表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Myth World  作者: マック
第一章 『四重奏曲』
3/34

第三話 ルール確認!

「おーい、ユウ〜」


とりあえず家族と合流しようと最初の広場をふらふら探していると後ろから声をかけられた。

「やっと見つかったよ」

「俺もちょうどケン兄達のこと探してたんだよ」

「集まってないのはお前だけだよ。

エリとマリはもう揃ってる」

と笑いながら言われた。


なるほど、迷子は俺ですね、わかります。

ちなみに俺たち兄弟のキャラネームはシンプルに

健斗→ケン

莉緒→リオ

優介→ユウ

真里→マリ

という感じだ。


リアルでもこんな感じで呼び合ってるからとても呼びやすい。

さらに我が家のルールとして、自分より年上の兄弟の名前を呼ぶ時は、〜兄か〜姉と呼ぶようにしなければいけない。

小学生の時、ケントと呼び捨てにしたらなぜか母親に怒られた。

理由はよくわからん。

そのためゲーム内でも癖でケン兄と呼んでしまっている。

まぁ別にゲーム内で親しい人は俺たちが兄弟だって知ってるから問題はないけどね。



ケン兄の後について行くと、広場の壁際にマリとリオ姉がいた。二人で何か話しているようだ。

二人ともあまり落ち込んでいる様子ではないようだ。

というか落ち込むどころか笑顔で笑いあっていた。

うん、榎本家の女性はたくましいね!

いや、ただのゲーム廃人なだけか・・・

二人が喋っているところに近づくと

「あ!ユウやっときたね! 」

「ユウ兄おそーい! 」

「ごめん、ごめん」


うん、やっぱり全然大丈夫みたいだ。

ちなみに他の3人のアバターは俺と同じく顔は変えずに、髪の色を変えている。

顔は変えていないと言っても現実の顔が贔屓目に見なくても3人とも整った顔立ちをしていると思う。

俺?うん、悪くはないと思いたい...

それぞれの髪型は俺とケン兄がそれぞれ銀髪と赤髪のショートで、リオ姉はミントグリーンのロング、マリは茶髪のミディアムだ。


「よし、全員揃ったからこれからのことを話そう」

俺が女性陣から文句を言われているとケン兄が真面目な顔をして言った。


そうだった。

ここはただのゲームではなくデスゲームなんだ。気を引き締めないと!

「とりあえず、そこの扉の向こうに行ってみなきゃ始まらない」

「そりゃそうだ」

「そうだね」

「じゃあ早く行こう!」

一番下の妹の場違いな明るさに、苦笑しながら俺たちは人がまばらになりつつある扉の前へと歩き出した。


扉をくぐり抜けるとすぐそこの地面に円状の青く光るポータルが置いてあった。

「よし、じゃあ行くか!」

ケン兄の掛け声とともに俺たちはポータルの上に足を踏み入れた。


************


目を開くと目の前には噴水があった。

噴水の周りは大きな広場になっているようで広場の端にはベンチが置いてあり、広場を囲うように林が広がっている。


「ここいるのは邪魔だから端に行こう」

俺たちはとりあえず空いているベンチに腰をかけた。


それにしてもVRゲームとは思えないほどのグラフィックだ。

噴水は陽の光を反射して輝いているように見えるし、木々も青々としている。あまりのグラフィックの高さに俺とリオ姉とマリはつい見とれてしまっていた。


「それじゃあこれからの方針を決めようか」


ケン兄の言葉で我に返った俺たち。

さすが長男!しっかりしてるぜ!

「まずは確認なんだが...」

「今の状況で不安なやつはいるか?」

その言葉に俺たちは互いに顔を見合わせた。

しかし互いの顔には不安気な表情など欠片もなく、それどころか皆不敵な笑みを浮かべていた。

質問をしたケン兄でさえ目が笑っていた。

「聞くまでも無かったな」

と苦笑しながらケン兄は頭をかいた。


デスゲームでもいつもと変わらずとか頭おかしいだろ。

まぁ俺もだが。


「最初はRPGの基本、情報収集をしようか。まず全員で運営の言ってたメニューにある説明書を読んで各自ここの広場を中心に情報を集める。集まり具合に関わらず2時間たったらここに集合でどうだ?」

「りょーかい」

「それでいいよー」

「わかった!」


さすがゲーム廃人の兄弟、ゲームとなれば行動が早い。


やることが決まったので各自メニューを開いて運営が言っていた説明書を読み始める。メニューについてだが、頭の中でメニューと念じると視界に半透明の青い画面が浮かび上がる。

自分の見たい項目は頭で念じれば勝手に開く。


おじさん世代の人の中にはこれすらスムーズに出来ない人もいるみたいだが、生まれた時からVR世界に使っている俺たちからすれば意識するまでもなく出来る。


メニュー画面の項目を確認するが、やはりログアウトボタンは無かった。

その代わり一番下には説明書と書かれたタブがあった。

説明書のタブを開いてさっそく俺も説明書を読み始めた。


10分ほどして説明書を読み終えた。

読み終えた頃にはケン兄はベンチからいなくなり、リオ姉もベンチから立ち上がって

「じゃあ先行くね〜」

「行ってらっしゃ〜い」

「じゃあね〜」

そう行って広場の外に駆けていった。

さて、さっき読み終わった説明書だが・・・


正直ほとんど重要なことが書いてなかった。

ゲームの仕様についてはレベル+スキル制で、魔物を倒すなど何かしらの行為で得た経験値によってレベルが上がり、レベルが上がれば基礎ステータスにポイントを割り振って基本能力を上げることが出来る。

基礎ステータスはSTR、DEX、VIT、AGI、INT、MENの6種類。

それぞれ、筋力、器用さ、体力、敏捷、知力、精神力となっている。

このステータスの振り方によって与えるダメージが増えたり、攻撃が当てやすくなったりする。

スキルについてはそのスキルを使えば使うほどスキル経験値がたまり、スキルレベルが上がる。スキルレベルが上がるとスキルの効果が高まり、アーツと呼ばれる武器を使った技が出せたり、新しい魔法が使えるようになる。

しかしこのスキルがやっかいで、スキルがものっそいアバウトなのだ。

普通のMMORPGなら片手剣のスキルとか、両手剣のスキルとか種類ごとに分かれるのに対し、このMWは

『刀剣』

これ一種類しか剣に関するスキルがないのだ。


まぁレベルを上げれば上位派生していくみたいだが派生先が何かは書いてなかった。

魔法は普通に『火魔法』とかそんな感じだ。

他に書いてあったのはアーツや魔法の使用方法についてだが、アーツは使うアーツの名前を言ってから入力時間内に指定された動作をするとアーツとしての効果を発揮する。

そしてこのゲームの驚くべきところはここなのだが、戦闘面に関してはシステムアシストがほとんどないのだ。


もちろん基礎能力値などは上げればこれまで重かったものが軽く感じたり、足が速くなったりするのだが、アーツは指定された動きをすれば威力は上がるが指定された動き自体には何の補助もないのだ。魔法もその魔法ごとに指定された呪文を唱えなければ発動出来ない。


とんだ鬼畜ゲームだ!


このゲームはプレイヤースキルの高さが強さに比例する。


だがしかし、これにもメリットはある。

普通のVRMMOではこういう技を使った後は硬直時間やクールタイムが

必要だがMWにはこれがない。

したがって戦闘面のほとんど全てがプレイヤーの腕にかかっているのだ。


初心者には申し訳ないが俺からすればこの仕様は願ったり叶ったりだった。

ナルシストだと思われるかもしれないがVRゲームに関しては他の人よりも一日の長があると思っている。

他には特に特殊な点は無かった。


よし、それじゃあ俺もいっちょ情報収集して来ますか!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ