7/7
最終章:異類婚姻譚
数年後。
月の森には、小さな集落ができた。
人間と異類が共に暮らす、稀有な場所。
ジュリエナは、そこで「月の巫女」として、人々の仲介役を務める。
ある夜、少女が訪ねてきた。
「ジュリエナ様……私は、獣に選ばれました。でも、怖くて……」
ジュリエナは、微笑んで手を差し伸べる。
「大丈夫よ。異類と結ばれるのは、終わりじゃない。新しい始まり。私も、最初は怖かったわ」
「でも……人間じゃなくなるって、聞いてます」
「そうね。でも、人間だけの心じゃ、守れないものもある。愛も、正義も、希望も──時には、獣になることで、人間らしさを取り戻せるのよ」
少女は、涙を浮かべてうなずいた。
その夜、満月が輝く中、新たな契約が結ばれた。
そして、物語は繰り返される。
悪役令嬢の物語が、正義の物語に変わる。
人間と非人間の境界が、愛で溶けていく。
異類婚姻譚──それは、差別の終わりと、新たな共生の始まり。
THE END




