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#12 期待

▼期待


 那覇空港に下り立ち、荷物を取り上げると、広島空港迄のチケットを購入しようと、朔夜と叶は受付に足を運んだ。ここで、直紀とは別れて三人の旅が始まるのだと思っていた矢先、突如聴き慣れた声が聴こえてきた。

「朔夜ちゃん〜叶〜!」

 その声の主が三人に向って走り込んで来たのが見える。

「かえで……ちゃん?」

 呆気に取られていた叶は、その姿を目を見開いてロが開いたまま立ち尽くしていた。

「だらしないですよ……叶?」

 宮古空港迄の道のりに朔夜が意味ありげな事を云って含み笑いしていたのを思い出した。そして、一言、

「こんな嬉しい事ないやん!」

 子犬のような表情に変わっていた。その後、かえで目掛けて走り込んだのだが、あっさりと退けるかえでであった。

「お仕事、放棄して来たのですか?」

 朔夜はそんな叶の心情を思い笑いながら見ていたが、かえでは叶を無視し、

「有給とらせてもらったの〜せっかくの旅だしあたしも是非参加したかったのよね!ここが沖縄なんだ〜で、これからどうするの?」

 そんな会話をしていると、水城がひょっこり顔を覗かせた。

「へえ〜かえでお姉ちゃんって云うんだ〜私、水城って云うの。これから広島に行くんだって」

「この子は?」

 新しくメンバーに加わった事を朔夜は説明する。水城はこのかえでの足下に纏わりつく。それを喜んでかえでは相手をしていた。

 しかし、かえでにお姉ちゃんと『ちゃん』付けする。それを聴いて、これも精神年齢だからだろうか?と朔夜は笑いそうになったが、歳は離れているが女の子同士だしと改めて思い直した。案外気に入られたのかも知れない?すでに、水城はかえでに開放感ある態度で接している。それを可愛いと思ったのか、かえでも嬉しそうだった。そして、

「今着いたばかりなのに……広島?すぐ移動するの?」

「かえでちゃんは着いたばかりですか?それなら少し観光でもしましょうか?」

 急がないといけないが、搭乗手続きもまだ先の事である。それを見越して近場でお昼にでもしようかと思い立った叶は、

「そうやなあ〜観光しない手はないよなあ〜」

 無視された事がショックだったのか少しでも気を引こうと必死であった。

「あんたの意見はいらないの!」

 あっけらかんと跳ね除ける。その態度を悲しいなぁと、いじけはじめる叶。それを流石に不憫と感じた朔夜は、

「ははは、かえでちゃんもゆっくりしたいでしょ?お昼にしましょうか」

 せっかく来たかえでと、心中を察する叶を思い遣って言葉に出した。

「うん。じゃあ、食べに行こうか!」

 上機嫌のかえでを見てホッと息を付く。

「叶お兄ちゃん良かったね〜」

 生意気にも水城は叶のお目当てのかえでの事を察してケタケタ笑っている。全てお見通しな事に叶はポリポリと頭を掻いてみせた。そして、身をかがめて耳元でボソリと呟く。

「子供が大人の世界を笑うんやない!」

 その言葉に、不機嫌な水城。素直じゃ無いんだから…と、顔に書いてあった。

 旅は道連れ世は情け……旅の道中は気持ちが良い。何だか異邦人になった気分だ。

 そんな時、電撃が叶の身に走った。

「……マサキ」

 それは、五行の一人がマサキの手に落ちた事の一本の伝達であった。既に、五行の一人を雅樹が確保した合図である。

 しまったと云う気持と、時間の流れに逆らえられないと云う気持ちが交互に叶の心に溢れそうになる。

 そして、雅樹に対抗出来る陰陽師を手に入れる事ができるのかどうか?今はその人物じゃ無かった事も有り、より焦りは募る。

 その上それがどの土地なのかまでは見当がつかないが確かに一つの点は消え去った。改めて気を引き締めなければならない。と感じながらも朔夜には敢えて内緒にしておいた。

 今は少しでもこの仲間達との出逢いの余韻に浸っていたかったのである。

ちょっと次の四ノ巻のUPはお時間掛かりますが、待って頂けるとありがたいです。書き終ってはいるのですが。。。その前に次は、ちょっとしたファンタジーをUPしていきたいです。その後、占夢者シリーズをば続けますです。またお付き合い頂けると嬉しいです。

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