58. 氷結の衝撃と、愛の重圧
よろしくお願いします。
壊れた水晶の片付けを横目に、次はいよいよ実技試験。
受験生同士の模擬戦や、召喚された魔物との戦いです。
「次は実技試験……。対人戦か、魔物戦か、どっちかしら」
私が呟くと、隣にいたシアンがニヤリと笑った。
「どっちでもいいだろ。お前が本気出したら、どっちにしろ一瞬で終わるんだからな」
「そうだけど、加減が難しいのよ……。特に今日は、あそこの視線が痛いし」
ちらりと柱の影を見れば、父様が『わが娘を傷つける者は末代まで祟る』と言わんばかりの神々しいオーラ(物理)を漏らしている。
そんな中、試験官が大きな声で私の受験番号を呼んだ。
「受験番号777番、フィラル。前へ! 対戦相手は――受験番号012番、ガストン!」
現れたのは、私よりも頭二つ分は大きい、筋骨隆々の少年でした。
年齢は12歳くらいでしょうか。彼は手にした大剣をこれ見よがしに振り回すと、私を見て鼻で笑いました。
「おいおい、試験官。俺の相手は、そのお人形さんみたいなガキか? 悪りぃが、手加減なんてしねぇぞ。泣いて逃げ出すなら今のうちだ」
会場の受験生たちからも、「さすがに可哀想だろ」「怪我しなきゃいいけど」なんて同情の声が漏れます。
(……あぁ、フラグを立てるわねぇ)
私が溜息をついた瞬間、背後の柱の影から「ギギギ……」と不穏な音が聞こえてきました。父様の殺気が臨界点を超え、周囲の気温が急激に下がり始めています。
(まずい! このままだと父様がこの会場ごと彼を消滅させちゃう!)
「はじめ!」
試験官の合図と同時に、ガストンが猛然と突っ込んできました。
「終わりだ、ガキィ!」
大剣が振り下ろされる。
私は動かず、ただ静かに指先を向けました。
「悪いけど、あなたに構ってる暇はないの。……『氷結の衝撃』」
ドォォォォン!!
凄まじい衝撃波が会場を駆け抜けました。
剣が私に触れるよりも早く、足元から突き上げた氷の柱がガストンを軽々と跳ね飛ばし、彼は受け身を取る間もなく舞台の外へと真っ逆さま。
会場は、水を打ったように静まり返りました。
「……え、終わり?」
呆然とする試験官。
私はそっと柱の影を振り返り、親指を立てました。
(父様、見てた? 私が自分で倒したから、もうその殺気引っ込めて!)
私はニコニコと父様と兄様の方へ大丈夫だよとアピールをしている中でルフスとシアンはため息を吐いていました。
ありがとうございます!




