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9.色

 太陽とは何ですか。指で指しながらこう質問すれば様々な答えが返ってきた。

 灼熱の星、闇を照らすもの、天体、などと答える人もいれば中には、中心部に存在する水素の50%程度を熱核融合で使用した……などと講釈を垂れる輩もいた。

 太陽の定義を問うだけで幾通りのもの意見が飛び交うのに、少し質問を変えればその数は一層多彩になる。

 その太陽についてどう思いますか。

 それに対し主観的・客観的に、またあらゆる立場・状況から好きか嫌いか、はたまたどちらにも属さない別の答えに枝分かれするだろう。

 人の数だけ答えが返ってくるように、本来人の解釈、捉え方は様々である。意見の違いは時に摩擦をうむ、それが自然であり、また面白いところなのである。

 しかし、それも今になっては過去のこと。現在では、太陽は太陽であり、イコール暑い、なのである。語弊をうまないためにも付け加えれば、冬の太陽の場合イコール暑くない、となる。

 これはほんの1例であり、現在も徐々にこのような現象が広まりつつまる。誰も意図して起こったわけではない。結果的にそうなっていっているのだ。いつしか色は失われ、この世界は1色に染まっていく。今はまさに我々のような人間と1部のロボットが混在している世界。このままいけばロボットだらけの世界になるまでそう遠くはなさそうだ。

 原因は様々に考えられるだろう。その1つは、この私の目の前にある箱のせいではなかろうかと考える。その箱から聞こえてくる声、または映像には無造作に魔法がかけられている。何も考えなくても勝手に頭に入ってくるし、その声を聞くとたちまちに意識は統制される。大衆は右を向けと言われれば右を向き、ある事象に対し悪いと唱えれば、たちまちそれは悪になる。

 考えることをやめた、いや考えなくてもよくなった。と、いうべきかもしれないがその魔法は無限に存在したはずの色を排除し、またたく間に1色へと染め上げる。

 このままではまずいだろう。私に出来ることは限られている。それで少しは侵食を防げるだろうか。厳しいかもしれないがやるしかない。


 大地が生んだ柔らかい光が艶やかな雫を宝石へと変化させ、無限とも思える広がりは空を青色に染めていく――


 書き出しはこんなものでいいだろう。読み手に色を投げかける。それしか私には出来ないのだから

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