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5.テレパシー

 あれは授業中のことだった。突然声が聞こえてきたのだ。

 僕はそれがただの声でないことは理解できた。自分の心にだけ聞こえる声で他人には聞こえていない。

 声の主は女の子だった。初めは驚き、会話にならなかった。次第に落ち着きを取り戻すと、相手のことを色々聞くことが出来た。彼女は遠い場所に住んでいて、年齢は自分よりも年下であることも分かった。


 心の声で会話をしていく内に段々と楽しくなっていった。お互いが色んな悩み事を打ち明けるようにもなった。


 それから数年が経ち、僕は大学に進学した。彼女も後を追うように同じ大学に入学してきた。僕たちはしばらくの間、心の声だけで楽しんでいたが、それだけではもの足りなくなっていき、ついに彼女と初めて対面した。それからお互いに距離を縮め、その年の暮れには恋人同士になっていた。


 月日が経ち、社会人になったあたりで、お互いの心の声は聞こえなくなっていた。それと同時に僕は結婚のプロポーズを決意した。彼女はもちろん承諾してくれ、晴れて僕たちは夫婦になった――。


 今思えば、これは必然だったのかもしれない。あの心の声のことを僕たちは、「赤いテレパシー」と呼んでいる。そう初めから決められていた運命だったのだ。


 彼女は、今はもう心の声は聞こえないらしい。



 おっと、同僚の女性からだ。


 電話かって? いやいや心の声さ。運命からは逃れられるはずもないだろう。

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