40.オーマイガー!
とある部屋に、フィラルの母とフィラルとノエルがいた。
「お嬢様?本当に大丈夫なのですか?お嬢様はまだ戦ったことがないんですよね。本当に大丈夫なのですか?ボコボコにされるのでは…」
「だぁー!さっきからいちいち煩い!仕方ないじゃない!あれしかセンリお兄ちゃんは納得できなさそうだしさ‼︎」
フィラルはそう言うと体育座りをして、耳に手を当てた。
もう!いちいちうざい!仕方ないじゃない!もうそれしか方法はなかったんだから!戦ったことなくてもね、この一週間で特訓すれば多分大丈夫なのよ!…多分…。
「はぁ…。まぁ、お嬢様の言う通りあれしか方法はあの理事長は納得しなかったと思いますが……。僕は心配なんですよ!大切な大切なお嬢様がもし怪我をすれば僕が旦那さま方に殺される…!」
え、そっちなの⁈私の心配は?
「……やっぱノエル君前々から思ってたけどさ、ノエル君って腹黒プラス毒舌だよね。」
「は?何いってるんですか。……まぁ、良いです。と・に・か・く!今からでも遅くないです!理事長に断りに行きましょう!…あ、ありがとうございます」
「ふふ、どういたしまして。まさかネフライトちゃんが男の子だったとは。全然知らなかったわぁ〜。…私も腕が鈍ったのかしら?」
「あははは…。で、お嬢様!断りに…」
行きましょうと言おうとしたノエルの言葉をフィラルが止めた。
「これ以上喋ったらあたしが精霊たちに頼んでお前を魔法を使えなくするよ?」
「も、申し訳ありません…」
「ふんっ!私はあんたがどう言おうが断りにいくつもりはない。…それと、この一週間。私は特訓をするから邪魔しないでね?…って言うか、大きくなったら戦闘をしてみて?きっと楽しいよ?と言ったのはお前だろうが!何あたしに戦闘をやめさせようとしてるの?楽しそうなのにさ…」
フィラルがそう言うと、ノエルが押し黙った。
「あ、フィーちゃん?特訓は誰とやるの?」
「あたしの使い魔だよ?それがどうかした?」
「ううん。私もさ、その特訓一緒にやっても良い?」
「えっ!でも…」
「良い?」
「……分かった」
ミルフィーの有無を言わせない雰囲気にフィラルは渋々と了解した。
「でも、ママさ。体力あるの?」
「あら、失礼しちゃう。これでも昔はSランクの魔道士だったのよ?」
「え、そうだったの⁈」
「うん。でも、もうやめちゃったんだけどね〜。ギルド名は"ハウクアイ"だよ〜」
ハウクアイって日本語に訳すと鷹の目じゃん。名前からして邪悪な感じがする。
「ママ?闇ギルドじゃないよね?」
「ん?違うよ〜」
「なら良かった。んでね、明日の朝から特訓するからよろしく〜」
「分かった〜。じゃあ、お休み」
「ん。お休みなさいって、ノエル君も出てって!」
「分かりました。お休みなさいませ。お嬢様」
「…ノエル君?敬語やめて」
「それは無理なお願いですね」
「じゃあ、精霊たちに頼んで…」
「分かった。敬語で話さないから魔法を使えなくするのはやめて!」
ふっ、案外とちょろいのかも?
「じゃあ、お休み。」
「ん。お休みなさい」
そう返事すると、ノエルはフィラルの部屋から出てった。一人残されたフィラルは、さっきの会話を思い出していた。
「はぁ…。ママがSランクの魔道士だったとはすごいな。かっこいいけどあたしは魔道士じゃなくて冒険者として働くんだからしっかりしなきゃ…!…って、待ってよ?ママってハウクアイで魔道士をやってた。…ハウクアイってどっかで聞いた気がする…」
「あ、ハウクアイって聞いたことあるよ!たしか闇ギルドだよ〜」
「うわっ!」
突然現れたフランシアにびっくりするフィラル。
「びっくりしたじゃん!ってええぇぇ‼︎ママ闇ギルドにいたの⁈」
「え、そうなの?」
うん!そうだよ!もしママが闇ギルドにいたしたら、
「オーマイガー!」
「おーまいがー?何それ?まぁ良いや。ね、フィーちゃん?明日からあたしたちと特訓するんだっけ?」
「うん。あ、ママも一緒にやっても良い?」
「うん?いいけど…。体力大丈夫なの?」
「あ、大丈夫だって言ってたよ?元Sランクの魔道士だったらしいし」
「ふーん。まぁ、いいや。じゃあ、フィーちゃんも明日から魔法といて本当の姿で来てね?」
「え、なんで分かって…」
「あはは、そりゃ分かるよ。記憶戻ったんだからさ、普通契約した印のやつも戻るって言うのに戻ってないんだよ?だから怪しんで調べてみるとびっくり!フィーちゃんが魔法を使ってたなんてね〜。んじゃ、バイバ〜イ」
そう言うと消えていったフランシア。
ったく、まだ話したいことあるのに…。
「まぁいいや。明日から頑張ろう」
そう言うと、床に入ったフィラルであった。