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第四章:婚礼の夜
満月の夜。
月の森の中央に、円陣が描かれる。
ジュリエナは白い巫女装束を纏い、銀の花を髪に飾っていた。
獣は、角を輝かせ、彼女の前に跪く。
『ジュリエナ・ルミ・バルクロア。お前は、我の花嫁となり、月の契約を完全に結ぶ。よろしいか?』
「よろしいわ。私の心の半分を、あなたに捧げる」
誓いの言葉と共に、獣は角をジュリエナの胸に押し当てた。
光が迸り、天を裂く。
彼女の体が浮かび上がり、髪が銀に染まり、瞳が七色に輝く。
肌には月の紋が走り、指先からは月光の刃が生まれた。
そして──彼女の心の一部が、静かに消える。
優しさ。
無邪気な笑い。
誰かをただ愛する純粋な感情。
代わりに、得たのは──運命を切り裂く力。




