第1話【突然手に入れた異能の力でカースト制度を覆す!】その1『我の願いを叶え給へ』
初めての作品です。まだ登場人物の名前も何も決まってませんが、書き始めないといつまで経っても書けないと思って見切り発車で書き始めました。
完走するので応援よろしくお願いします。
どんな感想でもリクエストでも、あるいは関係のない物だったとしてもコメントを頂けると作者は非常に喜ばしいます!
照れますね///
もし神さまがいるのなら、どうして人は他者をいたぶるように創ったのだろう。
もし神さまがいるのなら、どうして弱者を救うために姿を現してはくださらないのだろう。
もし、神さまがいるのなら……。
頭の中は今や現実のことなど考えてはいなかった。
いくら考えた所で答えの出ない問答にのみ全てを集中させて、ただひたすらに、現状を自覚させる事を許さなかった。しかし、それでも歩みを進める命令だけはきっちりと出し体はそれに従っている。
(────この世界から離脱をするために)
少年は一人、夜道を歩く。
『願いの滝』
アマノガワ学園の観光スポットとして有名なこの場所には入り口に鳥居があり、奥に進むと賽銭箱がポツンと置かれ、安全柵で囲われた滝壺だけがある。滝の落差は100mに近い。
「願いの滝ねぇ……ふふふ……願いの滝…………」
『あなたの願いが叶うかも!』、そんな謳い文句の馬鹿馬鹿しさに考えなしの口が反射的に呟いていた。祈願者の誰も彼もの願いが叶うなら、誰も苦しむことなどないからだ。誰も悲しむことなどないからだ。
ここに救いを求めて祈願をしに来た者を馬鹿にしたような、そんな皮肉を感じられる文句を思い出し、ついぞ頭が反応したらしい。
「……まぁ、最期だからな、いいよ。今のありったけをここに置いてってやるさ。そしたらもう、それでお終いだろ。これでお終い。この世界との繋がりはもう全部ここで断ち切れるんだ、思い残すこと無いように全部な……全部…………」
自分を言い聞かせるように、ここで最後の退路を塞ぐために所持金を全て賽銭箱へ突っ込んだ。
(────進まなくてはならないから)
「いやー、初めてにしてはなかなか上出来だなー! 我ながら天才的な身のこなし? 手際の良さ? 影の薄さ……」
滝の頂上につき、景色を眺めながら自分の成果を称えた。
"願いの滝"はその長さから、滝の頂上には近づけないように滝壺のあたりには防犯カメラとフェンスが敷かれている。
防犯カメラに不審な人物が確認されるか、フェンスが悪戯に破損した場合、ただちに警備アラートがなり警備員が駆けつける防犯システムになっている。それらを掻い潜り、滝の頂上へ辿り着いたこの達成感はなんとも言えないものがあった。
「……でも本当にこれで終わるんだ。ここまで来れたのもきっとそういうことなんだ。僕が初めての礎となる。それがきっかけで始まるんだ。この馬鹿げた世界の改革が。そうしたらもう…………」
肯定も否定もなく、ただ水の流れる音だけが聞こえていた。
落ちゆく水を追いかけるように滝の下を覗いてみた。
深夜ということもあって、本当に下に先ほどの滝壺があるのかはわからない。ただ川の水が流れ、そして闇に呑まれ消えていく。
そんな水が、まるでこれからの自分を映し出す鏡の様な気がしてならなくなった。
自分がたった一人消えた所でこの水の様に闇に呑まれ、誰の気にも留められず、ただ消えていくだけでは無いのか。そんな恐怖に刈り取られ、心臓が熱くなっていくのを感じた。
冷静に物事を捉え始めた辺りから、疑問がふつふつと湧いて出てくる。
(……本当にこれでいいのだろうか。……本当にこれしか無いのだろうか。本当に…………?)
「違う……! ばか、やめろっ!」
自分の頭を掴んでしゃがみ込み、必死に言い聞かせる。
「ここまで辿り着いたのも……、今日まで誰一人同じことをしなかったのも……、きっとこの日のためにっ! ここから始まるんだ! だってそうしなきゃ……、いつまで経っても変わらないぞ! 僕が変えるんだ! だからっ!!!」
少年は立ち上がり闇夜に向かって大きく吠えた。
「僕はアマノガワ学園1年A組のイルマ! 僕はお前らなんかに従わない! お前らなんかに屈しない! 今に見てろ! 僕は、僕たちは必ずお前らを全員引き摺り下ろしてやるからな!」
勢いのあるままに何を考えるまでもなく僕は滝へ飛び込んだ。この命が尽きた頃、きっとここに住む人々が考えを改めるだろう。僕には他に自分の意志を示す方法が思いつかなかった。
この定められた環境を覆す方法を……。
もし、神さまがいるのなら、どうして人は他者をいたぶるように創ったのだろう。
もし、神さまがいるのなら、どうして弱者を救うために姿を現してくださらないのだろう……。
もし、神さまがいるのなら────────
『どうか僕に力をお与え下さい。この理不尽な世界に抗う力を』
遠ざかる夜空に向かって最期に僕は腕を伸ばした。
その手には 掴まれるモノは 何も無く……。




