17. 婚約破棄(?)と、崩れ落ちた父の威厳。
今日も少し長くなりましたが、どうぞよろしくお願いしますฅ•ω•ฅ
「話し合いは終わったのか?」 戻ってきた私とノエルに、ヴィンセント王子が声をかけてきた。 「うん、おわったおー!」 私はノエルに「余計なことは喋るな」と目力で釘を刺す。……ふぅ、危ない危ない。
「なぁ……お前、レボルヴァ公爵の娘、フィラル・フィン・レボルヴァなんだろ?」 (えっ、なんで私の本名を知ってるの!?) 驚く私に、ノエルが天界の少し特殊なルールを教えてくれた。
天界では、家名を持てるのは長男、次男、そして長女だけ。三女である私は、公爵の血を引いていても、家名を持たない「ただのフィラル」として扱われる。だから、私が自分を公爵令嬢だと思っていないのも、無理はないのだという。
「……いやぁ、お見事だよ。ノエル君」 「「父様(旦那様)!?」」 いつの間にか、アベル王と私のお父様が背後に立っていた。 「ヴィン、お前も威張ってないで勉強しろ。この子はな、お前の婚約者候補には勿体ないくらいの逸材なんだから」
(――はい!? 婚約者候補!?) アベル王の爆弾発言に、私の脳内は一瞬で戦闘モードに切り替わった。 冗談じゃないわ。私の夢は、成人したら人間界に降りて、自由な『冒険者』になることなの。カゴの中の鳥になるなんて、死んでも御免よ!
「……おことばでしゅが、陛下。わたくちは、そういうかたくるしいのは嫌いでしゅ。殿下のこんやくしゃこうほ、辞退しましゅ!」 勢い余って言い放つと、陛下は驚いた後、愉快そうに笑った。 「はっはっは! そう来るとは、ますます欲しくなったな」
(やぶ蛇だったー!?) 父様が「フィーが嫌がっているだろう」となだめてくれ、なんとか王様一行は帰っていったけれど……。
「……なぁ、フィー。お前、何を企んでる? 普通なら喜んで受ける話だ。まさか……本気で人間界に降りるつもりじゃないだろうな?」 父様の鋭い視線が刺さる。……ギクッ。バレてる。 この執着心の強い父親をどう煙に巻くか。私は一秒で最適解を導き出した。
「……ちがうよ! わたちが辞退したのは、将来、とーしゃまのお嫁しゃんになるためでしゅ!」 「フィーーー! ああ、なんて可愛いんだ我が娘は! 俺と結婚か、それも悪くないな!」 チョロい。チョロすぎるわ、お父様。 抱きついてくる父様から逃げようとノエルに助けを求めたけれど、あいつ、空気を読んでどっかに行きやがった! この薄情者ー!
「あなた? 娘と結婚とは、どういうつもりかしら……?」 背後から、氷点下の声。そこには、笑顔で拳を鳴らす母・キャサリンの姿があった。 「あ、いや、キャサリン……これはその……」 「おいで、フィー。フィリエル、フィーを連れて行きなさい。……あなた(夫)は、ちょっと『お話』しましょうか?」
お姉様に抱き上げられて立ち去る私の背後で、「ぎゃあああ!」というお父様の悲鳴が響き渡った。
「大丈夫よ、フィー。お父様はいつもああだから」 お姉様が優しく背中をポンポンしてくれる。 (お姉様の時も同じことを言ったらしいわね、お父様……。かっこいい公爵像、粉々だわ……)
こうして、私の中の「強くて完璧な父様」のイメージは、爽快な音を立てて崩れ去ったのである。
今日もありがとうございましたm(。>__<。)m




