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第1話その4 『sideサメジマ』

「くそったれ。なんだぁ? アイツらは……」



 人々の寝静まった夜の公園の木々の影から男が一人現れて、電灯に照らされるベンチに腰をかけた。



────サメジマである。



 サメジマは苛立っていた。



 日常的なサヤマの反抗的な態度には命令すれば口答えはする、しかし結局のところ従ってきてはいるので、ここのところ若干の慣れは感じつつも、今日はまた新たな反乱分子が湧いてきたからだ。



「なんだってアイツは急に割って入ってきたんだ?」



 自問をしながらサメジマは昼の事を思い出していた。



「わからねぇなぁ……。俺ぁ4つ星だぜ?」



 夜の公園の電灯に照らされて光を反射する制服につく4つの星を横目にし、サメジマは自分の考えを(まと)めようとしていた。



 『星』とは、アマノガワ学園への入学時に個々に割り振られるものであり、その意味はそのまま個人の能力値を表しているものだ。


 1から7の数ある中で、入学したての者には1つか2つの星が割り振られるのが常識とされている。その中でサメジマには4つの星が与えられた。



 顔も見えない存在に決められる自分への評価に眉をひくつかせる物を感じつつも、しかしそれはここにおけるルール。摂理であると。


 自分以外の他者が従うべき生きる上での共通の決まり事であると考えて、自分にとっては関係ないが、しかしせっかく有利な立ち位置にいるのだから利用できるものは最大限に利用してやろうと、そうやって毎日を過ごしてきた。



『与えられた星の数がそのまま個人の力を表す』、そうであるから星の数の多い者が星の数の少ない者を従える。



 それがお前らの摂理だろうと、それがお前らの従うべきここでの掟だろうとサメジマは考えていた。



 しかし今日、上に立つ自分へ刃を立てる者が現れた。



 正確には刃を立てるという表現には遠いものがあり、こちらが気圧せば相手は引いて、元の位置へ戻る事という事が感じられ、実際にそいつの表情は自らの行いの意味に気が付きつつあって、顔に歪みが生じていた事をサメジマは見逃さなかった。



 名はイルマ、星は2つ。



 特に目立ったものは無く、特別何かに優れている訳でもない。ただクラスの端にいる存在。


 そもそも眼中になどなかった。そんな奴を考えた事など全く無く、そんな奴の考えなどサメジマにはわからなかった。



 とるに足らない存在が何故だかサメジマには気になった。



 辺りは先ほどよりも冷え込んできて吹き抜ける風が木々を揺らして時間の経過を伝えてくる。



「あー、くだらねぇ。なにやってんだか俺ぁ。さっさと帰って寝るとするか……」



 答えの出ない問答と、とるに足らない存在に自分の時間を浪費したと、ため息まじりに空を見上げる。



 雲一つとしてない夜空には星々が煌めく。その輝きにあてられてか、突然サメジマの脳内に"ある考え"が湧いてきて自然と口角が釣り上がる。



「クハハ……! あー、そうか。考えるまでもねぇじゃねぇか。何が気になるかなんてのはどうでもいい事だ。気の迷いだろうと何だろうと逆らった事には違いねぇ。したら後はケジメの問題じゃあねぇか。掟に背く奴には『制裁』を、だ」



 高笑いと共に男は影に消えていく。星の数だけ駆け巡る最悪の思考を頭に浮かべて────────。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 星というステータスによってカーストが決まるのは学園という狭い社会をしっかり捉えている [気になる点] 星が何か分からないままいじめのシーンがあったため、先に星の説明がほしかった [一言] …
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