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異世界食べ歩き日記〜チートでもぐもぐ旅 ~  作者: 犬沼わんわん
第1章はじまりはじまり
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ひみつ。





「ここで働かせてください!!」






「え?名前奪わなきゃいけない感じ?ここ湯屋じゃないんだけど?!誰がBBAじゃ!!」



千尋さんの神隠し的なセリフに驚いて返答すれば、キョトン顔の兄弟が並んで正座している。



早朝の散策から戻ると、3日間看病していた2人が起き上がり、正座をして出迎え、急に願い出てきた。



「じゃぁ…俺の名前を…」



なんて言い出した青髪の兄の声を無視して問いかける。



「それより、身体は大丈夫ですか?痛いところはありませんか?あの、私の力不足で大切なツノを使わせてしまって本当にごめんなさい!!」



もし、私がもう少し上手く立ち回れていたら、もう少し魔法の練習をしていれば、結果は違っていたかもしれない。申し訳なさで胸が締めつけられ、頭を深く下げた。



長い沈黙に耐えきれなくなって顔を上げてみれば、今度は困り顔の兄弟が並んでいて、釣られて私も困り顔になってしまう。



「あ、ごめん!俺たちがお礼を言わなきゃいけないのに急に謝られたから驚いちゃって!!」



赤髪の弟が慌てて声を上げ、落ち着きを取り戻すように軽く咳払いをして話を続けた。



「俺はレオーシャ。こっちは兄のアルーシャ。モウグレイブを足止めして助けてくれただけじゃなく、瀕死の俺たちを看病してくれて、本当にありがとう。」



2人そろって息ぴったりに頭を下げる。



「あそこでツノを使わなければ、兄貴と二人で生き残ることはできなかったと思う。だから、後悔はしてないよ。君が謝る必要なんてないんだ。気にしないで。」



レオーシャの言葉に救われ、胸にあった申し訳なさが少しだけ軽くなった気がした。



「そう言ってもらえてよかった。ありがとうございます。私の名前はリン。この洞窟は仮の住まいで、もう少ししたら旅に出ようと思っています。ここで住み込みで働きたいって話だったら今のところ仕事は特になくて…」



と言いかけて、ふとひとつだけ困っていることを思い出した。それは、この世界のことを知らなすぎることだ。常識がないことに困っている。もしこのまま旅に出たら、思わぬ問題を起こしてしまうかもしれない。



「あ!ありました!お願いしたいことが!先生になってほしいです!」



「「せんせい?!」」



兄弟らしく声を揃えて「何の先生になればいいんだ?」と首を傾げている。



「はい。でも、何の先生をお願いしたいか話す前にお互いの秘密を守る約束をしなければいけません。」



体力が回復するまでの少しの間でもいい。ここに住まわせてもらえるなら、どんな秘密や約束でも守ろうと、真剣な表情で兄弟が頷いた。



「まず最初に、私はお2人が鬼人族で、そのツノが狙われていることを知っています。麓の村やその隣の村でもツノを狙っている人々がいますが、私は楽してお金を稼いだり、誰かを犠牲にしてお金を手に入れようとは思っていません。たまに村に買い出しに行くことがありますが、誰にもお2人のことを話さないと約束します。ですから、どうか安心してください。その代わりに、私の秘密も誰にも話さないと約束してほしいんです。」



「私は…転生者なんです。」



転生者という聞き慣れない言葉の響きに、兄弟は何をどう秘密にすればよいのか頭を悩ませている。リンはその様子を見て、続けて説明する。



「私はエルディアス大陸でもどこの大陸でもない、夜空に光る遠い星の下で生まれ育ちました。そこは魔法もモンスターも存在しない平和な国でした。しかし、神様の力で新たな人生をここで授かることになったんです。見た目は少女!中身は結構大人!そして、この世界の知識は全くの0です!!」



最後はどこぞの小学生名探偵のセリフみたいになってしまったが、さらに続ける。



「お互いの秘密を守り合いながら、私はお二人に衣食住を提供します。その代わりに、この世界のことを私に教える先生になってほしいんです。こんな取り決めで、いかがでしょうか?」



こちらの希望を手短に伝えたものの、転生者であることがどれほど秘密にすべき重要なことなのか、いまひとつピンと来ていない様子の二人に対して…



「転生者として、女神様から複数の能力とスキルを授かりました。魔力量は∞で、全属性の魔法が使えます。容量無限・時間経過なしのアイテムボックス、さらに鑑定、探索、そして特殊な生産魔法のスキルも持っていますが、これらの能力がこの世界でどれほど貴重で価値あるものなのか、まだ理解していません。」



と伝えると、もしそれが本当ならば、金輪際、俺たち以外にはその話をしてはいけない。「この秘密は、誰にも明かさず、魂と共に永遠に封じると誓おう」と深刻な顔で墓場まで持っていく的な事を言われた。



これで3人の共同生活が始まった。



「あ!私のことはリンと、呼び捨てにしてください。アル、レオ、と呼んでいいですか?」



嬉しそうに頷くレオの横で



「…名前は一部分残してくれるのか…よかった…」



とアルが呟いたのを聞いて、勘違いを訂正する羽目になり、地球ネタは当分封印しようと心に決めた。





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