周りでは女性に男性が息するごとく口説いているのにだ。
あれ? おかしいな。と思った。男性から当たり前のように女性を誘いダンスを踊る。次々と増えるダンスに興じる人々。私は結局最後まで誘われずに舞踏会は幕を閉じた。
現実って怖すぎ。もしかして私は超絶ブスに見えるのか!? とその晩は悩んだ。そして、私の考えに考えた結論。恋愛なんてあやふやなものに期待するだけ無駄だ。この日から私は恋愛は恐ろしいものと認識したのであった。
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