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異世界食べ歩き日記〜チートでもぐもぐ旅 ~  作者: 犬沼わんわん
第1章はじまりはじまり
22/23

さよなら終焉山脈。



―――――――――――――――

**鑑定結果**

【黒燐魔鋼の大剣】

【黒燐魔鋼の双剣】

スティールメアの外骨格と魔石を基に、伝統的な「魔法鍛造法」ではなく、スキル「生産魔法」により精錬・製造された伝説級の武器。

刃身の色合いは、まるで夜空を切り取ったかのような漆黒の輝き。光を受ける角度によっては、刃先から微かに紫や深い青の燐光が滲み出るかのように見える。その光は不気味さと美しさを兼ね備え、表面には黒曜石のような滑らかな質感があり、見る者を圧倒する異世界の美を放っている。その刃は、どれほどの堅牢な防御力を誇る敵であろうとも貫き、断つ力を秘めている。通常の金属製品よりも軽く、激しい戦闘にも耐える。

刀身には驚異的な「衝撃吸収特性」が宿り、いかなる激戦にも耐えうる。圧倒的な攻撃を受けても刃が欠けたり、形状が歪むことはない。

スティールメアの外骨格が持つ「魔法弾き」の特性を受け継ぎ、使用者の意志で半径一定範囲に「魔障の盾」を展開可能。盾は魔法攻撃を反射する力を持つ。

魔力を吸収する特性があり、戦闘中や戦闘後に蓄えた魔力を用いて自然回復する。この機能により、使用者の手を煩わせることなく、常に完璧な状態を維持する。

重厚な大剣は圧倒的な破壊力を誇り、俊敏な双剣は神速の切れ味で敵を翻弄する。

―――――――――――――――



―――――――――――――――

**鑑定結果**

【魔法鍛造法】

通常の鍛冶技術では扱えない、高レベルかつ希少なモンスター素材を加工するための特殊な技術。この方法は、素材が持つ驚異的な硬度や魔法耐性、衝撃吸収特性を失うことなく加工することを可能とする。魔法鍛造法には、高度な技術と膨大な魔力が必要とされるため、この技術を駆使できるのは熟練の魔法鍛冶師や錬金術師に限られる。

**素材の軟化**:特殊な魔力炉を使用し、素材を柔らかく加工可能な状態にする。この炉は物理的な熱だけでなく、魔石と膨大な魔力エネルギーを消費して素材を均一に軟化させる。軟化の過程では、素材本来の特性(硬度、衝撃吸収、魔法耐性など)を損なわないよう、炉の温度や魔力の流れを熟練の技術で制御する。この段階だけでも多量の魔力が必要となる。

**成形作業**:軟化した素材は、魔法ハンマーによって成形される。このハンマーは、物理的な打撃に加え、使用者が込めた魔力を素材に送り込む。魔力の波動は素材の内部構造を調整し、特性をさらに強化する。打撃を繰り返すごとに、素材が魔力を吸収し、衝撃吸収能力や魔法耐性が最大限に引き出される。素材の性質を見極めながら打つ必要があり、技術が未熟だと素材が崩壊するリスクがある。

**魔力冷却槽での安定化**:成形後の素材は、急冷ではなく、特別な魔力冷却槽にゆっくりと浸す。この槽には高濃度の魔力が溶け込んでおり、素材の硬度や特性を安定させる役割を果たす。冷却中に素材内部の魔力が最適に配分され、完成した武器や防具は軽量でありながら驚異的な耐久性を持つ仕上がりになる。

**コストと制約**:一度の鍛造で必要な魔力は膨大で、魔力炉や冷却槽を維持するだけでも高いコストが発生する。高度な魔力制御技術と素材特性の理解が不可欠。未熟な技術者では素材を破壊する危険があるため、作り手の技量に大きく依存する。加工に必要な設備、魔石、魔力、時間が莫大であるため、完成品の価格は非常に高価。

魔法鍛造法は、究極の技術と資源を結集させた加工方法。その結果生まれる武器や防具は、並外れた性能を発揮し、使用者に無類の信頼感をもたらす。しかし、その希少性ゆえに、手に入れることは容易ではなく、選ばれた者のみがその恩恵を受けられるとされている。

―――――――――――――――



「うおぉ……これはこれは。活字中毒な私でも充分すぎる読み応え……」



昨晩、武器のアップグレードで魔力を大量に消費したせいで、体調が悪化して早めに就寝した。その結果、今日も夜明け前に目が覚めてしまった。



眠気まじりの頭で昨夜のことを振り返りながら、鑑定スキルで調べてみると、どうやら膨大な魔力を消費して伝説級の武器を生産してしまったらしい。しかも3本も。



「ああ、そりゃ体調崩すわけだ……」

自分でも呆れつつ、原因を考えれば思い当たる節はあった。



――生産魔法の問いかけに、私はなんと答えた?



「必要なものを好きなだけ使ってください」――

そう言ったのだ。



魔力に限度など設けない返答をした結果、素材も魔力も遠慮なく使い、身体の中の魔力を全力で生産に注ぎ込んだのだろう。そのせいでまだ少しだけ身体が怠く、未だに魔力切れの余波が残っている感じがする。



「でも、伝説級の武器を3本も作ったんだから……まぁ、良しとするか」



なんてぶつぶつ独り言を言っていると、見張り中のアルが静かな声で心配そうに声をかけてきた。



「リン?起きたのか?体調はどうだ?大丈夫か?」



優しい低音が耳に届く。その声だけで、少しだけ怠さが和らぐ気がした。



「おはよう。まだ少し怠いけど、いっぱい寝たから大丈夫だよ。ありがとう」



そう答えながら、自分でも少し気まずそうな顔をしているのに気づきつつ。



「それでね……これ、怒らないで見てほしいんだけど」



そう言って、昨夜作り上げた伝説級の武器を取り出す。その瞬間、武器が独特の輝きを放つ。



アルの目が武器に釘付けとなり、彼の眉がわずかに動いた。きっと、驚きと呆れ、そしてほんの少しの諦めが混じった表情を浮かべているのだろう。



「ふぅー……これは……俺たちの武器、だよな?」



アルはため息混じりに言いながら、目を細めて私をじっと見つめる。



「魔力∞のリンが魔力不足になった理由がわかった気がするよ……」



「いやぁ、その……素材も魔力も惜しみなく使った結果っていうか、惜しみなく使うとどんな結果になるのか学んだというか、なんていうか……ほら、すごくいい出来だから!」



とっさにフォローを入れようとするも、アルの長い溜め息が静寂の中に響き渡るだけだった。



結局、黙っていると何をしでかすか分からない私に対し、アルからは厳しく 「報告・連絡・相談の徹底」 を言い渡される羽目になった。そして、体調の回復を最優先にということで、今日もこのキャンプ地で療養することが決まり、1泊延長が決まった。



「こっちの世界にもホウ・レン・ソウがあるんですね……」



ちなみに、【黒燐魔鋼の大剣】を渡したレオの反応はと言うと――。



「これが……俺の大剣……なんて美しいんだ!」



しばらく大剣を抱きしめるように眺め、ひとしきり喜びを爆発させた後、感謝の言葉を何度も繰り返してきた。そして、今は、まるで恋する乙女のような表情でうっとりと大剣を撫でている。その手つきは慎重かつ愛情深く、もはや異様なほど。多分そろそろキスしだすだろう。



そんなレオはそっとしておいて、旅の最初の目標だった武器の回収が叶い、次の目標をアルと相談する。



「私の旅の目的は、味噌や醤油、美味しいものを探しながら、ゆっくりと安心して暮らせる安息地を見つけることだけど、とりあえず今欲しいのは、防具と、味噌や醤油に関する情報かな?」



「ああ、あとは、旅して色々な街に立ち寄るなら、身分を証明できるものがあったほうがいい。」



「うん、それもそうだね。じゃあ、どちらにしても少し大きな街を目指したほうがいいよね?売れるものを売って、旅に困らない程度のお金も手に入れたいし。」



「そうだな。まずは山を降りて、街道沿いの村で大きな街への道を聞こう。」



こうして次の目標が決まった。







湖の辺りのキャンプ地を後にし、数日かけてゆっくり山を降りている。というのも、終焉山脈に戻ってくる可能性はほぼないだろうと考え、探索スキルをフル活用して、終焉山脈の貴重な素材や食料を採取しながら進んでいる。



終焉山脈の向こう側には魔族と獣人族が住む国があり、戦争真っ只中で、資源や食料が非常に乏しい地だという。こちら側の終焉山脈沿いにはルミナール王国が細長く位置しており、排他的な国家であるため、安息地としては適していないと判断した。そこで、私達は終焉山脈から離れることに決めたのだ。



「じゃあ、リンはその異世界転生ってやつでお決まりの、面倒ごとや問題を解決していく流れが好きじゃないってこと?」



「そう!いつも私だったら助けないとか、私だったらバレないように逃げるのにって思ってたんだよねー!!」



レオと一緒に、採取をしながら地球の異世界転生物について、あれこれと話している。



「あれ?でも俺達のことは助けてくれたじゃん!!」



「まぁ、あれは咄嗟のことだったし、あの場で助けに入らず、後日2人の死体なんて見つけちゃったら罪悪感すごそうじゃない?私そんなに良い人間じゃないんだよ」



「じゃあ、これからの旅は人助けなしで進むってこと?」



「まあ、その方が苦労とか面倒が少なくて済みそうだけど…人を助けたせいで前の世界では死んじゃったからね…でも、やっぱり、レオは困っている人を助けたいタイプだよね?」



「んー、俺?まあ、昔はそうだったけど、今はそうでもないかな。俺達がツノ狩りに追われて困っていた時、昔助けた人たちは助けてくれなかったから。助けてくれたのはリンだけだったんだ。だから、俺はリンと兄貴を守って助けられればそれでいい。」



今後の旅の人助け方針を語っていると、辺りを警戒していたアルから声をかけられる。



「じゃあ、あの村は無視して通り過ぎるか?」



アルの視線の先に目を向けると、火を吐く赤いモンスターが村を襲っているのが見えた。



「ちなみに俺も、リンとレオが健康で幸せだったら、他の奴らなんてどうでもいい。」



なんて素敵な私の騎士様たちだろう。キュンっとしながら、火を吐いているモンスターを鑑定する。



「いや、ごめん。前言撤回。あのモンスターは私が倒す!!」



「「えぇぇぇー!!!」」



兄弟の驚きもお構いなしに、私は村に駆け寄った。




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