60話:雷鳴と咆哮の共演
よろしくお願いします!
「次! 受験番号778番、シアン! 前へ!」
フィラルの余韻が残る中、シアンが気だるげに舞台へ上がった。 対戦相手は、フィラルの魔法を見て腰が引けているが、シアンの細身な体格を見て「女よりはマシだ」と強気に剣を構える。
「おい、ルフス。瞬きすんなよ。……三秒で終わらせる」
シアンが腰の剣に手をかけた瞬間、会場の空気がピリリと帯電した。 相手が叫びながら踏み込んだ――その、刹那。
「――『雷迅』」
パチッ、と蒼い火花が弾ける音が響いた時には、シアンはすでに相手の背後に立ち、静かに剣を鞘に収めていた。 一瞬遅れて、対戦相手の剣が根元からポロリとこぼれ落ち、本人は何が起きたか分からぬまま膝から崩れ落ちる。
「……一秒だ。次は俺の番だな」
入れ替わりで舞台に上がったのは、野性味溢れるオーラを纏ったルフスだ。 彼は武器すら持たず、ただ素手で悠然と構える。その黄金色の瞳が鋭く光った。
「は、始めっ!」
試験官の合図と同時に、ルフスが地を蹴った。 それは魔法というより、もはや災害に近い衝撃。
「――『竜王の衝撃波』!」
ルフスが力任せに空気を殴りつけると、発生した衝撃波が暴風となって舞台を駆け抜けた。 対戦相手は防御する暇もなく、木の葉のように舞い上がり、そのまま場外の壁まで一直線に吹き飛ばされる。
会場は、フィラルの時とはまた違う、本能的な恐怖に包まれた静寂に支配された。
観客席で見守る私は、呆然とする周囲を横目に、こめかみを押さえて溜息をつく。
(……二人とも、私の『加減が難しい』って言葉、一文字も聞いてなかったみたいね)
ありがとうございました。




