12. 初めてのお留守番は、迷子とカオスな出会いから。
大変お待たせ致しました!(。>ㅿ<。)
「ねぇ母様、本当に大丈夫? フィーを一人にするなんて」 お姉様が心配そうに私を見つめるけれど、母様はハンカチを噛んで「うっうっ……」と嘘泣き中だ。 「本当は連れて行きたいけれど……もしこの子に万が一のことがあったら、私は……!」 「はいはい、分かったから。婆やを雇ったんでしょ? 行きましょう」
お姉様の冷ややかなツッコミと共に、家族はバタバタと出かけていった。 (……さて。嵐が去ったわね。寂しいかって? 全然! むしろチャンス!)
私は一人、家の中の冒険に出ることにした。 しかし、十五分後――。 (……ここ、どこ? まさかの自宅で迷子!?) 公爵家、広すぎ。自分の家がこんなに複雑な迷路だなんて聞いてない。心細くなった私は、つい前世の癖で鼻歌を歌い始めた。
「ふーふふん、ふふふ……」 「フィーちゃん! 見つけたわ!」 「おーい、こんなところで何してんだ?」
妖精のフランシアと、火の精霊王ファイアたちが現れた。 (あぁ、みんな! 良かった、助けて……って、うわっ!?)
背後から突然、大きな手にひょいっと抱き上げられた。 (誰!? ファイア様じゃない……え、めっちゃ美少年!?) そこにいたのは、白銀の髪に藍色の瞳をした、私より五歳くらい年上の男の子だった。 「おい、こんなところで一人で何してるんだ? 危ないぞ」
(……いや、誰よあんた! 降ろして!) 「フィーちゃん、落ち着いて! 多分その子、母様が言っていた『婆や』の関係者じゃない?」 アクアブルーが冷静に分析するけれど、少年の後ろからさらに強烈な「気配」が迫ってきた。
「おーい! ノエルやー! どこへ行ったんじゃーい!」 ――シュパパパパッ!! 残像が見えるほどの猛スピードで走ってきたのは、六十代くらいのお婆ちゃん。 (速い! あのお婆ちゃん、エンジン積んでるの!?)
「あっ、婆や! ここだよ!」 私を抱いた少年・ノエルが叫ぶ。……ってことは、この爆走お婆ちゃんが噂の「婆や」!?
「フィラルお嬢様……! お初にお目にかかります、ニイナと申します。……こら、ノエル! お嬢様を勝手にお抱きするでない!」 ゴツッ!とノエルの頭に婆やの拳が落ちる。 「いったぁ! 何するんだよ婆や! この子が一人でハイハイしてたから、心配して助けてあげただけなのに!」
……あ、いい子だった。疑ってごめんね、ノエル君。 けれど、二人の自己紹介が始まった途端、空気は一変した。
「お嬢様……今、私のことを『あーあ(婆や)』と呼んでくださったのですか!? ああ、なんてありがたい日なんじゃ!」 「ねぇ、僕のこともノエルって呼んでよ! ほら!」
(……圧がすごい。この二人、家族に負けず劣らずハイテンションなんだけど) 感極まって涙を流す婆やと、私を抱きかかえてぴょんぴょん飛び跳ねるノエル君。 その横で、精霊王たちは「……これ、大丈夫かな」と遠い目をしている。
(……ねぇ、ランス。私の平穏なお留守番ライフはどこへ行ったの?) 前途多難な予感に、私は一歳児なりに深いため息をつくのだった。
今日もありがとうございました!( ͒ ु•·̫• ू ͒) ♡




