61話:掲示板の頂点と、不穏な招待状
よろしくお願いします。
試験終了から数時間。
学園の正門前に設置された巨大な魔導掲示板の周りには、黒山の人だかりができていた。 合格か、不合格か。人生を賭けた受験生たちの悲喜交々(ひきこもごも)の声が響く中、私たちは少し離れた場所からその瞬間を待っていた。
やがて、掲示板に光が灯り、文字が浮かび上がる。
「……あった。一番上だわ」
私の呟きに、シアンとルフスが同時に身を乗り出す。 そこには、他の合格者とは一線を画す「金色」の文字で、私たちの番号が刻まれていた。
【特待生・首席:777番 フィラル】 【特待生:778番 シアン】 【特待生:779番 ルフス】
「首席……。ふふ、やったわ!」
思わず拳を握る。二年前、門すら潜れずに泣いたあの日の光景が、黄金の文字に塗りつぶされていく。
「首席はフィラルか。まあ、あのアイス・インパクトを見せつけられちゃ、納得するしかねぇな」
シアンが悔しそうに、でもどこか嬉しそうに私の頭をぽんぽんと叩く。
「俺たちが二位と三位か。悪くない……。これでようやく、お前と対等な立場でこの学園を歩ける」 ルフスも満足げに喉を鳴らした。
だが、喜びも束の間。掲示板の前でざわついていた受験生たちが、一斉に道を開けた。 そこを歩いてくるのは、銀の縁取りがされた重厚なローブを纏う人物。
「お前たちか。試験会場を、あんな……その、『独壇場』に変えたのは」
現れたのは、長い髭を蓄えた厳格そうな老人だった。その後ろでは、私の師匠であるラクサスが「あーあ」という顔で頭を掻いている。
「学園長、あまり彼らを威圧しないでいただけますか? 私の可愛い弟子たちが怯えてしまいます」
「ラクサス君、君の『可愛い』の基準を疑うよ。試験官三人が腰を抜かして、今も救護室にいるんだぞ?」
学園長と呼ばれた老人は、鋭い眼光で私たちを値踏みするように見つめた。その魔力は、これまで出会った誰よりも深く、底知れない。
「フィラル、シアン、ルフス。……お前たちの実力は、もはやこの学園の『生徒』という枠に収まるものではない。詳しい話をしたい。……ついてきなさい」
その声には拒絶を許さない響きがあった。 周囲からは「特待生なのに、いきなり学園長直々のお呼び出し……?」と驚愕と羨望の視線が突き刺さる。
(……せっかく合格したのに、前途多難ね)
私は心の中でため息をつきつつ、シアンたちと目配せをして、威厳たっぷりな学園長の背中を追うことにした。
読んでいただきありがとうございます。
面白い展開になってきましたねぇ




