46.ルフスとシアン
遅れてすみません!m(。≧Д≦。)m
対決から数時間後にフィラルは目を覚ました。
「…ん…ここ、どこ?」
「医療室だよ~」
「?!誰?って、なんだ、フランちゃ「フィーちゃん。負けたからって、自分を責めちゃだめよ?…フィーちゃんはただあのくそ大賢者より戦闘経験が少ないだけ。だから、これからもっと戦闘経験積んでいけばいいよ!フィーちゃんの寿命はまだまだ長いしね!…んじゃ、バイバイ!」
そこまで言うと、フランシアは消えていった。
励ましに、来たのかしら...?
「…ありがとう……てか、いい加減隠れるのやめたら?ばれてるわよ?そこの…えっと、赤い髪のこと青い髪の子!」
ったく、隠れるの下手...。魔法で隠れようとしたって魔力で分かるってのに...。人外なのに分かってないわね。
「お前、人の名前くらい覚えろよ。俺はルフス。よろしくな!フィンランド!」
フィ、フィンランドぉぉ?!
「あたしはフィラルだ!あんただって、人のこと言えないじゃん!」
「まぁ、どうでもいいんじゃね?俺はシアンだ。よろしく。…フィッシュボーン?」
「どうでもよくない!ってか違う!あたしはフィラルってさっきから言ってるでしょうが!」
「あ、そうだったな」
「「よろしく(な)、フィラル」」
二人が同時に仲良く挨拶してきた。
仲良しね~。ってか、ようやく間違えなかったか...。
「おい!てめぇ、なに俺に合わせて挨拶してんだ!あぁ?」
突然シアンがルフスに怒ってきた。
「お前が合わせてきたんだろ?このでかぶつ野郎!」
「やんのかチビ!」
そして、シアンのチビ発言により二人が喧嘩を始めた。
こいつら、仲良しに見えて違ってたのか…。
そう思ったが、今は二人の喧嘩を止めるのが先だと思い、止めに入った。
「ちょっ!二人とも!」
「「てめぇ(ガキ)は黙ってろ!」」
シアンとルフスによりキレてしまったフィラル。
が、ガキですってぇぇ?!
「てめぇら…、人がせっかく止めようとしたのにガキ呼ばわりだし、黙ってろ?…だったら、てめぇらがガキで黙ってろ!『デスペリア!』」
すると、二人はけんかを止めて苦しみだした。
「ふふふ、こうやって苦しんでる姿を見るのもいいけど、『リリース』」
魔法を解除すると、苦しむのをやめた二人。
「…サンキュー…てか、お前強いんだな」
「…は?何が?」
「おい、ルフス。てめぇ主語がねぇぞ。主語が。俺がこの馬鹿に代弁して言う。お前マスターと対決しただろ?俺たちはそこで一瞬で負けたのにお前は長時間闘ってた。だからこの馬鹿は強いんだなって言ったんだ」
あ、そう。興味ないわ。
「ふ~ん。…ねぇ、あんたたちこのギルドに登録したってことはティフォディオークテ育成学園に入学するの?」
「ん?そうだけど…。まさかお前も?」
「うん!楽しみだね!…それでさ、何科に入るの?」
「俺は、魔導士科でこの馬鹿は冒険者科に入るんだってよ。そういうお前は?」
「あたしも冒険者科に入るの!」
そう言うと、目をキラキラとさせたが、シアンが魔導士科に入ることを思い出したのか、落ち込んだ。
「そういえば、シアン魔導士科なんだよね…。一緒にお勉強できないんだ…」
本音はシアンがいれば戦闘員多くなるのに…だけどね。
「…。別に、魔導士科じゃなくて冒険者科でもいいけど…」
その言葉を聞き、にたりと笑うフィラル。
「…ありがとう!じゃあ、三人で頑張ろうね!」
「「おう!(ああ!)」」
「ふふ。ねぇ、二人に聞きたいことがあるけどいい?」
フィラルは、先ほどのにこりとした表情をなくし、真剣な表情になった。
「どうぞ」
「二人ってさ、人外だよね?」
「…何でそう思うの?」
突然シアンが声を低くし言った。
「だって、あたしがナイトメアを発動させたとき立っていたのはあなたたち五人だけだったもん」
「それとこれに何が関係するってんだ?」
「…知ってた?ナイトメアはね、人間族にしかかからない魔法なの。だから、他種族にはかかんないのよ」
「え、じゃあ、マスターもそうなの?」
ルフスの質問にクスって笑うフィラル。
「マスターは正真正銘の人間よ?ただ、大賢者だからかかんなかったのよ」
「大、賢者…?」
「うん」
あれ?戦闘中に言わなかったっけ?まぁ、聞こえてなかったんでしょう。
「え、じゃあ、あのS級魔導士の二人も大賢者?」
「え?違うよ?金髪のお兄さんはエルフ族で、翡翠色の髪のお姉さんはただの人間だよ?」
「え、じゃあ、なんでかかってないのさ」
…。この二人ってばかなの?そんなの考えれば分かるのに…。
フィラルが呆れた視線をすると、シアンはかからなかった理由が分かったのかこう言った。
「おい、赤髪野郎。よぉくきけ」
ははは…。上から目線だねぇ…。
「フィラルが言いたいのは、翡翠色のお姉さんはS級だから、かけられる前に結界を張った…であってるよな?」
「うん、正解正解!」
「ふ~ん」
「でさ、二人とも何の種族なわけ?髪の色からして使い魔をもってることは分かるけど…」
フィラルが聞くと、二人は自分の種族を明かした。
「俺は、吸血鬼族のシアン。契約している精霊がいて、そいつの属性が水なんだ」
なるほど…。で、ルフスは?
「…今から言うことは内緒だぜ?…俺はまだ知られてない種族なんだ。種族名は…竜人族で、俺は誰とも契約してない」
ルフスの言葉をきき唖然とする二人。
「そ、そうなんだ。…じゃあ、ついでにあたしも明かすね?知ってると思うけどあたしは天使族。そして、上級妖精と精霊王を使い魔にしているの。あ、このことは内緒ね?じゃなきゃ、闇魔法で記憶消すから」
フィラルが、言い終わると、二人とも間抜けずらになっていた。
ルフスなんて口がこれでもかって開いてるし、シアンなんか白目になってた。
「ぷっ、あははははは!何、その顔!笑える!ってかまじウケル!」
二人の顔に耐え切れずに笑ってしまったフィラル。
「「おい!笑うな!」」
「あはははは!やばい、腹筋われる!はは、ははは!」
「…まぁ、いいや。くく、二人とも、ふふ、取り敢えずこのことは誰にも言っちゃだめだからね?」
フィラルが笑いながら二人にくぎを刺すと、タイミングよく扉をノックする音が聞こえた。
「ん?どうぞ?」
入ってきたのは、このギルドのマスターでもあり、大賢者のラクサスだった。
「失礼。おっ、起きておったか。ではフィラルよ。お主に今から行ってもらいたい部屋がある。良いかのう?」
「…分かりました。んじゃ、二人とも、またあとでね!」
二人にあいさつすると、フィラルはラクサスの後を追いかけていった。