表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界食べ歩き日記〜チートでもぐもぐ旅 ~  作者: 犬沼わんわん
第1章はじまりはじまり
4/23

今夜の寝床。



探索を続けて分かった事は、赤いシルエットは危険を意味し、モンスターや害のある植物に反応する。要するにこちらに敵意や悪意があるものは赤く見えるのだろう。さらに、危険度が高いものほど赤が濃く強調されることも理解した。探索範囲ギリギリに大きくて真っ赤なシルエットが見えた時は冷や汗をかきながら一目散に逃げた。



逆に黄色のシルエットは有益な植物や食糧、害のない動物などに反応しており、貴重なものほど黄色が色濃く強調される。



「結構色々採取できたけど、そろそろ寝床も確保しないとよねぇ…」



と呟きながら先ほど岩肌の奥まった場所で見つけた洞窟を思い出す。探索スキルで洞窟の中に中型犬ほどの大きさのモンスターを数匹検知したので素通りしてきたのだ。



「いくら魔法が使えるといっても、初日からまともな家なんて建てられないしやっぱり洞窟を寝床にするのがいいかなぁ…」



検知した魔獣の色合いは淡い赤色で濃い色ではなかった。危険度が低いモンスターが潜んでいられるという事はその場所は安全といえるのではないだろうか?







「やっぱり…数匹で群れてるようにみえるわね。あのシルエットは何のモンスターなんだろう?ウサギのような耳と動きをしてるけど首と口が長いく見える…」



洞窟まで戻ったリンはシルエットに対して鑑定を使う。



―――――――――――――――

**鑑定結果**

クワックバニー

**特徴**:ウサギのような長い耳と強力な後ろ足を持つが、首が長く、顔には鋭いアヒルのようなクチバシがある。体はまん丸で、ふわふわした毛で覆われている。普段はおとなしく草むらや洞窟に身を潜め、静かに過ごしている。雑食で、主に草や小さなネズミや昆虫を食べる。しかし敵に見つかると、一転して攻撃的になり、非常に素早い動きで飛びかかる。

**特性**:ウサギのような跳躍力を持ち、非常に敏捷で素早い動きをする。そのため、捕まえるのは容易ではない。集団で行動することもあり、複数匹いる場合は危険性が増す。最大の武器は、鋭いアヒルのようなクチバシ。敵に素早く飛びかかり、クチバシで鋭く突く攻撃を繰り出す。この攻撃は素早く連続して行われるため、注意が必要。跳躍力を活かして、高くジャンプし、上から相手に飛びかかることもある。

**弱点**:氷や水に弱い。冷気を受けると動きが鈍り、水に入ると跳躍力が著しく低下する。また、素早いが防御力は低いため、簡単な物理攻撃であっけなく倒すことができる。

**価値**:毛皮は柔らかく、保温性が高いため、衣料品や防寒具として重宝される。クチバシは硬く頑丈で武器の素材として取引される。肉は食用に適しており癖が無く淡白で人気がある。

―――――――――――――――



「素早くて厄介なタイプね。油断できない…けど、上手く倒せたら食料にできそう…!」



とはいえ、モンスターといえど、生き物を倒すのには抵抗がある。



「うーん…いい魔法はないかなー?」



悩んだ結果。

リンは足元から人間の頭ほどの大きさの岩を2個ほど空中へ浮遊させる。



『ロックインパクト!』



その声と共に、岩が猛烈なスピードで洞窟の中に向かって飛び出した。隕石が降り注ぐイメージで魔力を込めた岩は洞窟の中に飛び込み壁に反射しながらぶつかる。衝撃音が鳴り響いた。



岩が壁に当たるたびに砕け、洞窟内から漏れでた粉塵が入り口を漂う。目にも止まらぬ速さで飛び交う岩の雨が、洞窟の中で逃げ場のない圧倒的な破壊力を見せつけた事だろう。



一瞬の静寂の後、探索スキルを使うと洞窟内の赤いシルエットは無くなり動かないモンスターの形をした黄色のシルエットが見えた。



ゆっくり洞窟の中を覗き込むと珍妙な姿のモンスターが5匹重なり合って埃まみれでぐったり倒れている。体は丸く、柔らかそうな毛に覆われている。



「なんだこれ……ウサギでもアヒルでもない……見た目は可愛らしいけど、これがこの世界のモンスターか…」



何ともいえない罪悪感から両手を合わせて黙祷するが、動物の解体など経験がない事に気がつきそっとクワックバニーをアイテムボックスに収納した。



一仕事終えたリンはこれで終わりではないとふたたび行動を開始する。



「さて、どうにか安心して休める場所を作らないと!!」



洞窟の入り口から内部を覗き込む。中は湿気が多く、地面も凹凸があって中で動き回るには不便そうだ。



「じゃぁ全属性魔法の凄さ試してみますか!…まずは土の魔法で、内部を広げて地面を整えようかな…」



リンは手をかざし、土の魔法を発動。洞穴入り口を屈めば入れるほどまで広くしてから中にある余分な岩を取り除き立って歩き回れるほどに天井と空間を削って灯り取り用に雨が入らないよう斜めに穴を掘ったら、大きな虫や小動物が入ってこないように格子状に細工する。床はなめらかなタイル張りをイメージしてゴツゴツした地面を平らに変えた。



「これで床は平らになって明るくなったし、立って歩き回れるようにもなったね。次は湿気を飛ばさないと……」



「風の魔法で、湿った空気を外に出せるかな?」



洞窟内の湿気を感じながら、風の魔法を使う。優しい風を入り口から灯り取り用の穴に流して洞窟内を循環させて、こもっていた湿った空気をすぐに新鮮な空気に入れ替えた。



こんな魔法もあったら助かるんだけど…とダメ元で洞窟全体の汚れや塵を排除して除菌するイメージで魔力を広げる。



『クリーン』



洞窟は驚くほど清々しい空間に変わり、リンは満足げに頷いた。



「できたぁ!ラッキー!!あとは…簡単な料理ができる場所も作りたいな…」



リンは壁に手をかざし、小さな暖炉のように形を作り煙突代わりに細い穴を外に繋げる。

試しに外で集めてきた小枝を使って暖炉に火魔法で火をつけてみると煙は穴を通って外に流れ洞窟の中も明るくなり、暖かさも加わった。



「ふぅ…これで殺風景ではあるけれど一応完成でいいかな!土の床は整ってるし、明かりもあって暖かい。これなら快適とまではいかないけれど今夜安心して過ごせそうね」



満足そうに見渡し、温かい光に包まれた洞窟がまるで自分の小さな家のように変わっていることに微笑んだ。



「よし、今夜の寝床も用意できたし、今日収穫した食材で夕食を作ろうかな!」



水魔法で飲料水を生成して喉を潤していたが、今日はまだ一度も食事を取っていない。お腹がペコペコだ。



アイテムボックスを開いて今日採取した食材に再度鑑定を使う。


―――――――――――――――

**鑑定結果**:

ヴァイオレットスティンガーの実

**分類**:特殊果実

**特徴**:紫色の鮮やかな光沢を持つ実で、表面には小さな棘が生えている。2㎝ほどの大きさで、軽く触れると柔らかいが、圧力をかけると棘が鋭く突き出す。

**特性**:実の中には無味無臭の油が蓄えられており、料理や保存、薬品に使用される。保存食の調理や、特定の薬の素材としても重宝される。

**弱点**:炎にさらされると爆発する。

**特記**:油の抽出は、棘の飛び出しを防ぐため、魔法や特殊な道具を使って慎重に取り扱うことが推奨される。



キラキラマッシュ

**分類**:食用キノコ

**特徴**:倒木の根本に生える白い光沢を放つ大きなキノコ。表面が風に吹かれると光の粒を放つように幻想的に光る。

**特記**:生食は不可。火を通すと旨みが増す。



フローリーフ(葉)

**分類**:特殊植物

**特徴**:風に対して折れにくく、しなやかに揺れる樹の葉。一枚一枚が長く垂れ下がった薄緑色の葉は成長が早く収穫してもすぐに新しい葉を再生させる。 樹高は10〜20メートル程で、同じように葉も長く伸びる。

**特性**:フローリーフの葉は、煮ると旨味のある出汁が出る。葉そのものは煮出した後、食べるには適していない。一般的にはトイレットペーパーや清掃用品として使われている。煮出した後に乾燥させると柔らかくふんわりする為クッションや保湿材として利用できる。

―――――――――――――――




「何を作ろうかなぁ…まあ、お米と塩胡椒は∞にあるから塩むすびはいくらでも作れるけど…」



「それにしてもフローリーフは早々に採取できて良かったぁ。これで人生3大ピンチの1つ『用を足した後にトイレットペーパーがない!!』に陥る危険はなくなったもんね…」




などと呟きながらヴァイオレットスティンガーの実の油の抽出の記載部分を眺めつつ



「油の抽出ってどうやるんだろう?…」



と言葉を発すると。



ピコンッ



【生産魔法で油を抽出しますか?】



とポップアップが出た。



「え?…あ…お願いします?…」



と困惑気味で了承すると



ピコンッ



【全ての実から抽出してよろしいですか?】



「全部使って大丈夫です!お願いします!」



ピコンッ



【ヴァイオレットスティンガーの実の油の抽出が完了しました。】



「えぇ…はやぃ…すごいけど、便利すぎてこわぁ…」








今回もお料理できなかった。。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ