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第1話その13 『ランクダウン』



「イ……イルマ、くん?」


 サヤマは恐る恐る暗闇に向かって声を投げた。その声に呼応するかの様に次第に辺りが照らされていく……。



「よーくここがわかったなサヤマ。時間通りだ褒めてやる」



 鋭い眼光をギラつかせ人壁の最奥にいるサメジマが声を返した。イルマは何も答えない。


「イルマなら確かにいるぜ。おいっ!」


 サメジマの合図と共に人壁が割れ、囲まれていた者が姿を現す。間違いない彼だ。そこに立つ背中を一見し先ずは無事の様で安堵する。



「……サ、サヤマ、さん?」



 ようやっと彼からの声が返ってきた。それにもまた安堵する。声は出せるみたいだ。


「おぉっと。あんまり近づかない方がいいぜ? なんせ踏んで怪我でもしたら大変だからなぁ」


「踏む────」


 イルマの足元に散らばる弱くも青い光を放つそれらを目にしてサヤマの足が止まる。あれは……。


「ウソ……なんで、どうして…………」

「どうしてだってよぉイルマ。答えてやれよ」


「こ……これ、は…………」



 イルマはまだ背中を向けたままだ。



「てめーの為にサヤマのペンダントを壊しましたってしっかり言えよぉ!助かりたい一心で思い切り踏み潰しましたってよぉ!!!」



 瞬間。



 イルマの足元が激しく光り出す。足元からは突如として天へ向かって光る柱が現れたのだ。


「おいおいおい、こいつぁまさか!」、サメジマがいの一番に反応を見せ、光の中からは「パリィン、パリィン」と、何かが砕ける音が辺りを響かせ光の柱は消え去った。



 これはまさか、これは────



「こいつぁ『ランクダウン』か!? えぇおいイルマ! なぁ!? お前、持ってる星が一気に砕けちったじゃねぇか! マジでどうなってやがるんだよぉ!!!」


 サメジマは興奮を隠すことなく意気揚々と語る。


「はじめて見たぜ『ランクダウン』! しかも星が一気に2つも消えちまうなんてよぉ!……約束通りこれからはお前らには手を出さねぇよ。ただまぁ、お前にはもう手を出すまでも無くなっちまったけどな! ははは! 『持たざる者』が何を意味しているか流石にわかってるよなお前もな!」


 声を高々にサメジマは姿を消した。サヤマとのすれ違いざまに「せいぜい奴に感謝しな。一応ヤツとの話にはテメーにも手を出さねぇって文言が入ってるからよ。これからはもう『テメーは』自由だ」、なんて言葉を残して。



 サメジマが姿を消すと、いつの間にか囲まれていた人壁も消え去り、その場に残るのはイルマとサヤマの2人だけである。


 時折り穴のあいた壁から吹き抜ける風だけが音を鳴らす。


 この悲惨な状況の中でサヤマもどんな言葉を発すればいいのか分からずにいた。何をすれば一体……。



「サヤマさん。ごめん────」



 ようやく振り向いたと思った彼は、こちらを見ずに駆け出していく。たった一言だけを残して。


 その時に確かにサヤマは見た。彼の胸の輝きが消え果てていた事を、そして頬には涙が伝っていたことを。



「……わからない。いま私にもなんて言えばいいのかわからない。わからないよ……」



 祖父の遺品を壊されたと怒ればいいのか、自分と関わってしまったせいで標的にされ酷い仕打ちを受けた事への心配をすれば良かったのか。それとも他に、何か伝えたい事でもあったのか。サヤマにはわからない。


 ただ一つ、確かに今感じるのは、ひたすらに悲しいと言うことばかりか。


 サヤマは一人その場に崩れ落ち、辺りには弱くも青い光が散らばっている……。

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