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エピソード8:


宇宙野菜の普及活動が軌道に乗り始めた頃、灯牾とうごに新たな転機が訪れた。それは、国連から届いた一通の招待状だった。


「灯牾とうご様、あなたの宇宙野菜普及活動が高く評価されています。ぜひ、国連総会で講演をお願いしたい」


その申し出に、灯牾とうごは驚きと戸惑いを隠せなかった。しかし、同時に、自身の活動が世界的に認められたことへの喜びもあった。


ニューヨークの国連本部で行われた講演。世界中から集まった代表者たちを前に、灯牾とうごは自身の体験を語り始めた。


「私は、ただの八百屋でした。でも、諦めずに夢を追い続けたら、火星で野菜を育てることができました。そして今、その経験を活かして、地球の食料問題解決に挑んでいます」


灯牾とうごの言葉は、代表者たちの心を打った。彼らは、灯牾とうごの活動が、世界の食料問題解決の鍵になると確信したのだ。


講演後、灯牾とうごは各国の代表者と会談を重ねた。宇宙野菜の技術を、世界中に広めるためのプロジェクトが立ち上がった。


「宇宙野菜プロジェクト、略して "SPACE VEGGIE" です。灯牾さん、ぜひこのプロジェクトをリードしてください」


プロジェクトのリーダーに指名された灯牾とうごは、新たな責任の重さを感じつつも、心から喜んだ。自分の夢が、世界を変える一歩になると信じていたからだ。


プロジェクトは順調に進んだ。世界各地に、宇宙野菜の研究施設が設立された。灯牾とうごは世界を飛び回り、技術指導に励んだ。


そんなある日、灯牾とうごは故郷の八百屋を訪ねた。店主は、灯牾とうごの活躍を新聞で読んでいた。


「灯牾さん、あなたは本当に立派になった。私は、あなたを誇りに思います」


その言葉に、灯牾とうごは感謝の涙を流した。自分を育ててくれた八百屋への恩を、改めて感じたのだ。


「私の原点は、ここにあります。八百屋で学んだことが、今の私を作っています」


そう語った灯牾とうごの姿は、八百屋時代と重なりつつも、確かな成長を感じさせた。


世界を変える八百屋の物語は、新たな章を迎えている。手取り28万円から始まった夢は、今や世界の食料問題解決という大きな夢に繋がっている。


「野菜の力で、世界を変えていく。それが、私の新しい夢です」


そう語る灯牾とうごの瞳には、揺るぎない決意が宿っていた。

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