49. 契約の神と、過保護な婆や。
大変お待たせ致しました!m(。≧Д≦。)m
ラクサスの後を追って着いたのは、中央に巨大な魔法陣が描かれた奇妙な部屋でした。
「ここはギルド登録を行う聖域じゃ」
ラクサスが陣の真ん中に立ち、朗々と呪文を唱え始めました。その詠唱の長さと密度の濃い魔力に、私は背筋が凍るのを感じました。
(まさか……神霊クラスを呼び出す気!? 人間族でそんな真似ができるのは、伝説の大賢者くらいなものだけど……!)
「――出でよ! 契約の神、シンヴァレオ!」
眩い光と共に現れたのは、純白のドレスを纏った絶世の美女。……ですが、その声を聞いた瞬間、私の脳裏に一人の人物が浮かびました。
〖久しいのう、ラクサス。……して、妾になんの用じゃ?〗
「……婆や?」
思わず漏れた私の声に、神――シンヴァレオは目を見開きました。
〖……っ! その声、その魂の輝き……もしや、お嬢様か!?〗
「え、いや、人違いじゃないかしら……。私は神様に知り合いなんて……」
〖あああぁぁ、お嬢様! お久しぶりでございます! 仕事を放り出してでも駆けつけたかったのですが、ランスヴァン最高神に羽交い締めにされ……っ。ですが決めました、妾は今すぐ神を辞め、お嬢様の世話係に戻ります!!〗
「……はぁ!? ちょっと、何をバカなこと言ってるのよ!」
神を辞める? 世話係に戻る? この神様、相変わらず極端なんだから!
「婆やが辞めたら、契約の理はどうなるの!? 自分の責任を考えなさい!」
私が叱り飛ばすと、シンヴァレオはシュンと項垂れました。言い過ぎたかしら……と思った矢先。
〖分かりましたわ! 要は跡継ぎさえ見つければ良いのですね! お嬢様、しばしのお別れです。必ずや引継ぎを終わらせ、あなたの元へ馳せ参じますわ!〗
(……ダメだ、話が通じない。っていうか婆や、神界でもそんなキャラなの?)
そんな私たちの騒ぎを、ラクサスが満足そうに眺めていました。
「ふぉっふぉっふぉ。話はまとまったようじゃな。シンヴァレオ、お嬢ちゃんのギルド登録の立会人を頼むぞい」
〖お嬢様の立会人? ……ラクサスよ、なぜ妾を呼んだ? 立会人なら妖精か精霊で十分なはずじゃ。お嬢様の身に、何か不測の事態でも起きたのか?〗
「……いや? 儂が本物の大賢者だと、お嬢ちゃんに証明したかっただけじゃよ」
〖…………は?〗
シンヴァレオが呆れたような声を上げました。私も同じ気持ちです。このじじい、自分の実力を自慢するためだけに神様を呼び出したの!?
「あー、はいはい。マスターは本当にすごーい大賢者様だねー。信じた信じたー」
私が棒読みで答えると、ラクサスは「ふぉっふぉっふぉ、分かれば良いのじゃ!」と機嫌を良くして咳払いをしました。
「ウォッホン! では、茶番はここまでじゃ。さっそくギルド登録を始めるとしようかの」
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