02『初戦闘は鬼らしいです』
俺、坂口英斗は死んだら、どこかの国の魔王になりました。
えぇ、死にました。トラックに轢かれてね。
ちなみに、今は昼ご飯を食べてる。魔王といえど、お腹は減るものだ。
こちらの世界に来て、もう一週間が経った。
最初は本当に戸惑ったよ、目覚めたら異形質の化け物執事が居て、俺のことを勝手に魔王ウェート・クロノス(だっけ?)様ってよぶもんだから・・・。
ー回想中ー
「い・・・、いや、俺は一般市民なんですけど、えーと・・・。」
「ヴァエル・キラードです。貴方様は生まれついての魔王の素質を有する災厄の存在です。
私は貴方様が誕生するのを長年待ち焦がれておりました。」
「え、あ・・・うん、お待たせ・・・。」
ー回想終わりー
てな感じで(半強制的に)魔王やっています。決して、ヴァエルに押し負けたわけじゃないからね。
けれど、今のところは何もなく平和です。
普通、RPGとかなら魔王の城にいる魔王を勇者が倒すように国王様に頼まれてここにきてもおかしくないはずなのにと思い、ヴァエルに聞くと。
「ここは全領域の中でも一番危険な区域なので、伝説級の勇者でもない限り、攻めて来る愚か者はいません。ただ・・・。」
とその時。
ドゴォンと轟音がロビーに響き渡ったでロビーに向かうと壁が破壊されて異形の魔物が侵入してきた。
「な、なんだ!?」
「ここは、この鬼族の王であるギムルド様がもらったぁ!!」
「と、あのように力を付けて調子に乗った者や愚か者攻めて来ることがあるのでご注意ください。」
鬼族の王と名乗るギムルドを余所にヴァエルは何もなかったかのように説明してくれる。
「さて、ウェート様、初仕事でございます。あの愚か者を駆除してください。」
ヴァエルは、ニコッと笑いギムルドを倒すように俺に言う。
「お、おう。」
俺はギムルドの前に行き、対峙する。
「へへっ、貴様のようなチビが魔王(?)とは・・・・・・片腹痛いわっ!!」
「まぁ、俺は最近な魔王になったk・・・。」
俺は地面へと殴り潰された。ギムルドの振り下ろした拳が俺の頭めがけて繰り出されたのだ。普通の人や下級の魔物ならば即死してしまう威力だった。
しかし・・・。
「痛たた・・・、何すんだよ。」
「!?」
俺は魔王だから、別に痛くとも何ともない(少し痛いけど)。
ギムルドは動じない俺を見て驚く。
「なっ何故、平気なんだ!?俺の渾身の一撃だぞっ!?」
そう言いながら、ギムルドは再びウェートに殴りかかる。
また、不意打ちかよ。
俺はこの時、何故かガッカリのような気持ちとホッとした気持ちが同時に湧き出た。なんで、ガッカリしたかは今はわからない。
やはり、鬼族。知能はそれほど高くない。
いわゆる、脳筋というやつだ。
「渾身の一撃ってのは・・・こうやるんだよっ!!」
【能力が覚醒しました・・・、『魔王の覇気』、『絶対的威圧力』、『地獄の重さ』を習得しました。】
今、脳内に変なお知らせが入ったが無視しよう。
「くらいやがれぇっ!!超重力の拳っ!!」
ウェートの放ったその一撃はギムルドを軽く捻り潰した。まるで、巨大隕石が落下したの如く、床に巨大なクレーターが出来上がる。
「や、やべぇ、やり過ぎた・・・。」
「お見事です、先ほど攻撃を喰らったのは敵を油断させる為ですね!」
「へ?」
えぇ・・・、さっきのはわざとじゃなくて、こっちが油断しちゃっただけなんですけど・・・。
「しかも、能力も開花しましたね。成長速度も凄まじい。流石、ウェート様。」
ヴァエルの奴、とんでもない勘違いをしてやがるー!?
「おっ・・・おい、ヴァ・・・ヴァエル・・・。」
「私は貴方様の執事になれたこと、誇りに思います。
これなら、一週間後の魔王の宴に出席出来ますね。」
誇りに!?ヴァエルの中での俺の評価高すぎない!?
ん?待て待て、魔王の宴?
「何?その・・・魔王の宴って?」
うわぁ、嫌な予感しかしないんですけど・・・。
「あぁ、言ってませんでしたね。
それは、魔物が支配している各国の魔王たちの会合ですよ。何年かに一回あるのですよ。
ウェート様を含めたら、合計七名の魔王が集まるのですよ。貴方様がその七人目でございます。」
どうやら、一嵐吹き荒れそうだ・・・、胃が痛くなる。
そんなことを考えているウェートが台風の目になることは、まだ知るよしもなかった。