最後の料理。
はじめまして。頑張って書きます。よろしくお願いします。
藤乃凛。年齢の話はしたくないお年頃の独身彼氏なし。
性別は女。自慢できる特技は特になし。好きな事は料理と食べること。
これが私の自己紹介。
どこにでもいるOL。
恋愛は諦めた。簡単にいえば尽くすタイプだか、同じくらい尽くして愛してもらえないとすぐに冷めてしまう。
趣味の料理は唯一の楽しみ。
プロみたいな料理が作れるわけじゃないけれど、自分で食べる分には満足できるレベル。
仕事は忙しく、プライベートは特に特別なものもない日常を送っていた。だけど、キッチンに立って自分好みの料理を作る時間だけは安らぎであり楽しみだった。
「よし!沢山作って週末にゆっくり食べるぞ!」
仕事が少しだけ早く終わった金曜日。
張り切ってその日も、凛は夕食の支度をしていた。
献立は、得意料理であり大好きな豚汁。
具材を丁寧に切り、じっくりコトコト鍋で煮込んでいく。
こだわりは最初に豚肉をごま油で炒めて少しだけ焦げ目をつける事。豚肉を炒めた香ばしい香りと煮込んだ具材から立ち上る優しい香りに、思わず微笑む。
しかし、最後の仕上げに味噌を入れようと容器を開けると全く足りそうにない事に気がつく。
「しまった…味噌がないと豚汁が完成しないよぉ…」
そう呟きながら仕方なく、近くのスーパーへ味噌を買いに行くことにした。
無事に味噌を手に入れ、夜風が心地よい季節で、お腹は空いているが少しの外出を楽しむつもりでいつもとは違う少し遠回りな道を軽やかに歩く。
すると突然耳障りな音が響いた。
キキィイイイィィィーーーー!!!
ブォオオオーーーーーン!!!
大きなトラックのブレーキ音とクラクションが鳴り響く。トラックの先には男の子。トラックに気がついた小さな男の子が横断歩道の真ん中で動けずに立ち止まっている。
「危ない!!」
考える間もなく、男の子の元へと駆け出し、突き飛ばすようにして道路の反対側へ押し飛ばした。男の子は無事のようだが、その瞬間、凛はトラックとの強烈な衝撃を感じた。
世界がぐるりと回り、意識が遠のいていく。
「これで…よかった…あぁ…でも…最後に豚汁。。」
最後の瞬間、豚汁を食べられなかった事が心残りだった。
しかし、無事に男の子を助けられたことに安堵の気持ちがこみ上げた。そして微かに微笑んだ。
☆
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「すまぬ。」
エクストリーム土下座だったろうか?
そんな名前だった気がする土下座の上位互換。
今それを目の前にしている。
しかもそれをしているのは全身から淡い光を放つ老人だ。
全身を真っ直ぐピンと伸ばしたうつ伏せの状態で、額を床にしっかりくっつけ光沢ある美しい白髪を乱して後頭部の上で両手を合わせている。
こんな時口から出る言葉は
「えっ??」
だ。