表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/25

第八話

「おい青野、ホントに来ないのかよ。笠原がお前が来ないと遊んでくれないって言ってるんだ、頼むから来てくれよ。こんなこと武藤に言えないんだ! 早く了承してくれ……!」


 次の日、学校の教室に着くや否や廊下に連れ出され、武藤の友人である園中が俺に言った。

 どうやら俺が今度遊ぶという約束を断ったことによって、笠原がどうかしたらしい。


 余計なことすんなよ、と思った。なぜこんなことになったのか、ちっとも理解できない。


「園中、それどういうこと? なんで俺が行かなかったら、笠原が遊ばないってことになるんだよ」


「そんなの知らない。……まぁ、分かってると思うけど、武藤は笠原のことが好きなんだ」


 知ってる。


「それで今度告るつもりらしいんだが、それを一緒に遊んだタイミングにしようってことにしたらしい」


「は? なら園中も遠慮して二人だけで遊ばせとけばいいじゃないか。武藤と笠原、美男美女のビッグカップルじゃん」


 何も考えず、思ったことをそのまま口にする。園中との会話とか、考えるだけ無駄だと思った。

 

「武藤を怒らせたらマズいんだって、頼むよ、青野!」


 お前がなんとかすればいいだろ。


「こっちだって予定がある。武藤には『残念だったな、だが武藤の恋はずっと応援してる』、こう話しておいてくれ」


「応援してるなら来てくれよッ! このままだと、武藤が発狂するぞ」


「そんなんで諦めるなら、初めから笠原なんて狙うなよ。知らぬが仏って言うし、ずっと内緒にしとけば?」


「アホか! 絶対バレるだろ!」


「なら園中がなんとかしろよ」


「———青野?」


 あ゛?

 突然のことだった。園中とは違う、高い女の子の声が聞こえたのだ。


 心の中で、変な声が出た。人気のない廊下に、ポツンと人の気配。

 俺はゆっくりと振り向く。


「笠原か」


 笠原が立っていた。

 そこから笠原は笑顔で、


「なんで、ウソ吐いたの?」


 やっぱりか。……っていうか、ウソバレるの早すぎるだろ。避妊具のことも含めて、完全に変なヤツだと思われてるよ。


「……な、なんのこ———」


「バイトあるって、言ってたよね? 本当は無いんじゃない?」


 なんで、知ってるんだろう。


「最近新しいバイトを始めたんだよ」


「お母さんも知らないバイト?」


 母親に訊いたのか。


「うん、最近マジックミラー号製作会社の受付をしてるんだ」


「……ん? 何それ」


「知らなくていいよ。テキトーなこと言っただけだから」


「やっぱり……ウソ吐き」


 笠原が口を尖らせる。武藤に見せたら、大喜びしそうな表情だった。


「実はバイトじゃなくて、早川と遊ぶ予定なんだ。ゴメンね」


 ……あ、まずった。

カクヨムの方で最新話を投稿しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ