31. 雪降る森の出会いと、新しい母様。
今回も短めです。
深い森の奥、ひっそりと佇む一軒の家。 「あら……雪が降り始めたわね。急いで洗濯物を取り込まなくちゃ!」 若き家主のミルフィーが空を見上げ、慌てて庭へ出ようとしたその時でした。
どこからか、透き通った鈴の音のような歌声が聞こえてきたのです。 『ララ……ララ……おやすみなさい、愛しき人……』 「なんて綺麗な歌声……」
吸い寄せられるように森の奥へ進むと、そこには信じられない光景が広がっていました。 無数の妖精たちが舞い、精霊たちが淡い光を放ちながら集まっている。そしてその中心で、一人の神々しい女性が、赤ん坊を抱いて歌っていたのです。
「妖精……? それに精霊たちまで……」 ミルフィーが思わず呟くと、女性――水の精霊王アクアブルーが優しく微笑み、近づいてきました。
「こんにちは。私はアクアブルー。……突然だけれど、一つお願いを聞いてもらえるかしら?」 「せ、精霊王様!? 私のような平民に、一体どんな……」 「この子が、自分を思い出すその日まで……どうか、あなたの手で育ててほしいの」
差し出された腕の中にいたのは、白銀の髪を持つ、天使のように愛らしい赤ん坊でした。 「えっ……でも、私なんかに……」 「大丈夫。この子があなたを選んだのよ。ねぇ、フィーちゃん?」 アクアに問いかけられた赤ん坊は、透き通った瞳を瞬かせ、「あう? ……あい!」と元気よく返事をしました。
その純粋な瞳を見た瞬間、ミルフィーの迷いは消えました。 「……分かりました。未熟な身ですが、この子を精一杯愛します」 「ふふ、あなたならそう言ってくれると思ったわ。この子の名前はフィラル。……それじゃ、またね」
アクアブルーがふわりと消えた瞬間、ミルフィーはいつの間にか自分の家の前に立っていました。 さっきまでの幻想的な光景は夢だったかのように静まり返り、腕の中には温かな重みだけが残っています。
「ふふ、よろしくね、フィーちゃん。今日からここが、あなたの家よ」
ミルフィーは小さなフィラルを抱き締め、雪の舞う中、温かな光の漏れる我が家へと入っていきました。




