29. 水の精霊王の賭けと、空虚な揺りかご。
まだ続くと思ってた閑話は今回で終了です(*^^*)
ーー早いな!Σ(゜ロ゜;)
「やっはろー! 私は水の精霊王、アクアブルー」 普段なら、こんな風に元気よく自己紹介できるのに。 今、私の目の前には、私に変装した卑劣な男に刺され、白銀の髪を赤く染めて倒れている大好きな主――フィーちゃんがいる。
「きっさまぁ!! 主人から手を離せ!!」
フランちゃんの怒声で、闇に染まりかけた理性を繋ぎ止めた。 ファイアがフィーちゃんをお姫様抱っこして走り出す。死にゆく彼女に「俺に頼ってろ」なんて、格好つけた台詞を吐いて。……ああ、もう。こういう時まで二人の世界に入っちゃって、本当にうざい。ファイアが、じゃなくて、そんな彼に微笑むフィーちゃんに、私は猛烈に嫉妬しちゃう。
でも、嫉妬してる場合じゃない。 フィーちゃんの呼吸が、どんどん浅くなっていく。精霊王の癒やしの力さえ、この出血には追いつかない。
《アクアよ。もし大切な者が死に瀕したなら、禁術を使え。……ただし、莫大な魔力を失う覚悟を持て》
脳裏に響いたのは、昔、ばば様から聞いた古い伝承。 これしかない。今のフィーちゃんを救うには、これしか……!
「ねぇ、ドラグニール。……禁術を使ってもいい?」
元最高神の許可を取り、私は仲間に告げた。 彼女の記憶を消し、肉体を赤ん坊まで巻き戻す。私たち精霊王が眠りにつくことになっても、ドラグニールの魔力を使い果たしても、彼女の命を繋ぐために。
「話しはまとまったわね。……いくわよ!」
緊張が走る。私たちはフィーちゃんを囲み、魔力を一点に集中させた。 「せーのっ!!」
『世界を創りし創造神よ。我が名はアクアブルー! 我らの魔力と引き換えに、精霊の姫フィラルを救いたまえ――!!』
視界が爆発的な光に覆われた。 その光の渦の中で、フィーちゃんがふっと微笑んだ気がした。
『みんな……。また、会おうね?』
光が収まった時。そこにはもう、にっこりと笑う少女の姿はありませんでした。 ただ、草原の中に、小さな、本当に小さな赤ん坊が一人、眠っているだけ。
「よかった……本当によかった……っ」 血塗れで戻ってきたフランちゃんが、赤ん坊を抱き上げようとして手を止め、泣き崩れました。 天使族の羽も、銀色の髪もそのまま。でも、今の彼女をここに置いておけば、また誰かに狙われてしまう。
「……フィーちゃんを下界に置きに行きましょう。そこで、新しい人生を歩んでもらうの」
反論する者は誰もいませんでした。 私たちは愛しい主を、遠く、遠い人間の世界へと託し……。 力尽き、深い眠りへと落ちていったのでした。
思ったより、閑話は長続きしなかったな…。
次回は、待ちに待った新章です‼︎




