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第九話

「あ、いいこと考えた! 早川さんも誘おう!」


「待て、本当に待ってくれ。よく考えてから行動しろよ。早川が迷惑するし、そもそも俺だって迷惑だ」


 わけの分からない計画を考えた笠原が、早速スマホで早川に連絡したようだった。


 だって俺のスマホに、


早川詩音>今週の土曜日は笠原さんたちと遊びに行くことになってたの?


 と、来たから。

 あー、クソだ。マジでクソだ。

 

「青野、早川さんオッケーだってー。今度の土曜日は晴れだし、屋外がいいね」


 早川は何事も断れない性格だった。少なくとも、学校の人格では。とても申し訳ないことをしてしまった。後で謝っておこう。これで多分、その日早川の家に行くという計画は無くなってしまった。


 彼女がもし、人の温もりだけを求めているのなら、人数が多いこの計画でみんなと遊んだ方が良いとも言える。

 寂しくて寝るとか、もしかしたら俺たち、頭がおかしかった可能性すらある。


「じゃあ、無難に遊園地とかはどう?」


 笠原が武藤のいないこの場で提案する。武藤が笠原を誘ったっぽいし、武藤と一緒に行き先をに決めるのが筋だとは思うが。

 笠原はそんなことを気にしないらしい。

 今度は園中が口を開く。


「武藤はそんなところがいいって言ってた。みんなで遊べるところがいいって。多分だけど、笠原が決めたなら、武藤はどこでも満足すると思う」


 確かに。

 園中の言うことは尤もだった。


「青野はどう思う?」


 笠原が俺に話を振った。


「えー、そうだな……。遊園地のレベルによるな。子供騙しみたいなヤツとかはイヤだ」


 せっかく時間を使うのだから、変なところには行きたくなかった。


「そんなところ、高校生五人で行くわけないでしょ。私恥ずかしいよ」


 それはよかった。


「うーん……。めんどくなっちゃった。武藤に決めてもらおっか」


 笠原が途中で投げ出したため、行き先の責任は一気に武藤へと飛んで行った。


「うん、そうしよそうしよ。笠原に賛成。園中は武藤にこう連絡して。『このメッセージの送信後、三十秒以内に返信しなければ、笠原は、この園中俊也がお持ち帰りする。土曜日の行き先を決めろ。』って」


「できるわけないだろ。後で武藤に殺されるやつじゃないか」


 そう言ってから園中はスマホを触り始める。

 俺の言った通りにしたのかは分からないが、園中のスマホからLINEの送信音が鳴った。


「あ、返信来た」


 送信してから五秒くらいしか経っていないが、やっぱり来た。


 武藤が指定した行き先は、県外の有名なテーマパークだった。


 そういえば、早川は来てくれるのだろうか。もういっそ断っていいと思うんだけど。




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