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異世界食べ歩き日記〜チートでもぐもぐ旅 ~  作者: 犬沼わんわん
第1章はじまりはじまり
3/23

はじまりの森でどうしましょう?



周りを見渡すとそこは程よく光が差し込む森の中。

春を感じさせる心地よい風がそよいでいる。



高鳴る鼓動を落ち着かせるために深呼吸して考える。



まずは何をすれば良いんだろう?



落ち着きを得た年齢にもかかわらず、独身彼氏無しだった前世。もちろん彼氏持ちや子持ちの同僚達とは話が合わずランチタイムは1人で漫画や小説を読んでいた。一応の異世界転生知識はある。



「えっと……こういうときって、ステータス確認とかできるんだよね?確か、冒険ものとか異世界転生のゲームだと……」



試しに、心の中で『ステータス』とつぶやいてみると、目の前に透けた半透明のウィンドウが浮かび上がった。



―――――――――――――――

**名前**:リン

**年齢**:18歳

**種族**:人族

**体力**:250

**魔力**:∞

**スキル**

【探索スキル】周囲の地形やアイテム、敵の位置を把握することができるスキル。

【鑑定スキル】物や人の正体・性質・状態・価値を知るためのスキル。

【アイテムボックス】無限にアイテムを収納できるスキル。

**魔法**

【全属性魔法】火・水・風・土・氷・雷・光・闇すべての属性の魔法を使える能力。

【生成魔法】素材やアイテムを別の形に変えたり加工することができる能力。

―――――――――――――――



「おお!やっぱりステータスあるんだ。って、すごいスキルばっかり……アイテムボックスもあるし、全属性魔法で魔力は∞ってこれは……チートだよね?…この分だと生成魔法もかなり便利そう。」




リンは興奮しつつも慎重に、持ち物を確認する。





「次は持ち物ね……女神様が物資を入れておいてくれるって言ってたし。『アイテムボックス』!」



半透明のウィンドウが開き、いくつかのアイテムがすでに収納されているのが分かる。




―――――――――――――――

- 万能ナイフ(調理にも戦闘にも使える)

- 鍋セット(キャンプ用の軽量鍋)

- 塩(∞)

-黒胡椒(∞)

-米(∞)

- 基本的な冒険用装備(旅の服、革のブーツ、手鏡)

- エルフの織布(エルフの技術で作られた軽くて柔らかい丈夫な布地)

- 採取キット(網、カゴ、ハサミ)

―――――――――――――――




「……すごい。完全にサバイバルと料理用の準備が整ってるじゃない。最初からお米と塩胡椒が∞だなんて助かるわ!これは女神様からの贈り物ってやつね。右も左も分からない中でこれだけ物資があるのは本当にありがたい」



ステータスと持ち物を確認して、自分がこれから異世界で生き延びるための基盤が整っていることに少しだけ安心した。



そして気になったのは女神様が言っていたこちらの世界に合わせた見た目と18歳というステータス表記。



アイテムボックスの手鏡を手の中にイメージして取り出し自分の姿を確認する。



色白で細く長い指先から自分がまったく違う体をしていることは薄々気がついていた。服装は白のオフショルダーブラウスに革のフード付きベスト。丈夫そうなベージュのショートパンツを着て膝当て付きの革のロングブーツを履いてる。



恐る恐る鏡に映る自分の姿を確認すると、地球での自分とはかけ離れた、ふわりとしたピンクの髪を持つ美少女になっていることに驚き頭を抱えた。



「女神さまぁ…ちょっとやりすぎだよぉ…」



細く指ざわりの良い長い綺麗な髪は毛先が少しカールして

可愛らしく、顔立ちはどこか女神様の美しさを彷彿とさせる。深い紫色の瞳は優しげで微笑めば少女漫画のヒロインさながらだ。



「見た目がいいと得するのは知ってるけど、良すぎると苦労するだろうなぁ…女神様のサービスに文句は言えないんだけれど…」



ひと通り自分自身の状況を確認して頭を抱えてみたが、最初から悩んでいてもしょうがない。



「今悩んでたってどうしようもないもんね!」



と両方の頬を優しくぺちぺちと叩いて気合いを入れて前向きに次の行動を考える。



「女神様が安全な場所に転生させてくれたと思うけど、スキルを使って早目に安全確認した方がいいよね。」



『探索』



心の中で呟くと、視界に淡く光るラインが浮かび上がり、周囲の状況がまるで透けるて見えるような感覚に包まれた。



リンの意識は、周囲50メートルほどの範囲に広がり、近くにある植物や地形、そして動物やモンスターの存在を感知した。



「うっわ!すごい。慣れるまで目がチカチカしそう……」



と軽く目を擦ってから辺りを見渡す。



「うーん……あっちには川が流れてる。赤く縁取りされた動物みたいなシルエットが…水を飲んでいるのかな?動いているのが見える…水場は良いけど、モンスターかもしれないし近づきすぎると危ないのかも……」



「こっちの方にも、何か動物がいるみたい!だけど、赤じゃなくて淡い黄色のシルエットで見える…赤と黄色の違いはなんだろう?」



と観察していると視界の端に親指ほどの赤いシルエットが飛んで近づいてくるのに気がついた。



『鑑定』



赤いシルエットに視線を向けて鑑定スキルを発動させる。すると見えたのは地球で見知った蚊の様な虫。

鑑定の説明を読んでみる。




―――――――――――――――

**鑑定結果**

ディジーモスキート

**特徴**:刺されると痒みだけでなく、まるで二日酔いのような症状を引き起こす。これは体内に微量の毒素を注入することで、頭痛、めまい、吐き気を伴い、1日から2日間は動きを鈍くさせる。普段は静かに飛び回り、森や湿地などの湿った環境に生息していることが多い。人間や他の生物に気づかれないように、素早く接近し、刺して毒を注入する。

**特記**:群れで行動することも多く、複数に刺されると毒の効果が倍増する。

**弱点**:小型で軽いため、風魔法や炎に非常に弱い。強い風を受けると飛ばされてしまい、炎には即座に焼き尽くされる。耐久力が低いので物理攻撃でも容易に倒せる。しかし、その素早い動きと小ささから当てるのが難しい。

―――――――――――――――



「やっぱり蚊だぁ。二日酔いみたいな症状って……それってかなり厄介じゃない!?」



リンが驚いている間に、ディジーモスキート近づいてくる。刺される前に退治しようと考えるが、流石に親指ほどもある大きな蚊だ。パチンッと両手で潰すのかなり嫌。



「魔法使ってみるかぁ…森で火魔法はダメでしょ?そしたら水か風かな?」



風が素早く切り裂く鋭さをイメージしてディジーモスキートに向かって腕を振りながら



「エアスライサー!」



と唱えると。指先から鋭い風が放たれた感覚がしてディジーモスキートの身体はスパッと横に真っ二つに切り裂かれて地面に落ちた。



「魔法でた…つよ…」



と呟きながら再度探索スキルで周りを警戒する。他のディジーモスキートは見当たらない。



とすぐ近くに淡い黄色のシルエットで植物を発見した。



近づいて観察してみると、オレンジと黄色が混ざり花びらがふんわりと広がって可愛らしい花が咲いている。



『鑑定』



その花に視線を向けて鑑定を使う。


―――――――――――――――

**鑑定結果**

サンリーフ

**分類**:薬草・回復植物

**効果**:軽い毒消しの効果と少しの治癒効果があり肌の炎症や軽い傷、軽い火傷の治癒に役立つ。庭や畑で害虫を寄せ付けない害虫避け効果もある。

**特徴**:オレンジと黄色が混ざった花びらがたくさん重なり丸みを帯びた花が咲く。サンリーフのエキスはディジーモスキートに刺された際の毒消しになる他、ディジーモスキートに対して害虫避け効果も発揮するため、探索には欠かせない薬草である。日差しを好み成長には十分な日光が必要で、日陰や暗い場所ではあまり育たない。日光さえあれば比較的どこでも育つポピュラーな薬草。

**使い方**:薬草としては、花弁をそのまま噛むか、煎じて薬草茶として使用。

保存方法: 乾燥させて保存することで、長期間にわたって使用できる。しかし、乾燥させると回復効果は若干弱まる。

**弱点**:湿気に弱い:。サンリーフは湿気に弱く、湿った場所に長く置かれると腐りやすい。乾燥した環境で保管する必要がある。

**特記**:軽度の傷や症状にしか効果がないため、重度の症状には効果がない。初級ポーションの材料。

―――――――――――――――



「今いっちばん私に必要な薬草発見!!」



と目を輝かせながら少しスパイシーで苦味を感じさせる香りのサンリーフを探索スキルを使って採取していく。



少し進むと次は探索スキルで赤く光るシルエットのわさわさと揺れる茂みがみえた。その植物は鮮やかな紫色の大きな花を咲かせ、遠目には非常に美しい。花の中央には黒く小さな窪みがあり、探索スキルでは、その窪みが最も赤く光っている。



『鑑定』



――――――――――――――

**鑑定結果**

ヴァイオレットスティンガー

**分類**:危険植物

**特徴**:鮮やかな紫色の美しいく甘い香りの花を咲かせている。中心には黒く光沢のある凹みがあり、ここから棘を飛ばす。自発的に花を揺らし香りを振り撒き甘い香りに誘われて感知範囲に入った敵に向かって鋭い棘を飛ばす。棘は非常に鋭く、皮膚や軽い防具を容易に貫通する。最大5メートルまで棘を飛ばすことが可能。棘は高速で飛び、命中すると痛みと刺傷を引き起こす。根の上で獲物を倒し自身が成長する為の養分としている。

**特記**:紫の花の茂みの奥には直径2㎝ほどの小さな実をつけている。実の中に油を溜めている。この油は無味無臭で癖がなく料理に使用することで素材本来の味を引き立て、保存効果もある。また、植物性なので健康にも良い。

**弱点**:火に弱い。高温や炎による攻撃に弱く、燃やすと花や棘が一瞬で枯れ、実が爆発する。魔法耐性は低く魔法攻撃に弱いため、遠距離からの魔法は有効。

―――――――――――――――



「植物性の油は見過ごせないわよねぇ…実を採取したいから火魔法はダメ。氷魔法はどうかしら?」



『フリーズロック!』



紫の花ひとつひとつを凍らせるイメージで唱えた瞬間、冷気がヴァイオレットスティンガーの花を包み込み、わさわさとした動きがピタリと止まる。



試しにヴァイオレットスティンガーの近くに2、3個石を飛ばしてみたが、反応はない。



氷魔法が解けないように魔力を流しながら小さな実を採取する事に成功した。






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