第一話 始まる、聖獣バトル
西暦20XX年、日本中をとあるゲームが席巻した。そのゲームの名前は「聖獣王伝説」 このゲームは、自ら聖獣と呼ばれる存在を使役する存在「神司」となって、数多く存在する聖獣達を一回の戦闘で最大五体まで使役した状態でバトルを行い、それを続けて行く事で自ら強くなっていき、最終的に「聖獣王」と呼ばれる最強の聖獣を倒すことが求められるゲームである。
登場以来、子供から大人と幅広い世代の人間を夢中にしたこのゲームの名前は、今や知らない人間は居ないレベルまで生活に浸透している。
これは、聖獣王伝説を通して切磋琢磨する主人公とその仲間達の、友情と戦いの物語である。
その少女は、ある時より同じ夢を見る事になった。ある場所から、何も無い場所に一つの光が降り立つ光景を。降り立った光は美しい女性の姿に変わると、全身から暖かい光を放つと同時に、何も無い場所に大地を、海を、空を作り上げた。その後、女性は一際強い光を発し、それを四つの塊に固めた。
そして、何故だかは不明だが、この時点でいつも彼女は目覚めるのである。
「ま…また同じ夢……」
朝日で明るくなり始めた窓の外を見ながら、少女はベッドの上でこう言った。少女の名前は「樋田愛乃」と言い、この物語の主人公である中学二年生の少女だ。
「テレビの見すぎなのかな?」
まだ眠気の残る頭をぶんぶんと振りながら、愛乃はこう思った。と言っても、彼女は余りゲームもしなければ本も読まないので、普段の暇つぶしが必然的にテレビになると言うだけの事だけである。だが、見るのは大概ミステリーや旅番組なので、ファンタジーに縁は殆どない。それでありながら、何故世界が創造される場面と言う、ファンタジーによくある光景を夢で見るのかは分からない。
「まあいいや、起きようっと。」
愛乃はこう言ってベッドから飛び出ると、顔を洗い歯を磨くと、自身の通う中学の制服へと着替えた。その過程で、寝癖に付いている肩までの長さの茶髪もしっかりと整え、見た目だけはしゃっきりとした印象を持たせる少女となった。
その後、学校に持っていく荷物を鞄の中に纏めると、それを持ってリビングに出て行った。
「おはよう!」
「あら、愛乃、今日は早かったわね。」
愛乃がリビングに姿を現すと、先に起きて朝食を用意していた彼女の母は、こう言った。そして、
「悪いけど、もう少し時間が掛かるから、お父さんを起こして来て。」
と、愛乃に頼んだ。
「任せて。」
それを一つ返事で了解すると、愛乃はカバンを置いて自分の部屋の隣にある、父親の書斎へと入って行った。そこには様々な資料が置かれており、部屋に置かれている机やソファー、来客時の対応をする為のテーブルの上にも、散らかると言う表現がしっくりくる程に散乱している。
件の彼女の父親は、ソファーの上で資料を枕や布団のようにして、爆睡していた。恐らく仕事の合間の仮眠のつもりでソファーに横になるも、そのまま朝まで寝てしまったと言う事だろう。
彼女は眠る父親に静かに近寄ると、耳元でこう叫んだ。
「起きろ!!」
その結果、
「は、はい!!」
彼女の父は、驚くべき勢いで飛び起きた。
「おはよう。お父さん。」
驚きでか、周囲をきょろきょろと見回す父に、愛乃がこう言うと、
「何だ、愛乃か。てっきり会社で寝ていたのかと。」
彼は会社で働いている時の夢を見て居たのだろう、こう言った。父に愛乃は、こう言った。
「目覚めたなら、顔を洗ってきて。」
「はいはい。」
父は頭を掻きながらこう言うと、洗面所に向かって行った。
その後、愛乃が再びリビングに現れ、顔を洗った父が同じように現れると、丁度朝食の用意が整っていた。それを家族で三人で食す中、父は愛乃に言った。
「そういえば、今月は愛乃の誕生月だったな。誕生日に欲しい物はあるか?」
「欲しい物?」
愛乃は少し考え込むと、こう言った。
「それじゃあ、バカ将軍TVのDVDBOXが欲しいな。」
愛乃の言葉に、母はこう言った。
「欲しいなら良いけど、夢が無いじゃないかしら? あなたもいい年なんだから、おしゃれとかに拘っても良いと思うけどな。最も、貴女は今のままでも十分に可愛いけど。」
すると、母の言葉に続くようにして、父がこう訊いた。
「そういえば、愛乃は趣味とか持っているのか?」
「趣味?………TV視聴?」
愛乃がこう言うと、彼女の両親は揃ってため息を付き、父はこう言った。
「それは趣味の範疇に入らん。ここで言いたい趣味と言うのは、勉強以外で自分が熱心に取り組める何かの事を言うんだ。」
ここで彼の言いたい事と言うのは、TVを見るのも良いけど、それ以外に楽しみを見つけてはどうだ、と言う事である。
「まあ、それは後々………」
愛乃は言葉に詰まってしまい、助けを求める一貫で時計を見た、針が差している時刻を見た瞬間、
「あ、もうこんな時間!!」
彼女はこう言って勢いよく立ち上がると、カバンを持ってこう言った、
「今日は私当番だった。だから行くね!!」
そして、勢いよく家を出て行った。
「当番だから急ぐって、まだ七時十五分なのに?」
その背を見送りながら母がこう言うと、
「色々あるんだろ、愛乃にだって。」
と、父は言った。
「………はぁ。」
家を出て少し離れた場所までやって来た愛乃は、ため息を付いた。当番と言うのは嘘で、本当はあの話を避けるために逃げてきたのだ。
「趣味か………」
話を思い出した愛乃は心の中でこう思った。新学期になると必ずする事になる自己紹介、趣味を語れと言われた時はとりあえず「TV視聴」を口にしてきたが、他の生徒は一様に違う事を述べていた。その時、それを訊いていた生徒たちの反応は、自身の自己紹介の時より遥かに食いついていた事を思い出したのだ。
「一体何をしろと言うの?文才は無いし絵はやり直し言い渡される程下手だし、楽器の演奏なんて出来ないし、そもそも運動嫌いだし。」
愛乃がこう言った瞬間である。彼女は地面にある物が落ちているのを見つけた。バーコードの付いた、カードゲームのカードと思われるカードである。五月人形の甲冑のような物を見に付けた、黒いドラゴンの絵が描かれ、カードの名前だろうか「ブシドラゴン」と書かれていた。
「誰かの落し物かな?」
愛乃はカードを見ながらこう思った。その後、ほっといて行こうとしたが、何故かほっとくことが出来なかったために、そのまま持って行った。
この時、愛乃は想像さえもしていなかった。たった今拾ったカードによって、自分がとある戦いに足を踏み入れる事になると。
その後、愛乃は当番でも無いにも関わらず早くに学校へと到着し、そのまま朝のホームルーム、午前中の授業と昼食も追えて、昼休みとなった。休日の昼はTVを見て過ごしているが、学校でTVを見る訳には行かず、ワンセグを起動させて教師に見つかり、携帯電話を没収されても面白くないので、基本的に運動場で行われている生徒たちの営みを眺めて、この時間を過ごしている。時折友人と会話する事もあるが、その友人も大概は外に出ているので、基本的に一人で有る。
教室の生徒が一人二人と減って行き、自分と一つの机に纏まっている数人の男子生徒だけになった所で、愛乃は不思議なやり取りを聞いた。
「ジャンケンポン!!負けた!!」
「ジャンケンに勝ったので、融合を発動!聖獣五体を融合させてメタルドラグーンに、技カード、ドラグーンハイドロレーザーを発動!!」
「くっそぉ、また負けた!!」
内容は不明だが、何かの対戦をしているようである。愛乃が近づくと、机の上にはドラゴンや動物、ロボットや恐竜の絵等が描かれたカードが置かれていた。
「あ、樋田さん。どうしたの?」
男子生徒の一人である、たった今決着した戦いで勝利した加藤正輝が愛乃に訊くと、愛乃はカードを指差しながら訊いた。
「ねえ、これ何?」
「知らないの?」
愛乃の言葉に、他の男子生徒は一様に驚くと、説明した。
「最近かなり話題になって来ているじゃん。聖獣王伝説だよ。」
「聖獣王伝説? ああ、いつもCMでやってる。」
愛乃がTVを見るときに度々目にしている、CMを思い出しながら言うと、
「本当に、いつもTVを見てるんですね。」
正輝はこう言って、聖獣王伝説を説明した。
「聖獣王伝説って言うのは、本来はゲームセンターに置かれている筐体で遊ぶゲームで、こう言うデザインの聖獣カードを五枚揃えてチームを作り、聖獣を操る者神司となって、他の神司と戦うって物何だ。」
正輝の説明を聞き、自分の使っていた聖獣カード「ドラグーン」「フェニックス」「エレクトード」「ジェットシャーク」「ステゴサウルス・Jack」のデザインを見ながら、愛乃は思い出した。自分もそういうデザインのカードを、学校に来る前に拾ったのだと。
「ねえ、これは使える?」
愛乃はこう言うと、今朝拾ったカード、ブシドラゴンを取り出して、それを正輝たちに見せた。
「どれどれ?うん、使えるカードだよ。でも、ブシドラゴン? 訊いた事無いな。」
正輝はブシドラゴンのカードを受け取り、デザインをまじまじと見ながら言った。
「そうなのか?テストバージョン時代の名残のカードって可能性も………」
違う男子生徒がこう言うと、正輝はこう言った。
「いいや、俺はこのゲーム自体がテストプレイをしていた時代からこのゲームをしているけど、こんなカードは見た事も無いよ。」
「え? お前あのテストプレイに参加したの?」
正輝の言葉に、男子生徒たちは一様に驚いた。聖獣王伝説と言うゲームのテストプレイは、一定の地域で一握り程の参加者しか出さない上に、その参加者は希望では無く作為的に選ばれた為、実質相当運が良くないと当たらない事になるのだ。
「それに、これは多分コレクション用のカードだね。戦闘力レベルは高めだけど、ここ見て。」
正輝はカードのある部分を指差すと、こう言った。そこには、ドラゴン族、戦闘力レベル6000と、カードの情報が書かれており、属性と言う欄には「鋼属性以外可変」と書かれていた。
「可変?どういう事だ?」
男子生徒の一人がこう言うと、正輝はこう言った。
「さあ、こう言う属性のカードが出るのは初めてだから、実際に使ったらどうなるかは分からないよ。多分、コレクション用のカード何じゃないかな?」
そして、ブシドラゴンのカードを愛乃に返すと、皆に言った。
「そうだ、今近くのゲームセンターで、新システムを実装した聖獣王伝説のテストプレイをしてるんだけど、行かないか?」
「勿論、行くぜ!!」
男子生徒は口々にこう言ったので、正輝は愛乃にこう言った。
「樋田さんはどうかな?折角カードを持っているだし、始めてみたら?」
この言葉に、愛乃は今朝話に出てきた、自身の趣味に付いて思い出した。TVを見る以外にロクな楽しみが無いので、ここらで新しい娯楽にも手を出してみようと考え、こう答えた。
「じゃあ、一緒に行くよ。」
その後、午後の授業も全て終了したと言う事で、正輝が提案した通り学校の近くとは言えないが、清水でも有数のゲームセンターに、愛乃はやって来た。
「じゃあ、行くか。」
正輝はこう言うと、自身が先頭に立って店の中に足を踏み入れた、一緒に来た男子生徒たちが次々と続いて行き、愛乃は最後に店に入った。店の中は筐体の発する音で賑やかになっており、人々の楽しそうな声が響いていた。
「おーい、樋田さん、こっちです!」
周りを見回している愛乃に対し、正輝はこう声を掛けた。愛乃がそれに気が付き、呼ばれた方向に歩いて行くと、そこにはグラサンにアフロと言う、一昔前のクラブDJのような見た目の男の人が居た。正輝が紹介するには、この人はこの店の店長で有ると言う。
「初めまして、他の人に迷惑を掛けないレベルで楽しんで行ってね。」
店長が愛乃にこう言い、
「あ、初めまして。」
愛乃がこう言うと、正輝は店長にこう言った。
「この娘は樋田愛乃さんって言って、今日から聖獣王伝説を始めるんです。」
「え、ちょ、まだ始めるなんて!」
正輝の紹介に、愛乃はこう言ったが、
「そうかい、それは嬉しいな。」
店長はこう言うと、物凄い勢いで店の裏に回ると、物凄い速度で戻って来て、愛乃にある物を渡した。
「はいこれ、デッキ強化用五枚入りパック3つとデッキケースをセットで、サービスでタダでプレゼント。」
「え、ど、どうも………」
店長の勢いで、愛乃はどうにも言う事が出来ずに、大人しくパック3つセットとデッキケースを受け取ってしまった。
その後、自動販売機や四つのイスが有るテーブルが揃った、休憩所となっているスペースでパックを開いた。結果出て来たのは、
聖獣カード
フェニックス、石距、戦乙女・イスフィール、アーク・マンティス、サンダーバード、ソードロイド
技カード
ハイドロレーザー、フェニックスブレイバー、ファイアーボール、アパッショナート、アクアセイバー、エレキボール、ブレイキングラッシュ、斬撃の舞、主砲サイクロン・ノヴァ
だった。
「それで、これをどうするの?」
愛乃が訊くと、正輝は説明した。
「この中から、チームに入れる聖獣とその聖獣に使う技カードを選択して、デッキの中に入れておくんだ。見た感じ、全部引き当てた聖獣に使えるカードだし、全部入れておいたら。」
正輝の説明の通り、店長から渡されたデッキケースに、ブシドラゴンのカードも含めてデッキケースに入れた。
愛乃の準備も整った所で、正輝たちはゲームコーナーに戻り、一際広いスペースへと入った。
「そしてこれが、今話題のゲーム、聖獣王伝説!!」
正輝が部屋の中を指差しこう言うと、愛乃もそこに入り、広がる光景を見た。人一人が入れるカプセルのような入れ物が多く存在し、部屋の中央には巨大なディスプレイが設置され、カードに描かれたキャラクターが激しい戦闘を繰り広げる光景が映し出されていた。
「これが………」
愛乃が言葉を失っていると、正輝はスタッフの居る所に行って、こう訊いた。
「筐体開いてますか?」
こう訊かれたスタッフは、
「丁度一つ空いているよ。正輝君もやるの?」
正輝と顔見知りなのか、彼にこう訊いた。対する正輝は、
「今日は俺じゃなくて、あっちに居る樋田さんが初めてプレイするんだ。」
と、言った。
「そうか、じゃあ神司登録まだだね。」
スタッフがこう言う中、正輝の近くにやって来た愛乃は、こう言った。
「神司登録?」
「神司登録って言うのは、いうなれば自分のデータをゲームに入力して、聖獣バトルの参加者として認めてもらう事なんだ。」
愛乃の言葉に、スタッフはこう説明すると、
「まあ、説明を聞くより実際にプレイすれば分かるよ。こっちに来て。」
と言って、愛乃たちを連れて開いている筐体の元に行き、扉を開くと愛乃をその中にあるイスに座らせた。
「それで、どうするんですか?」
愛乃がこう訊くと、扉が閉まり、中にスタッフの声が響いた。
「今から君をバトルの会場へと飛ばすから、そこに居る案内役に従ってくれ。それでは、検討を祈る!!」
スタッフがこう言うと同時に、愛乃は何とも言えない浮遊感を感じ、気が付いた時には荒野を思わせる場所に立っていた。
「あれ、ここどこ?私今までイスに座っていた筈なのに。」
愛乃が周りを見回しながらこう言うと、
「ほう、お前が新しい神司か?」
と、背後から声がした。その方向を見ると、長い赤髪と体の形状が良く分かる黒い装束に身を包んだ、文字通りの美少女が立っていた。
「誰?」
愛乃がこう言うと、
「私は知恵と戦術の女神、人呼んでアテナだ。と言っても、その物では無く神司のナビゲートを行う、ただのプログラムであるがな。」
アテナはこう言って、愛乃にこう訊いた。
「今から神司としての登録を行う。神司としてお前は何と名乗る?」
「えっと、私の名前は樋田愛乃って言うんだけど?」
「樋田愛乃、これで良いんだな?」
愛乃の言葉に、アテナはこう言うと、
「樋田愛乃、神司として登録する。」
と言って、ゲームの中に彼女のデータを登録し、愛乃にこう言った。
「初めてのバトルとなると、練習相手に…………彼はどうだ?」
アテナがこう言うと同時に、愛乃の目の前で激しい光が発生すると、その光は人型に収束して、一人の少年の姿になった。半袖のTシャツに長ズボンを履いた、悪い容姿では無いが左程飛び抜けた印象も無い少年であり、銀色に輝く大剣を持っている。彼の右上には、神司としての名前なのだろう「綾小路源」と表示されている。
「綾小路源、相手にとって不足は無い筈だ。」
アテナがこう言うと、現れた神司「綾小路源」は五枚のカードを取り出すと、大剣に付いているスロットに差し込んだ。その結果、彼の目の前に激しい光が五つ現れると、それぞれ尾の先に鰭のような部位、両腕に手甲を装着し、翼を持たない青い鱗を持つドラゴン。全身が炎で覆われた鷹を思わせる姿の鳥型聖獣。黒い全身で脇腹と背中に稲妻のマークを持つ蛙型聖獣。胸部にサメを思わせる装飾を持ち、両腕に刃を装備したロボット。恐竜のステゴサウルスを模した姿の聖獣が現れた。
現れた聖獣の上には、名前のステータスを表しているのだろう、
ドラグーン
ドラゴン族 ・ 水、鋼属性 ・ 戦闘力レベル 4000
フェニックス
獣族 ・ 炎、風属性 ・ 戦闘力レベル 4000
エレクトード
獣族 ・ 雷属性 ・ 戦闘力レベル 4000
ジェットシャーク
機械族 ・ 炎、雷、鋼属性 ・ 戦闘力レベル 4000
ステゴサウルス・Jack
恐竜族 ・ 大地、鋼属性 ・ 戦闘力レベル 4000
と、現れた順に表示された。
「と、私はどうすれば良いの?」
愛乃がこう訊くと、ナビゲーターであるアテナは、こう言った。
「どうやらチームの指定はしていないようだな。なら、この中から召喚する聖獣を五体選択するんだ。」
すると、愛乃の目の前に自分のデッキに入っている聖獣カードが表示された。その内の五枚を選ぼうとした瞬間である。
(俺を使え。)
一瞬であるが、頭の中でこう響いてきた。
(誰?)
愛乃がこう思った時、表示されているカードの中で一枚、一際輝きを放っているカードを見つけた。
「ブシドラゴン?」
愛乃はそのカードを見ると同時に、迷う事無くカードをタッチし、バトルで使う五体の聖獣を決定した。
その結果、彼女の目の前には武者甲冑を身に着けた黒いドラゴン、全身が炎で覆われた赤い鷹のような鳥形聖獣、頭は蛇のようだが尾が八つに裂けた生き物、背中に一対の大きな白い翼を持つ藍色の装束に身を包んだ美しい女性、全体的に剣を思わせる見た目のロボットが現れた。彼らの頭上には、
ブシドラゴン
ドラゴン族 ・ 鋼属性以外可変 ・ 戦闘力レベル、6000
フェニックス
獣族 ・ 炎、風属性 ・ 戦闘力レベル 4000
石距
獣族 ・ 水、大地属性 ・ 戦闘力レベル、3000
戦乙女・イスフィール
妖精族 ・ 風、鋼属性 ・ 戦闘力レベル 6000
ソードロイド
機械族 ・ 炎、雷、鋼属性 ・ 戦闘力レベル、3000
と、現れた順番に表示された。
「では、聖獣バトルの始まりだ。健闘を祈るぞ!!」
アテナはこう言うと、邪魔にならないようにすためか、それとももう説明する事が無くなったためか、光となってその場から消えた。
そして、互いの聖獣が向かい合うと、戦場にアナウンスが響いた。
「聖獣バトルを開始します。」
(いよいよ始まるんだ。)
愛乃がこう思うと、彼女にとって初めての聖獣バトルが始まった。
本当はバトルの描写も入れたいのですが、長さの都合上バトルは次回に持ち越しです。