08『仲間を増やしましょうーその3後編』
投稿バラバラですいません
ーヘヴン神殿内ー
「き、貴様は!? ま、魔物!? なぜ、神殿内に!?」
園内に入って来た天使は、ウェートを見るや否や聖水の槍を構え、ウェートを睨む。
「ちょっと! ラジエル!」
ラファエルにラジエルと呼ばれた天使はラファエルとミカエルを守るかのようにウェートの前に立ち塞がる。
「お前が・・・ラジエル・・・。」
「そうだ、私は七大天使の1人! 【秘密の領域】ラジエルだ!!」
ラジエルとウェートの間に火花が散る。
ウェートは紅茶を飲み干し、席を立つ。
「決めた。お前が気に入ったぞ・・・ラジエル・・・。
なぁ、ラファエル・・・、こいつをウチの軍に入れていいか?」
「「!!?」」
ラジエルとミカエルは驚愕の表情で動揺する。
「な、なにを言っているんだ!? 貴様は!!」
「そうだ! いくらお人好しのラファエルと言えど、そんなことを許すわけg・・・。」
「良いですよ。」
「「!?」」
ラファエルは、あっさりと承諾してくれた。
「わ、私が魔物の配下に付くだなんて嫌ですよ!?
神の怒りに触れたらどうするのですか!?」
ラジエルは、ドンッとテーブルを叩く。
つい、ウェートはあっさりし過ぎたので聞いた。
「ほ、ホントに良いのか?」
「勿論、構いませんよ。ただし、ただとは言いません・・・。」
「ただし?」
不思議がるウェートに対し、不敵な笑みを浮かべているラファエル。
「ラジエルと一戦交えてもらいます。」
「「!!」」
「貴方が勝ったら、ラジエルを貴方の配下にしてもいいですよ。負けた場合は・・・。」
ラファエルは、指をパチンッと鳴らすと、聖光のエネルギーが込められた銃を持った射撃隊が侵入してきた。
そして、ウェートに向けられる。
「・・・ごくり。」
「射撃隊が貴方を穴だらけにします・・・。」
「わ、わかった・・・。」
このとき、ウェートはラファエルが魔物に対する怒りの気が感じ取れて、笑顔の裏には途轍もないものが眠っているということが分かったのだった。
ーヘヴン神殿内 ゼウスコロシアムー
「これより! 【秘密の領域】ラジエルVS【重力闘士】ウェートの戦いを行います! 制限時間はなし! どちらかが、参ったと言うか、もしくはどちらかが気絶するまでの勝負です! では、構えてください。」
ラジエルは、聖水の槍より強力な聖剣、神裁きの剣を構える。
ウェートはそれに対して、素手で挑む。
「貴方、武器は?」
「あいにく、自分の武器がなくてな・・・、素手で戦わせてもらうぞ。」
「そう・・・、嘗められたものね。」
そう言い、2人は構える。
「始めっ!」
ラファエルが手を下すと同時に2人は動き出す。
「神炎殺!!」
ウェートは神をも殺す火炎を放つ。
「効かないっ!」
ラジエルはいとも容易く火炎を切り祓う。
「コイツならどうだ! 黒氷弾!!」
冷気を帯びた黒い魔力のエネルギー弾を撃つ。
「神よ! 我の名は、七大天使のラジエル! この聖剣と私に魔を祓う力を与えたまえ!!」
ラジエルが詠唱すると、聖剣とラジエルが光り出す。
否、電光を帯びていた。
「雷神の・・・。」
「ぐっ・・・! いきなり来るか! 黒鏡結界!!」
「一撃必殺!!」
そのラジエルの技は、ウェートの懐に決まる。
「ゴハッ!?」
ウェートはコロシアムの壁に激突する。
起き上がるはものの、大量の血を流す。身体は、内部まで聖なる光でズタズタで、身体の外部や衣服は雷の影響で黒焦げになったが。
「ガフッ・・・、耐えたが・・・意識が飛びそうだ・・・。」
「この技を喰らって、立ち上がることさえ出来ない技なのに・・・お前は立ち上がり、ましてや意識を保っているいるなんて・・・。」
ラジエルはウェート前に降り立ち、あまりの出来事に冷や汗を垂らす。
傍観組のラファエルは笑顔を保っているが、内心震えていた。
このような強力な魔王を敵に回していたら、天界が完全に焼け野原と化していただろうと思いつつ。
ミカエルは、ただただ驚いていた。
聖なる光を浴びてなお、原形を保てる魔物がいるなんて。
「だが・・・これで、終わりだ!! くらえっ!!」
「しまっ・・・!」
今、ラジエルがいる位置は、ウェートの『地獄の重さ』の攻撃範囲内だった。
ウェートは、体内の魔力を右手に集中して、解き放った。
「彗星之大爆発!!」
ウェートは自分の魔力を使い切り、ラジエルを地面へと滅り込ませた。
「ぐはっ!」
そして、そのままラジエルは気絶した。
「勝負あり!! この勝負、【重力闘士】ウェートの勝利!!」
決着がつくと、ウェートは倒れそうになるが。
「良い戦いでした・・・、これからラジエルのことは頼みましたよ・・・。」
そう言い、ラファエルはウェートの勝利を称えつつ、優しくウェートを受け止めた。
「俺は、魔王だからな・・・。」
ウェートはニヤリと笑う。
「さて、2人の傷を癒さなくては・・・、究極の癒し!」
ラファエルは、ウェートを地面に寝かしつけると、ウェートとラジエルに手を翳し、手から出る光がウェートとラジエルの傷が一瞬にして回復する。
「良いのか? 俺の傷まで回復させて? ミカエルが『なにしてんの!?』って顔してるぞ。」
ウェートはミカエルに目をやる。
「良いのです。それに、先ほど申したように、貴方は他の魔王とは違い安全です。
ですから、そんな貴方を信用して一つ提案があります。」
ラファエルがニコニコと笑みを浮かべる。
「提案?」
「はい、単刀直入に言いますと、ラジエルを引き抜きの許可を条件に我々天使族と同盟を結んでください。」
「「「!!?」」」
ラファエルを除く、この場にいる者全員が驚愕した。
「ら、ラファエル・・・、今何と言った?」
ミカエルは、動揺しながらラファエルに問う。
「ウェートさんの国と私たち天使族と同盟を結んでもらうのです。」
ラファエルはミカエルにそう答えて、ウェートを真剣な眼差しで見る。
「ラファエル・・・、良い提案だが、それでは天界の民の意見を無視してしまうんじゃないか?
さらに、追撃して悪いが俺のところは国や集落と呼べる人数じゃないんだ。今回、ラジエルが加入したとしても、たったの6名だ。」
ウェートは少し申し訳なさそうに言う。
その時、魔通石に連絡が入る。
魔通石とは、元いた世界で言うところの携帯電話で、連絡手段の一種だ。
「なんだ? ヴァエル。」
(取込み中、大変申し訳ないのですが、我らの国の付近に生息していたとある種族が我らの配下に加わりたいと言ってきました・・・。)
「その種族は?」
ヴァエルは一つ間をあけて言う。
(上級の人狼之王を含む、計200匹の人狼です・・・。)
ウェートは棒読みでわぁ、すごいと呟く。
「奇遇だな、ヴァエル。こっちも似たような状況だ。」
(と言いますと?)
「天使族が俺の国と同盟を結んでほしいと持ち掛けられた・・・。」
(はいぃぃぃ!?)
流石のヴァエルも予想だにしなかったのか、驚く声がした。
「もう、収集が付かねぇ・・・。」
ウェートは、通話を切りラファエルに向き直り言う。
「ラファエル・・・、悪いが同盟の件は俺の城に戻ってからだ。
だから、ラジエルを含む、天使族代表5名で、同行してもらうがいいか?」
「構いませんよ。」
そう言い、ラファエルはラジエルを起こして、出る支度を始める。
「上手く纏められるか、不安だ。」
そう言い、ウェートはため息を付くのだった。
このお話の後に、夜には閑話でキャラクターの紹介するお話を投稿します。