30. 虚無の目覚めと、最高神ランス。
今回は短めです。
「……んん……」
「美鈴さん。おはようございます」 意識が浮上した瞬間、目の前にいたのは、後光が差すような超絶美青年でした。
「……ぎゃあぁぁぁっ!!」 「うわぁぁぁっ!?」 私が叫ぶと、美青年も情けない声を上げて飛び上がりました。 「美鈴さん! いきなり叫ばないでくださいよ、心臓に悪い!」
(……みすず? 誰、その名前……) 私は、自分の手のひらを見つめました。 「私、美鈴じゃないわ。……私は……。……私は、誰?」
思い出そうとすると、頭の中に深い霧がかかったように真っ白で、何も手出しができません。けれど、「美鈴」という響きには、魂が震えるような奇妙な懐かしさがありました。
「そう、ですか。記憶がないのなら、仕方ありませんね……」 「え? 今、なんて言ったの?」 青年の独り言は聞き取れませんでしたが、彼はすぐに柔和な笑みを浮かべて自己紹介をしました。
「僕はランスヴァン。神族で、今は最高神をやっています。……ランス、と呼んでください」 「ランス……。聞いたことがある気がする。……よろしくね、ランス。私は……ごめん、やっぱり思い出せないわ」
「いいですよ、ゆっくりで。……おっと、仕事のようです」 騎士が慌ただしく入ってきて彼に耳打ちをすると、ランスは申し訳なさそうに立ち上がりました。 「また会いましょう、美鈴さん」
「え、ちょっと待って! ここはどこなの!?」 問いかける間もなく、彼は部屋を去っていきました。 それと同時に、世界が急速に光に包まれていきます。
(ああ、この感覚……どこかで……)
温かくて、少し寂しくて、でも新しい何かが始まるような予感。 真っ白な光の向こう側で、私は再び「自分」を探す旅に出るのだと、直感的に悟りました。
今日も読んでくれてありがとうございます(*^^*)




