第2話その2 『知的委員会 委員長 ガリレイ登場』
「さて。呑気なモノだ、と言ったのは彼に対してではありませんよイルマ君!」
「────ッ!!! ちょっと何するんですか危ないな」
風紀委員の男がイルマの後ろへ回り込み拘束を試みる、が、すんでの所でイルマに避けられた。
「訳も言わずに急に襲いかかって来るって酷いですよ? ことの詳細の説明を強く求めます!」
イルマは距離をとって身構える。
「ほう、4つ星である彼の拘束を躱しましたか。つまり先程までの光景は見間違いではなかった様ですね。……"死兆星"やはり危険な存在だ」
「あ、あの! ちょっと待ってください! 風紀委員会の方々がどうしてイルマ君に襲いかかるんですか!? 私も詳細の説明を強く求めます!」
慌ててサヤマが両者の間に割って入る。それに続いてクラスの面々も「そうだそうだ」と声を上げた。
「襲い掛かる、とは聞き捨てなりませんね。私達は星の裁きの下に彼を拘束する為にやってきたのです! 一般生徒は大人しく下がっていなさいサヤマ氏! それに良いですかA組の皆さん。こちらとて、"急に"では無いんですよ。そこにいる彼、イルマ氏は昨日に持ち星が消滅し、『持たざる者』となっていました。それを確認した我々は昨日から彼の行方を追っていたのです! しかし、どういう事か彼は我々の捜索に引っ掛からなかった! そして今日の先程まで、我々は手を出さずに待っていたのです。故に"急"では無いんですよ。さぁ説明はしました。君には出頭を命じます!」
「待ってください! 彼が『持たざる者』になったのは「しつこい人ですねぇサヤマ氏! ここで我々二人の活動を妨げるのはいい加減に公務執行妨害となってアナタまで不利益を被る事になるんですよ!? それに他の理由など我々には関係無いのです! 『星の増減』、ただそれだけが我々の活動理由です! それはアナタ方一般生徒も大変よくご存知であるとは思うのですが!??」
────────そう。風紀委員会の活動内容は主に『星の増減』が起きた時だ。ただし概ね星の減少、つまりランクダウンが確認された際に罰則を実行しにやって来る。
この学園にとっての『星の数』とはすなわち、"個々人の人間性"を表しているともされ、星の減少が起きた場合と言うのは"著しく他者への不利益を及ぼした"と、一見すればわかる、明確な指標という訳だ。
「故に、『持たざる者』はその危険性から、"偉大なる正義の壁プリズム・プリズン"への連行及び収容が我々の最たる活動内容となっております! さあ、イルマ氏! まだアナタに人間性がカケラ程でも残っていると言うのなら、大人しく我々の指示に従いご同行の程を願います。さもなくば……!」
風紀委員会の両名は身構える。
「「風紀委員の名において、我々は全力を以ってアナタを強制連行致しますっ!!!」」
先程までの賑わいが嘘の様に、張り詰めた空気が辺りを包む。じりじりと間合いを詰める風紀委員会に、これまでかと誰もが思った時、また一人そこへ訪れた。
「────風紀委員会のお二人さん、ちょいと彼の身柄はボクに預けて貰えるかい? なあに悪い様にはしないから。ボクはただ彼の事がもの凄く"知りたい"だけなんだ」
音もなく彼らの間に割って入ったのは、白衣を纏った一人の少女。
名前は"ガリレイ"
『知的委員会 委員長 3年 "学園を知る者"』
星は6つ。