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Myth World  作者: マック
第一章 『四重奏曲』
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第七話 東の草原

さて、やって参りました東のフィールド!兄弟に見捨てられ、頭のおかしい鍛冶屋のパシリをさせられている今日この頃。

くそ、思い出したら腹が立ってきた。


そういうことで、今町から東のフィールドに出たところだ。

この東のフィールドは草原フィールドで、一面に緑が広がっている。

これだけなら綺麗な景色なのだが・・・

草原には魔物とたくさんのプレイヤーが広がっている。


デスゲームになったって言うのになんでこんなに人がいるんだ?

未知のフィールドだって言うのに・・・


あぁ、そういえば掲示板があったか


たぶんあれで一番簡単な東のフィールドに来たのか。

ただ納得は出来ても目の前の混雑したフィールドがどうなるわけでもない。


「とりあえず狩ってみるか」

そう決めて町の前から離れ目の前の草原を駆け出す。

少し走ると、ちょうどポップしたばかりの魔物が目の前に出てきた。


その魔物は頭に髪は無く肌は緑、身長は小学生くらいで手には棍棒を持っている典型的なゴブリンだ。


よし!この刀の試し切りと行くか!


刀を抜きゴブリンに軽く走りながら近づいて行くとゴブリンはアクティブらしく、低い唸り声を上げながら突っ込んで来た。

お互いに駆け寄り、ゴブリンが近づいた俺に対して棍棒を振りかぶる。

しかし、振り終わる前にゴブリンの頭から赤色のエフェクトが吹き出し、そのまま倒れていった。


おいおい一撃かよ・・・


攻撃した際に派手なエフェクトが出たから頭が弱点だったのだろうがそれにしても一撃とは・・・

いくら技術があろうとも与えられるダメージはレベルやスキルに依存している。

レベルはまだ1だし、スキルに至ってはまだ手に入れてすらいないのにこの威力と言うことは


「この刀だよなぁ・・」


この刀の名前は【狼刀・改】、NPCの店で買える初期の刀の攻撃力が110らしい、そしてこの刀の攻撃力は230。

どうやったら開始2日目で最初の武器の二倍の攻撃力を持った武器が作れるんだよ・・・

たぶん、狼の素材の他に何かしら加えるかしたのだろう。名前の後ろに“改”とかついてるし。


ただ相手が弱かったのもある。

俺はさっきの戦いではただ速く斬っただけだ。

俺が近づいてゴブリンが振り上げる動作を始めた瞬間、今出せる最大のスピードを出してゴブリンの懐に入り込み頭を斬り裂いた。


しかし、まだレベル1の俺のスピードなんてたかが知れてる。

それなのに防御するそぶりも無くそのまま腕を振り上げたということは、攻撃動作に入ったらそれ以外の行動は出来なくなるのだろう。


こういうところはゲームっぽくて安心する。

他の魔物とは戦ってないがこのレベルなら相手にならない。

と、そんなことを考えていると

ポーン


【スキル『刀剣』を取得しました。】


お!やっと手に入れたぜ戦闘系スキル!

よし、決めた!レベルをめちゃくちゃ上げて驚かせてやる!


しかし、そうなると

「このレベルとやってもしょうがないなぁ」

弱くて、明らかに取得経験値も少ない相手をこんな大人数で奪い合ってたらレベルなんて一行に上がらないだろう。

だったらもっと強くて人が少ないところに行けばいいだけだ。

そうと決めると草原の奥に向かって走っていった。


俺はやっとゲームらしくなってきてたことに笑顔を隠せなかった。


************

[東の草原]探索情報共有スレ☆2

1.情報屋

このスレでは東の草原フィールドについての攻略情報に関するスレです。

関係のない事は他の雑談スレでお願いします。


過去スレ:[東の草原]探索情報共有スレ☆1


〜〜〜〜〜〜〜中略〜〜〜〜〜〜〜

237.カイト

ちょっとみんな聞いてくれ・・・

俺は今東の草原にいるんだが恐ろしいもんを見ちまった・・・


238.朴念仁

新しい魔物か!?


239.ヤス

昨日のバーサク女にでもあったか?wwww


240.カイト

いや、昨日のやつとは違うと思う。

俺が見たのは男だったし。


241.リン

その言い方だと昨日の女性のような感じなのですか?


242.カイト

あれとはまた違った怖さだ。

あの女が恐怖だとしたら、俺が見た男は狂気って感じだった。


243.朴念仁

kwsk


244.リン

kwsk


245.カイト

俺は仲間も居ないが、東なら一人で狩れると聞いて魔物を狩っていたんだ。


5体目の魔物を倒した時だったよ。

目の前からひとりの男が走って来たんだ。

それだけなら俺もどうとは思わなかったんだけど・・・


そいつ、笑ってたんだよ。


いくら魔物が弱いとはいえ命がかかってるのに、そいつは楽しそうな笑みを浮かべながら走って来たんだよ。


俺は気味悪いと思いながらその男が走って行くのを見ていたんだが、途中で草陰から狼が走っている男の横から二匹の狼が男に飛びかかったんだ。


危ない!と叫ぼうと思った次の瞬間、二匹の狼はもう派手なエフェクトを撒き散らしながら倒れていったんだ。

何が起こったかわからず呆けているたんだが、あいつの顔を見た瞬間俺は気づいたら走って逃げてたよ。


だってあの男、薄くなって消えていく狼を見て・・・笑ってたんだ。


246.朴念仁

ぎゃあああああああああ


247.ヤス

怖すぎだろそいつ・・・

誰だよ・・・


248.リン

怖いのもありますがいくら弱いとはいえ、不意打ちで襲って来た狼二匹を瞬殺とは・・・

相当高いプレイヤースキルの持ち主でしょうね。


249.カイト

それから俺は街の宿に引きこもってる。

やっぱり一番怖いのはプレイヤーだな。


************


町を出てから一時間ほどたった。

道中は二匹の狼に奇襲されたり、ゴブリン10体と鉢合わせたりしたが一体一体が弱いので未だにダメージをくらってない。

他にもホーンラビットはいるがパッシブらしく、襲ってこなかったので素通りした。

30分ほどしたところから人が少なくなり、戦う回数が増えたので、レベルは3になった。


今のところステータスはAGIに振っている。

STRにわざわざ振らなくとも敵が全て一撃で死んでいく、VITに振らなくても当たらなければどうということはない。

AGIに振った方が今のところは殲滅スピードも上がり、経験値効率がいいだろうということだ。


スキルもレベルが上がり、新たなスキルも得た。

『刀剣』レベル3

『回避』レベル1

『格闘』レベル1

『感覚』レベル2

と、こんな感じだ。

それに今使えるアーツは

《スラッシュ》(刀剣)

《ステップ》 (回避)

《突き》 (格闘)


全て使ってみたが、《スラッシュ》は肩口から斜め下に斬り裂くと発動出来て、発動すると刀身が白色に淡く光る。

威力の方はそもそもアーツを使わなくても一撃なのでどう変わったか分からない。


《ステップ》は任意の方向に跳ぶ時に発動出来て、回避する際に足下が淡く光る。

これは普通に跳ぶときよりも少し距離が大きくなった。


《突き》は無手の状態で相手に向かって手を突き出す時に発動出来て、これもまた手が淡く光る。

このアーツをゴブリンに使ってみたが、倒しきるまでに4発も使わなければならなかった。


まぁ結果今のところアーツは使う必要はない。

アーツを使うにはSPも使うし。


今更だが自分の視界の端には三つのゲージがあって、上から緑色のHPバー、水色のSPバー、紫色のMPバーがある。

HPは自分の残りの体力で攻撃を受けたりなんらかのダメージを受けると消費される。

デスゲームであるこの世界ではHPが0になると死んでしまう。

SPはアーツを使う際に使うアーツによって決められている量を消費して、MPも魔法を使う時に魔法ごとに必要なMPを消費する。

使い必要がなければどれも消費しないに越したことは無い。


街から離れたからかプレイヤーは少なくなっており、周りにも魔物はけっこういるようだ。

これ以上行くと昼頃までに戻れなさそうだし魔物は弱いままだがここで狩りをすることにする。

「いっちょやりますか! 」

そう言って最初の獲物に駆け出して行った。



それから魔物を一撃で屠り、すぐに次、また次とひたすら倒し続けて30分が経過していた。

もう疲れた・・・

手応えの無い敵をひたすら狩り続けるのはもはや作業になって来た。

もう結構な素材が集まったし、そろそろ帰ろうかと思っていたところで、これまで見たことのない魔物が現れた。


それは狼ほどの大きさをした黒猫で、こちらに悠々と近づいてくる。

見たことのない魔物だったので油断せずに相手の出方を見ようと刀を構えていると、周りの草陰から10匹ほど狼が出て来た。


さっきまで居なかったはず・・・


そんなことを考えてくるとその中から一匹の狼が襲って来た。

いつも通り、飛びかかってくる狼の首を刀で下から切り上げ仕留める。

すると前と後ろからすでにもう二匹が飛びかかってって来ていた。

「ちっ」

流石に前後を両方を攻撃することは出来ないので、前の狼を切り捨てながら横に飛び退く。

するとまちかまえていたように4匹の狼が迫っていた。

なんでこんなに統率がとれてるんだ?

これまで狼の群れに襲われたことはあるが、こんなに統率のとれた行動はして来なかった。

チラリと横を見ると黒猫は少し離れたところからこちらを眺めている。


たぶんあいつだ!


この狼たちはあいつと戦闘になると強制ポップするのだろう。

さらに戦闘が始まればあの黒猫の能力で狼は統率のとれた動きをする。


あの猫うぜぇぇ〜〜


司令塔があの黒猫ならあいつをやれば楽になるはずだ。

そうと決まれば次々と迫ってくる狼を受け流し、全速力で黒猫に向かう。

しかし途中で黒猫との間を遮るように二匹の狼が立ちふさがる。

一匹は飛びかかって来る前に顔を斬りつけ、もう一匹は飛びかかって来たところを蹴って弾き飛ばす。

そのまま黒猫の近づこうとするが後ろから追って来た狼に対応するため足を止めると、また囲まれてしまう。


仕方ない、地道にやるか。

それから5分ほどで、狼は全て仕留めた。

面倒だったが、慎重に戦ったのでダメージは無い。

するとこれまで眺めているだけだった黒猫がいきなり飛びかかって来た。

その飛びかかるスピードは狼よりも断然速く、躱し際に斬りつけるが、浅くてあまりダメージが入ってないようだ。

着地したところから黒猫は動かないので今度はこちらから行く。

「《スラッシュ》! 」

アーツを発動するには発動したいアーツの名前を口に出さないといけない。

そのおかげで、マンガみたいにわざわざ敵の前で出す技を叫ばなければならないという痛々しいことになっている。

黒猫に白く光る刀身が襲いかかるが、あっさり逃げられてしまう。

「ちくしょう! 」

いくらプレイヤースキルが高くてもそもそも追いつけないんじゃ意味が無い。

こっちから攻めてダメなら待つだけだ。

追いかけるのをやめ、黒猫を正面に捉えながら刀を構える。


それから数分間睨み合った。

しかし痺れを切らした黒猫がとうとう突っ込んで来た。

来た!

確かに黒猫は速いが正面から来ればそれに合わせるのは簡単だ。

「《スラッシュ》! 」

完璧なタイミングで放たれた白い斬撃は黒猫の顔面を捉えた。

しかし、それでもまだ倒れない黒猫は一旦距離を取ろうとするがもう遅い!

逃げ出す前に背中を踏みつけ一瞬動きを止める。

すぐに足を跳ね除けるて立ち上がるがその時にはもう俺の刀は黒猫の首を捉えていた。


「倒したぁ〜〜」

いや〜、なかなか強かった。

あの魔物は素材からすると、化け猫らしい。

ちょうど魔物狩りに飽き飽きしていたところだったから、けっこう楽しめた。

それにしても、このレベル帯であの強さだと並のプレイヤーなら死んじまうよ。


ユニークモンスターでは無いかと思っているが一応この情報は掲示板に乗せておこう。


【レベルが上がりました!】

【『刀剣』のレベルが上がりました!】

【『回避』のレベルが上がりました!】

【『格闘』のレベルが上がりました!】

【『感覚』のレベルが上がりました!】


おお!一気にレベルが上がった!

やっぱり強い魔物はイイね!経験値が美味しい。


レベルが2あがっていたので、全てAGIに振っておく。

さて、もうけっこう素材は集まったし、

「帰るか」


そう言ってまた町に向かって駆け出し始めた。





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