69.体系化
「うむ。それじゃあ、お互いに少し教え合ってみるかの」
(お……? ということは、俺もドイツ式をやってみるってこと?)
そうして、日本式封魔術とドイツ式封魔術をお互いに教え合いが始まった。
界もヨハンに教わりつつ、ドイツ式をやってみることになった。
「界くん、ドイツ式のルーン文字を使った封魔術について解説するね」
「ありがとうございます」
ヨハンは懇切的寧にドイツ式封魔術について解説してくれた。
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【ドイツ式封魔術】
基礎ルーン → 拘束ルーン → 意志ルーン
の3つのルーンから構成される。
それぞれには下記のような意味がある。
基礎ルーン:霊魔の「属性」を表す
拘束ルーン:霊魔力の「封じ方」を表す
意志ルーン:術者の「封印の動機・感情」を込める
それぞれに対して、使えるルーンが決まっている。
基礎ルーンとして使えるルーンの例
ᚾ ナウディズ 苦痛・抑圧(怨霊系)
ᛇ エイワズ 死と再生(屍霊系)
ᛃ ジェラ 循環・変化(自然精霊系)
ᛉ アルギズ 防御・聖域(神霊・上位霊系)
拘束ルーンとして使えるルーンの例
ᛒ ベルカノ 包囲・護封(防御結界で包む)
ᛏ ティワズ 強制・抑圧(力でねじ伏せる)
ᚠ フェフ 吸収・弱化(魔力を奪う)
意志ルーンとして使えるルーンの例
ᛗ マンナズ 人間性・共感(鎮めるため)
ᚨ アンスズ 神託・使命(命令として)
ᚲ カウナズ 苦悩・怒り(復讐のため)
基本的に対象の霊魔に合わせて、「基礎ルーン」、「拘束ルーン」、「意志ルーン」から1つずつを選び、組み合わせることで封印を行う。
例えば、
基礎ルーン→拘束ルーン→意志ルーン
ᛃ → ᚠ → ᛗ
といった具合だ。
さらにそれぞれのルーンに対して、詠唱も決まっている。
例えば、
ᛃであれば、
Schließe den Kreis des Schicksals – nähe ihn hier und jetzt.
(因果の輪を閉じ、今ここに縫いとめよ)
ᚠであれば、
Mit der Kette der Gier sei es gebunden.
(欲を縛りし鎖をもって、囚わん)
ᛗ であれば、
Mein Wille erkennt dein Sein und beansprucht es.
(我が意志、汝の存在を認め支配す)
となる。
また、解呪のときは、この逆順を辿る。
意志ルーン→拘束ルーン→基礎ルーン
また、解呪時もそれぞれのルーンに解呪用の詠唱が準備されている。
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「ほぇー、すごくきっちりと決められているんですね」
ヨハンの解説を聞いた界は、ドイツ式封魔術の体系化され具合に驚く。
「そうだね。魔力の素養があり、ルーン文字や詠唱をしっかり覚え、遵守できれば、使えるようになっているよ」
(……日本式も見習った方がいいのでは?)
「ただし、魔力の上限が減ってしまうから使い過ぎには注意だ」
(なるほど、その点は日本式と変わらないんだね……)
などと、界が思っていると、隣りからじいじの声が聞こえてくる。
「リーゼちゃん、縛印、伏印、締印の順番で行うのじゃ」
(……言われてみると、その辺はドイツ式に似てる?)
と、界は一瞬、思ったが、
「それで、縛印はこう! 伏印はこう! 締印はこうじゃ!」
「えぇ……!?」
リーゼは戸惑っている。
(…………うわぁ、こうして見ると、日本式はほとんど勢いじゃん……)
「ははは……」
それを見て、ヨハンも苦笑いしている。
「よし、それじゃあ、界くん、ドイツ式封魔術、やってみようか!」
「……はい!」




