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転生少女の無双物語  作者: 胡蝶
〜記憶喪失編〜
47/62

47. 伝説の大賢者と、白銀の敗北。

「ここはギルド登録の場。だがその前に、お主の『器』を測らせてもらおうかのう」


 ラクサスに連れられて白い扉を潜ると、そこには広大な演習場が広がっていました。いつの間にか観客席には、ママやノエル、ギルドの面々まで揃っています。


(このじじい……ただのギルドマスターじゃないわね)


「審判はジョヌ、お主に任せたぞ」

「ちっ、めんどくせぇ。マスター、後で高い酒を奢れよ?……んじゃ、始めッ!!」


 開始の合図と共に、ラクサスが指を鳴らしました。


「『ノヴァ』」

「っ!?『アポステンテリ』!」


 突如出現した黒い星が膨張し、爆発的な衝撃が私の結界を叩きました。殺さないと言いつつ、一歩間違えれば即死の威力。冷や汗が背中を伝います。


「ほう。儂の爆発を防ぐとはな。お主、何者じゃ?」

「ただのママの子供よ。血は繋がってないけどね。……それよりあんたこそ何者? 無詠唱で最上級魔法を連発するなんて、普通じゃないわ」

「ふぉっふぉっふぉ、若気の至りじゃよ。『クリティカリティ(臨界)』」

「あっつ!!『アブソリュートゼロ』! おい、じじい! 話の途中で臨界魔法なんて撃つな!」


 周囲の物質が溶け出し、気温が跳ね上がります。私は氷魔法で相殺しながら、確信を持って叫びました。


「とぼけても無駄よ。……あんた、伝説の『大賢者』でしょ?」

「……ふぉっふぉっふぉ。なぜそう思う?」

「『あの人』に聞いたのよ。……あんた、あたしの正体も分かっててやってるわね?」


 ラクサスは細めた眼光を鋭く光らせました。


「光によって色を変える髪、虹色の瞳。精霊と妖精、全ての属性を従えし天使族の姫……。隠し通せると思うたか?」


(やばいやばいやばい! 完全にバレてるパティーンじゃないの!?)


 内心の動揺を隠し、私は不敵に笑い返しました。


「……正解よ。さすがね、クソじじい」

「口の悪いお嬢ちゃんじゃ。『コロナ』」

「『アポステンテリ』! もう、お喋りは終わり! 最後の一撃でケリをつけるわよ!」


 私は魔力を限界まで練り上げました。全属性の力を一つに。


「『ディプレイション』!!」

「『メテオ』」


 天から降り注ぐ巨大な隕石と、私の放つ消失魔法が正面から衝突しました。


 ――ドォォォォォォン!!


 鼓膜を突き破るような轟音と共に、演習場全体が白い砂埃に包まれました。


 ……やがて、風が埃を攫っていきます。

 視界が開けた時、そこに立っていたのは――悠然と杖をつく、大賢者ラクサス一人でした。


「……くっ、そ……」


 私は膝をつき、荒い息を吐きながら彼を見上げました。

 初めての、完全な敗北。  伝説の壁は、今の私にはまだ、あまりにも高く分厚いものでした。

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