59. 波紋とカーテシー
遅くなりました。
よろしくお願いします。
『波紋とカーテシー』
「……え、今、何が起きたの?」
誰かがぽつりと漏らしたその言葉が、静寂に包まれた会場に波紋のように広がっていく。 さっきまで威勢よく大剣を振り回していたガストンは、舞台の外、派手に突き出た氷柱の先で白目を剥いて固まっていた。
「……し、勝者、フィラル!」
ワンテンポ遅れて響いた試験官の震える声。それを合図に、私はスカートの裾を軽くつまんで、淑女の礼を披露した。
(よし、倒した。あとはお父様……!)
舞台を降りる私の視線の先では、案の定、父様と兄様が
「今の見たか!」
「ああ、フィラルが宇宙で一番可愛い!」
と言わんばかりの勢いで立ち上がり、激しく拍手を送っている。 ……正直、場外に吹っ飛んだガストンよりも、背後から押し寄せる父様たちの「親バカオーラ」を鎮める方が重労働だった。
私はニコニコと「大丈夫だよ」とアピールを送り、なんとか父様の殺気を霧散させることに成功する。
「フィラル、やりすぎだろ」
戻ってきた私に、シアンが呆れたような、それでいて少し誇らしげな顔で声をかけてくる。
「ありがとう。なんとかやり遂げたわ」
私がそう言うと、隣にいたルフスもシアンも、私の戦いに触発されたのか「次は俺たちの番だ」と言わんばかりに意気込んでいた。 特にルフスの瞳には、竜人族らしい鋭い輝きが宿っている。
まだ試験は始まったばかり。 私は、これから始まる二人の「嵐」のような戦いを予感して、この先の試験の行方が気になって仕方がありませんでした。
ありがとうございました。




