45.マスターと対決!
奥の部屋へと連れて行かれたフィラル。そこは何もない部屋だった。…あるとすれば中央にでかい魔法陣が描かれていることだけだった。そして、その奥の方を見てみると、白い扉があった。
「何?ここ…」
「ここはギルド登録する場所じゃ。じゃが、登録する前にお主の戦闘能力などなどを測るとしようかのう。…奥にある白い扉が見えるじゃろ?そこで戦闘能力などなどを測るのじゃ。それじゃ、行くとしようかのう」
ラクサスに連れられて奥にある白い扉の中へと入っていった二人。入ってみると、そこはフィラルとセンリが闘った闘技場の半分くらいあるグラウンドが広がっていた。そして、周りを見渡すと先ほどのギルドメンバーやミルフィー、ノエルたちが観客席に座って見ていた。
えっ⁈いつの間に…。ここのギルドどういう仕組みになってるんだ?
「では、今から儂と闘ってもらうぞ。…大丈夫じゃ、殺しはしない」
え〜…。また闘うの?疲れたんですけど…。まぁ、ギルドに入る為だし、仕方ないか。
「分かった」
「それじゃ、審判はジョヌに頼むとしようかのう…。ジョヌ!お主に審判を任せるぞ!」
「めんどくせぇ…。おいマスター、後で酒おごれよ?」
「ほいほい。分かったからとっととせんかい」
ジョヌって、酒好きなんだ…。
「んじゃ、行きまっせ。……ゲーム、スタート」
ジョヌが合図をすると、ラクサスは魔法を仕掛けてきた。
『ノヴァ』
ラクサスが唱えると、黒い惑星が出てきて、徐々に膨らみ始めた。
「ちっ…『アポステンテリ』」
このマスター…あたしを殺す気か⁈殺さないとか言いながらも殺そうとしてるし!あと一歩結界を張れなかったらこっち死んでる!
「ほう…。この爆発を防ぐとは、お主何者じゃ?」
「ふふ、ただのママの子供だよ?…血は繋がってないけどね?ってか、あんたこそ何者?先ほどあんたが唱えた魔法は最上級のもの。…最上級の魔法を使えるのはあまりいないと聞いたけど、マスターは使えた。ってか、あんた、あたしに殺しはしないと言いながらも殺そうとしたでしょ!」
「はて?そんなこと言ったかのう?儂はもう年寄りじゃ、そんなこと言った覚えないのじゃが…『クリティカリティ』」
ラクサスが魔法を唱えると、途端にこの闘技場の気温が上昇していき、周りのものが溶け始めていった。
「…あっつ!『アブソリュートゼロ』!おい、マスター!話の途中に魔法かけるな!」
「ふぉっふぉっふぉ。すまんのう…。若気の至りじゃ」
「……マスター、若くないよね?」
「ふぉっふぉっふぉ。気にする出ない」
…。このマスターめんどくせぇ…。ってか、このマスター詠唱、した…?
「あ、そう…。やっぱ、あんた何者?」
「だから、ただのじじいと言うておるじゃろ?」
「いや、違う…。おいじじい、今お前詠唱した?」
「ふぉっふぉっふぉ。どうじゃったかのう?儂は老いぼれ故、そんなの覚えとらんわい」
「嘘つき…」
「のう、お嬢ちゃん。お主こそ、何者じゃ?その光に当たれば様々な色に変わる髪に銀色のメッシュ、そして虹色の瞳。…儂はとある友人がいてのう。その友人は精霊と妖精を使い魔にしていた。だからか、髪や瞳は精霊と妖精の属性の色をしておったんじゃよ」
「…それが、何だっていうの?」
フィラルは、顔には出してないものの、心の中はやばいことになっていた。
どうしよどうしよどうしよどうしよ~!まさかのばれてるパティーン?
ーー知らないって、ちょっとは相談に乗ってよ!
えっ、てかまじばれたら王家に一生仕えなきゃいけないんでしょ?そんなのいやだぁ~!あたしの、あたしの冒険者ライフがぁ~…。
「ふぉっふぉっふぉ。もしかしたら、お主、精霊と妖精の全ての属性を使い魔にしておるんじゃないのか?」
やばいやばいやばいやばい!ばれてるばれてる!どうしよう…。あ、知らないって貫きとおせばいいじゃん!
「はぁ?何言ってんの?そんなの知らな「まだ話の続きはあってのう」
おい、人の話を最後まで聞けや!このくそじじいが!
「…何?」
「知ってたかのう?髪と瞳は自分の種族を表しておることを」
「だから何?」
「ふぉっふぉっふぉ。まぁ、そう焦るでない。儂はのう、聞いたことがないんじゃよ。様々な色に変わる髪と虹色の瞳を…。じゃから、お主は精霊と妖精の全ての属性を使い魔にしていると踏んだのじゃが、違うか?…それと、お主天使族じゃろ?」
フィラルは、このまま知らんふりしてても怪しまれると思い、正直に白状した。マスターのことも。
「…ふふ、ふふふふ。さすが、伝説の大賢者様。そうよ。全てあなたの言う通り」
「そうか、そうかそうか。…してお主、何故儂が大賢者だと思ったのじゃ?」
「あの人に教えてもらったの。あなたが大賢者だってね?」
「…あの人とはだれじゃ?『コロナ』」
「!?『アポステンテリ』」
…このじじい危ない!私を殺そうとしてるし!デンジャー!
「さすがじゃのう。この魔法を防げるとは…」
「…死ね」
「ほれほれ、そんな言葉遣いじゃと、モテんぞ?」
「別にモテたくもないわ。…えか、お前危険。危ない野郎だ!」
「ふぉっふぉっふぉ。そうかそうか」
なにのほほんとしてんのよ!このじじいうざいっ!
「ねぇ、そろそろ終わりにしない?」
フィラルはしゃべってばかりの戦闘は飽きたのか、そう提案した。
「…じゃあ、最後の魔法でけりを付けるかのう…」
「…りょうかい」
『メテオ』
『ディプレイション』
二人が魔法を詠唱すると、魔法と魔法がぶつかり合い、爆発した。
そして、あたりが砂埃に覆いかぶされて、その砂埃が収まると、立っていたのは、大賢者のラクサスだった。