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異世界食べ歩き日記〜チートでもぐもぐ旅 ~  作者: 犬沼わんわん
第1章はじまりはじまり
6/23

異世界生活2日目。



明かり取りの用穴から差し込む陽の光で外が明るくなったことに気がつく。



「…土の上は…眠るところではありません…」



異世界生活2日目。最初の独り言である。

控えめにいって全然眠れなかった。エルフの織布のおかげで少しはましだったはずだが、どの体勢でもどこかしら床の硬さが気になってしまうし何よりゆっくり土に体温が奪われる。



しかしながら、起き上がって身体を動かしてみると、痛かったり疲れが残っている感覚が何故かない。これは18歳の身体だからか或いは体力250の賜物かはたまたそのどちらもか?



ともあれ丈夫な身体をくれた女神様に朝から感謝しつつ本日の目標その1が決定した。



素材さえあれば生産魔法でベットとか寝具つくれるよね?

思い立ったら早速行動開始。塞いでいた入り口を魔法で崩して外に出る。



早朝という事もあり少しだけ肌寒いが、空気が澄んでいて清々しい。小鳥のさえずりを聞きながら辺りを見回して1番太そうな木に近づき触れる。



「うーん…流石に切り倒さないとアイテムボックスにしまえないか…」



生えてる木をそのまま丸ごと収納しようと試みたがアイテムボックスは反応してくれなかった。



少し離れて木の根元をスパッといくイメージで風魔法を使う。



『エアスライサー!』



一瞬だけ木が震えるように揺れたが本当に切れたのだろうか?もう一度触れてアイテムボックスに収納を試みるとシュッと目の前の木が消えた。



よし!順調!さらに数本の木をアイテムボックスに収納して機嫌良く洞窟に戻ると、さっと朝食の準備を火にかけてアイテムボックスを開く。



アイテムボックス内の樹木を選択してから簡単なベットをイメージして『生成』と呟いてみる。



「できちゃった…」



アイテムボックスの中に簡素なベットが増えていた。続けて小さなテーブルや椅子を作り終えると、クワックバニーを選択し、毛皮・肉・骨・内臓・血液に分解するイメージで生成を使う。アイテムとして現れた毛皮を選択して毛皮敷を生成した。



それから火にかけて出汁を取っていたフローリーフを収納したら昨日の夕食の時に使ったフローリーフと合わせてアイテムボックス内で乾燥させコットンのようなふわふわとした素材に変換してからエルフの織布と組み合わせて枕を生成した。



「いい感じなんじゃないのー?生活水準爆上がりでしょー!!これで今夜は眠れそう」



早々に本日の目標その1を達成した。

だけれども、なんやかんやとしているうちに腹が減ってはなんとやら!!



暖炉では焚き火の炎が優しく揺れる中、フローリーフの出汁でご飯が炊けている。リンは濡らした手のひらに多めに塩をつけて熱々のご飯を涙目になりながら丁寧に握っていった。ふっくらと炊き上がった白いご飯からは、芳しい香りとほんのりとフローリーフの爽やかな香りが鼻をくすぐる。



沢山握ったうちの1つを「いただきます!」と笑顔で言いながら、一口大きくかぶりついた。強めの塩味と出汁の旨味が絶妙に絡み合い、シンプルな塩おにぎりだが驚くほどの味わいだ。



「ん〜、やっぱりこの出汁で炊いたご飯最高!」



と満足げに声を漏らす。柔らかいご飯が一粒一粒ほどけていくたびに、塩味と出汁の旨味が口の中で広がり、何とも言えない幸福感が体中に満ちていく。もう一口、もう一口と、夢中でおにぎりを頬張った。



プハァーっと水を飲み干すと残ったおにぎりはアイテムボックスに収納して



「本日の目標その2!!食生活の向上を目指してできるだけ沢山の食材を採取しにいこーう!」



と足取り軽く採取に出かけた。




探索スキルで危険察知設定をしたため360度警戒しなくてはいけなかった昨日とは比べ物にならないくらいに採取が捗る。



風が心地よく木々を揺らし、柔らかな光が差し込む中まず最初に探索スキルで見つけたのは小さな白い花を咲かせた薬草。早速鑑定スキルで調べる。


―――――――――――――――

**鑑定結果**

ローズタイム

**分類**:薬草

**特徴**:小さなピンクの花を咲かせ、細長い葉が茂る。見た目は可憐だが、花も葉からも強い香りを放つ。清涼感とスパイシーな香りを兼ね備えた薬草。

**特性**:肉料理に使用すると、風味を引き立て、肉の臭みを消す効果がある。焼いたり煮込んだりすると香りが一層豊かになり、料理全体に深い味わいをもたらす。食後の消化を助け、胃の負担を軽減し、胃腸の調子を整える。乾燥させても香りや効能が失われにくく、長期保存が可能で旅人や料理人にとって貴重な薬草。



フクレシア草

**分類**:植物

**特徴**:高さ2〜3メートルに成長し、竹のように節のある銀緑色の茎を持つ。茎は細長く、表面は滑らかで光沢があり、葉は薄く、風に揺れるとシルクのような柔らかな輝きを放つ。

**特性**:乾燥させると茎や繊維が膨張し、竹のような硬度と柔軟性を兼ね備える。そのため、細工物や建材、繊維製品として加工が容易で、万能な素材とされる。葉や茎の内部から取れる繊維は麻のようにしっかりしており、衣服や袋、布地に適している。耐久性と通気性に優れている。

―――――――――――――――



早速良い薬草と植物を採取できた!意気揚々と森の中を進んでいくと探索スキルの反応と甘く濃厚な香りが漂ってきた。周囲には花やハーブが生い茂っていたが、それとは違う、圧倒的な甘さが空気に満ちていた。



―――――――――――――――

**鑑定結果**

ジュエルドロップ

**分類**:果実

**特徴**:宝石のような輝きを放つ大粒の黄色い果実。表面はツヤツヤと光り、まるで金色の宝石のような見た目。厚い皮に包まれているが、その内部には透明感のあるジューシーな果肉が詰まっている。果肉は甘く、適度な酸味もあり、熟したトロピカルフルーツのような味わい。非常にジューシーで、一口かじると甘い果汁が溢れ出す。

**特性**:栄養価が高く、旅の途中のエネルギー補給にも最適。1つ食べるだけで、満腹感を得られる。絞った果汁は、爽やかで甘みが強く、栄養価も高い。主に森や山の奥深くで見つかることが多く、収穫するのが難しいため、市場では高価で取引される。また、その美しい外見と高い栄養価から、特に王族や貴族の間で「宝石果実」として珍重され、贈り物としても人気がある。熟したジュエルドロップはとても香りが強く、遠くからでも存在を感じ取れることがある。

―――――――――――――――



風魔法を駆使してジュエルドロップを収穫しながら足元の探索スキルの反応に目をやると



「あれ?この花見た事あるような…」


―――――――――――――――

**鑑定結果**

カモミール

**分類**:薬草

**特徴**:白い花びらに黄色い中心部を持つ、小さく可愛らしい花を咲かす。甘くやさしいりんごのような香りが特徴でリラックス効果が高い。

**特性**:カモミールティーは、ストレス軽減や安眠を促す。特に寝る前に飲むと、神経を落ち着け、質の良い眠りにつける。さらに消化を助ける作用があり、胃の不調や消化不良を和らげるために使用される。食後に飲むハーブティーとしては最適。抗炎症作用もあり、喉の痛みや肌の炎症を和らげるために利用される。カモミールティーを冷まして湿布として使うこともある。

―――――――――――――――



「やっぱりカモミールだ!地球と同じ植物も自生してるのね!」



と採取を続けようとしたその時



ジリジリジリジリジリジリジリジリ!!!!



黒電話の様な目覚ましの様な音が鳴り響く。遠くの木々の間から重く荒々しい音が響いてきた。音の方向を振り返ると、そこには驚くほど巨大なモンスターのシルエットが迫っていた。体格は牛くらいあるだろうか?



そうこうしているうちにモンスターを肉眼で捉える。外見は豚にも猪にも似ているが、その鋭く伸びた牙と赤い目が明らかに獰猛な性質を示していた。巨体に似合わず驚くほどの速さで、まさに猪突猛進そのもので迫ってくる。



「あの速度で突っ込んでくるのは流石にマズい!」



すぐに土魔法を発動する。モンスターの突進を防ぐため、地面から硬い壁を2枚作り出す。そして自分の足の下からさらに分厚く強固に3枚目の壁を作り上げて高所から迎え撃つ。



「いけるはず…!」と自分に言い聞かせながら、まず1枚目の壁に突っ込んできたモンスターは、激しい音を立ててそれを突き破った。続いて2枚目の壁も砕け散る。しかし、その猛進の勢いも少しずつ鈍ってきている。




「これで最後!」モンスターが勢いを保ったまま突進してくるが、3枚目の壁に衝突した瞬間、



ゴガンッ!!



と鈍い音を立ててその動きがようやく止まった。



「今だ!」



と息を整え、風魔法を打つ。手を振り上げ、正確に狙いを定めると、



『エアスライサー!』



鋭い風の刃がモンスターの牙のある頭部に正確に命中し重々しい音を立てて倒れ込み、動かなくなった。



「はぁぁ…なんとか仕留められた…よかった…」



ほっと胸を撫で下ろしながら、壁の残骸を見つめ、冷や汗をぬぐいつつ座り込みながら全身の震えが治るのを待った。



ついでに休憩っと水を飲み、気持ちを落ち着けつけたが、今日の探索はここまでにしておくことにする。流石に初めてのモンスター討伐は神経がすり減った。恐る恐る大きなモンスターに近づいてアイテムボックスに収納する。



帰る途中で見晴らしの良い花畑を見つけ寄り道する。眼下を眺めると村を発見することができた。



遠くに見える村は、しっかりとした石壁で囲まれており、その壁は年季が入ったものの堅牢さを感じさせる。村の周囲には、緑豊かな畑が広がり、そこで作物が風に揺れているのがわかる。畑の一角では農夫たちが忙しく手を動かしており、村の生活がそこに息づいているのが分かる。



さらにその先には、広々とした草原が広がり、牛達がゆっくりと草を食む姿が見える。放牧された牛たちは穏やかで、陽の光を浴びながら静かに過ごしているようだった。畑と放牧地の間を小さな川が流れており、水面がきらきらと輝いていた。



「村だぁ!やっと異世界の人と交流できる!」



今日は早く戻って身体を休め、明日早起きして村に行く事に決めた。 






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