33. 王都の鐘と、隠しきれない令嬢の気品。
今回は短めです……( •́ฅ•̀ )
カン、カン、カン――。 朝の静寂を切り裂く鐘の音が、新しい一日の始まりを告げました。 今日はいよいよ、五歳になったあたしが王都へ向かう日。
「今日でいよいよ、フィーちゃんも王都デビューね!」 「うん! ……でもママ、なんでわざわざ遠い王都まで行くの?」
首を傾げるあたしに、ママが優しく教えてくれました。 この国では、魔力制御ができるようになった五歳児は、王都で『魔力検査』と『IQ診断』を受ける義務があるのだとか。結果次第ではエリート養成所『マジェイア学園』に入学しなきゃいけないらしいけれど……。
「あたし、学園なんて行かない。冒険者になりたいもん! 将来は世界中を旅して回るの。それが、ずっと前からの夢だった気がするから」
あたしの宣言にママは一瞬驚いたけれど、すぐににっこりと笑ってくれました。 「そうね。フィーちゃんの人生だもの、自分の夢を叶えなさい」
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馬車に揺られて到着した王都の検査会場は、無駄に……いえ、恐ろしく巨大な建物でした。 (……なにこれ。どっかの国会議事堂みたい。……って、こっかいぎじどうって何?) 時々頭に浮かぶ謎の知識を振り払い、あたしはママと手を繋いで中へ入りました。 質素な外装とは裏腹に、張り詰めた空気が漂う廊下。そこへ、一人の女性が近づいてきました。
「あなたが、フィラル様でしょうか」 彼女はあたしの視線に合わせて優雅に膝を折りました。 「うん、そうだよ! お姉さんはだぁれ?」 「私はミューザ。検査会場までご案内させていただきますわ、フィラル様」
丁寧すぎるその態度に、あたしの「魂」が勝手に反応してしまいました。 「ええ。こちらこそ、よろしくお願いいたしますわ、ミューザ」
完璧な淑女の微笑みと、隙のない言葉遣い。 隣でママが「えっ、フィーちゃん!?」と今日一番の驚き顔をしていますが、あたし自身も驚いています。なんで今、こんな言葉がスラスラ出てきたの!?
「ふふ、では会場へ。参りましょうか」
ミューザの背中を追いながら、あたしは言い知れぬ予感に胸を騒がせていました。 この検査で、あたしの何かが暴かれてしまうような。そんな、少し怖いけれど、ワクワクするような予感を。
多分、もうすぐ学園編に入ると…‼︎




