15. 暴走の予感と、お父様への制裁。
今日は、少し説明が入っております。
「フィー、ホントにごめんってばぁ……」 ノエル君が半泣きで謝ってくるけれど、私は「ふん!」と横を向いたまま。 せっかくの猫模様のブレスレットを落としちゃうなんて、酷すぎる!
「探してくる!」 「メッ!(ダメ!)」 人間界に落ちたかもしれないものを、六歳児が探しに行けるわけないでしょ! 口論をしていると、居間の扉が開いて家族が帰ってきた。
「ただいま、フィー! いい子にしてた?」 お姉様や兄様たちとの再会も束の間、ノエル君がスッと立ち上がり、完璧な「執事の礼」を披露した。 「お帰りなさいませ、旦那様。ニイナの孫、ノエルと申します。見習い執事として精進いたします」
(……え、ノエル君って執事だったの!?) 驚く私に、用事から戻ったアクアブルーがさらなる衝撃の事実を告げる。
「フィーちゃん、気づかなかった? この家に執事やメイドがいたこと。みんな、あなたに会うのを避けてたのよ」 「えっ、なんで!?」 「あなたの魔力が『莫大すぎる』からよ。……今のあなたはまだ魔力の制御ができない。そんな子が近くにいると、無意識に自分より魔力の低い相手を『操って』しまうの」
(――操る!?) 「そう。全ての界の法律で、他者を操る者は『死刑』。さらに、制御できないまま魔力が膨れ上がれば、最後には自分の魂が魔力に喰われて暴走しちゃうわ」
アクアブルーの真剣な眼差しに、背筋が凍った。 (……そんなの嫌! 絶対、訓練して使いこなしてやるわ!) 修行への決意を固める私の視線の先で、お父様が何やらヒラヒラと手に持っていた。
(……あ、あれって。さっきノエル君が落としたブレスレット!?) 「おえう、おえう! あえ!(ノエル君、あれ!)」
「あ、旦那様! そのブレスレットは!」 「ん? これかい? さっき買い物をしていたら、上から降ってきたんだよ。あはは」
お父様の言葉に、私はジト目で視線を送った。 (……嘘ね。お父様、買い物なんてしてないでしょ。魔力でバレバレよ……?)
私の不信感が空気を伝わったのか、部屋の温度がスゥ……と急降下した。 「……あなた? 昨日『先に行ってろ』と言って私たちを待たせた挙句、魔物戦のギリギリに現れたのは……買い物のせいだったのね?」
母様の笑顔が、般若のように見えるのは気のせいかしら。 「……へぇ、お父様。そういうことだったんだ」 「父上……覚悟はできているな?」
「え、あ、いや……皆さん? ……ご、ごめんなさい!」
お父様が流れるような土下座を披露したけれど、家族(と一歳児)の冷たい視線は止まらない。 魔力の暴走よりも、お母様の怒りの方が怖いかも……なんて思いながら、賑やかな(?)一日は幕を閉じた。
今日もありがとうございました(*^ω^*)




