閑話休題〜旅の一時〜
「我が求むるは、純粋なる力の源。内に秘めし生の流れを共に歩むものに分かつことを願わん。例えわが身が枯渇しようとも彼の者に大いなる力を与えん!」
楓は厳かに呪文を唱えると、バッ!とふっくんに手をかざした。
「・・・」
「ど、どう?ふっくん。何か感じた?」
「何も感じないでしゅ・・・」
ふっくんは尻尾を下げ申し訳なさそうに声を出した。それを聞いて楓ははぁ〜とため息を付く。
さっきから何度も何度も呪文を唱えてはふっくんに手をかざしていた。しかし、一向に変化は見られない。
ロージーに向かう途中の街道沿いに設けられたキャンプ場で、護達パーティは休憩を取っていた。
楓はこの旅の間になんとか召喚師として力をつけようと度々こうして練習をしていたのである。
しかし今のところ上達の兆しはない。
「ん〜。なんで何にも感じないんだろう?魔力を注ぐだけで良いんでしょ?ちょっと!護さーん!!本当にこの呪文で魔力を注げるんですか!?」
楓は護に問いただした。今自分が唱えていた呪文は護が教えてくれたのだ。当の護は霞の稽古に付き合っていた。
「えー!?多分それで良いと思うけど?僕の知り合いの召喚師が唱えてた呪文列だから、間違いないと思う」
「でも、何度やっても何の変化もないんですけどー!」
「ん〜、楓さぁ。呪文唱えてるとき、自分の中に魔力が流れてるのを感じてる?」
「え?いえ」
「おい!それを感じられなかったら、どうやって注ぐんだよ。まず自分の魔力の流れを掴まなきゃできるわけないでしょ。何?今までそれもできないで呪文唱えてたの?」
護は呆れながら聞く。
「そうなんですか?だって護さん、これ唱えてれば大丈夫って言ったじゃないですか!」
「それは、自分の魔力を把握してると思ったからだよ!教えるときに聞いたら、自分の中で何かが流れてるのを感じましたって言ってたじゃん」
「それは、お姉さまに教えてもらった魔法を唱えようとしたときに感じたからそういったんですよー!とにかく、どうやったら自分の魔力を感じられるんですか?」
「えー」
護は面倒臭そうに声を上げた。正直今は霞の相手をしている。確かに護は面倒見が良いが、二つ三つと違うことを同時にやれるほど器用ではない。
「ちょっと、霞。悪いけど待っててくれる?」
「いいよ」
霞に了承を得ると楓の方に行く。そしてふっくんの前に立つと手をかざし、楓の唱えていた呪文を詠唱する。
「大いなる力を与えん」
すると、護の手のひらがほんのり青く光りだした。
「どう?ふっくん?」
「あ!何か感じたでしゅよ!元気が出てくる感じでしゅ」
どうやら、護の魔力をふっくんに注ぐことはできるようだ。
「ほら。この呪文でちゃんと魔力注入はできてるじゃない。召喚師でもない僕でもできるんだから、楓ができないわけないんだけど」
「でも、何度やってもこんな感じになりませんよ?」
「ん〜。楓、本当に魔力流れてるの?」
訝しげに護は楓に聞く。
「それは!護さん自体調べて流れてるって言ってたじゃないですか!」
「あー、そうだったね」
護は頭をぽりぽりかきながら笑った。
「じゃあ、楓は自分の魔力の扱い方を知らないって事だよね。呪文構成列に魔力を乗せることができないわけだ」
「よくわかりませんけど、そうなんですか?」
「そうだね」
「じゃあ、どうしたら魔力を感じられるんですか?」
「えー?とりあえず、精神集中して瞑想することからしたらいいんじゃない?」
「瞑想ですか・・・。わかりました。やりますよ!」
そう言って楓はちょこんと座ると目を瞑った。それを見て、護はため息を付くとやれやれと言った感じに霞の元に戻っていく。
「おまたせ」
「ううん、いいよ。なんか楓も大変そうだね」
「まぁ、自分の魔力がつかめないようならどうしようもないからねぇ。そう簡単に魔法を使えたら学校とか必要ないわけだし、何事も精進あるのみってことさ」
「うん。私も精進しないと。と言うわけで続きを教えてください」
「はいよ。で、何処までいったっけ?」
「だから、火の属性に風の属性を混ぜるってところ」
「あー、そうそう。この間言ったと思うけど、火っていうのは風によって力を増すわけよ」
「うんうん」
「だから、普段使ってる霞の火の魔法も風を混ぜれば強力になるって訳」
「でも、私本来魔力持ってないから、指輪の属性以外の魔法って唱えられないんでしょ?」
「そうなんだけど。先人さんたちがそれを見越して、火の魔法にもともと風を増幅装置としていれる魔法を考案してるわけなのよ」
「そうなの?」
「うん。だから、風の属性を入れてるって言うけど一応火の属性の範囲に入るから、たぶん霞も使えると思う」
「そっか。じゃあ、教えてください」
「了解。それでは呪文構成列を言うね。しっかり覚えてよ?・・・黄昏よりも深い闇。訪れるは安息なれど、時に寂寞に駆られる。望む暁が照らす世界は新たなる生命の誕生を予見させるが、日の光は火の光となりてすべてを焦がす。ささやく風の言葉は惑わしの言葉・・・」
護の言葉を聞きながら反復して霞も言葉を口にした。
「燃ゆる火に風は笑う・・・までが呪文構成列。あとは発動言霊としてボルガノンと最後に言えば呪文は発動するはず」
霞は今の言葉を忘れないようにぶつぶつを言って覚えている。
「大丈夫そう?」
「え?うん。一応覚えた。早速やってみるね」
そういって、霞は両手を胸の前にかざした。呪文を唱え始める。
「黄昏よりも深い闇。訪れるは安息なれど・・・あれ?」
唱え始めていた霞は構えを解く。そして護のほうを見た。
「あのさ。この先なんだっけ?確か、望む暁が照らすって言う前になんかあったよね?」
「時に寂寞に駆られるだよ」
「あぁ、そうだったそうだった」
護の教えてもらい再び構えると呪文詠唱に入る。しかし同じところでまた言葉を忘れた。
「えーっと、この先なんだっけ?」
「だから、時に寂寞に駆られる」
「あー、そうそう!なんか、唱え始めると忘れちゃうんだよね」
霞は笑いながら今度こそ大丈夫と何度も今の言葉を繰り返し呪文詠唱に入った。しかし、また同じところで言葉を失う。
「・・・あれ?なんだったっけ?なんで出てこないんだろ?」
不思議がっている霞に護は自分の指から指輪をはずし差し出した。
「これつけてみてよ」
「これは?」
「ん?風の指輪。これつけてもう一度唱えてみて」
護に言われ霞は指輪をはめる。そしてもう一度詠唱に入った。
「黄昏よりも深い闇。訪れるは安息なれど、時に寂寞に駆られる。望む暁が照らす世界は新たなる生命の誕生を予見させるが、日の光は火の光となりてすべてを焦がす。ささやく風の言葉は惑わしの言葉。燃ゆる火に風は笑う・・・ボルガノン!」
今度はうまくすべてを詠唱することができ、発動言霊とともに霞の手から凄まじい炎が迸り、辺り一面を焼けつくした。
「おぉ!出た!」
「うん。やっぱりね」
あまりの激しい炎に唱えた本人がびっくりしていた霞に護が、うんうんと首を振りながら傍による。
「凄いね、この魔法。ゴッドオブフェニックスよりもそんなに疲れないのに威力がありそう」
「まぁ、そうだとは思うけど。あのさ、今度は風の指輪はずして唱えてみて」
「え?うん」
護に言われ風の指輪をはずすともう一度呪文詠唱に入った。しかし、先ほど唱えられていたのに、また途中で言葉を忘れる。
「あれ?さっきちゃん唱えられたのに」
霞はなんとか呪文構成列を思い出そうとするがどうやっても思い出せない。
「そうか。駄目っぽいな」
「え?どういうこと?」
なにやらすべて分かったような口ぶりの護に対し、何がなんだか分からない霞は聞き返す。
「この魔法。一応火の属性専用に作られたとはいえ、やっぱり自分の魔力がない人には使えない見たいって事。指輪の力だけに頼ってるとその指輪の属性しか使えないって言うのは変えられないみたい」
「そうなの?」
「うん。今の魔法唱えようとしても言葉忘れちゃってたでしょ?」
「うん」
「自分の使えない属性の魔法って言うのは、魔力を呪文構成列に組みこもうとすると自然とブロックがかかって言葉が出てこなくなるんだ。大丈夫だろうと思ったんだけど、魔力のない霞には今の魔法使えないんだと思う」
「えー!今の魔法、強力そうで凄く気に入ったのに」
「しょうがないよ。属性が違うんだもん」
「えーえー」
護の説明に、霞は納得いっていないようだった。残念そうに声を出している。それを聞き護は少し考えた。
「じゃあさ。この指輪あげるよ」
「え?いいの?」
「うん。この風の指輪を使えば、今の魔法とか風の属性をプラスしたより強い魔法を使えるようになると思うし。僕はもともと風の加護を受けてるから正直必要としてないしね」
「で、でも」
「それに、ほら、今日って特別な日でしょ?僕からのプレゼントだよ」
「え?特別な日って?」
「やだな。自分のことなのに忘れちゃったの?今日って、確か霞の誕生日でしょ?」
「あ!」
そう、今日は霞の生まれた日。護はそれを覚えていたのだ。
「覚えていてくれたんだ・・・」
「まぁね。それくらいは覚えてないとさ。だから、僕からのプレゼントだよ」
「い、良いの本当に?」
「うん」
「わー!ありがとう護!」
霞は嬉しそうに声を上げた。伝説の指輪をもらったということが嬉しいのもあるがそれよりも、護が自分の誕生日を覚えていてくれてプレゼントをくれたことが何よりも嬉しかったのだ。
「すっごく嬉しい!これ、大切にするね!!」
霞はさっそく指にはめて空にかざしうっとりと見つめた。
「綺麗・・・」
風の指輪は火の指輪のような燃える赤さとは違い、日の光を浴びて柔らかくエメラルドグリーンに輝いている。
「喜んでもらえて何より」
思った以上の霞の喜びように護は照れくさそうに頬を掻いた。実は護、霞の誕生日は覚えていたが、何をプレゼントしたら良いのか悩んでいたのだ。女性は何をあげれば喜ぶかなんて分からなかったし、改めてプレゼントするにしてもどこか恥ずかしくこういう時どうしていいのかなんてさっぱりだったので、ここ数日それで頭を悩ませていた。今回の指輪のプレゼントは良い機会だったし、なにより霞が喜んでくれたことが護をホッとさせた。
「ただ、風の指輪はね、他の指輪と違って凄い気まぐれなんだ。火の指輪と契約できたからと言って他の指輪とも契約できるとは限らないし、風の指輪の場合は特に癖があるから契約自体は出来ない可能性のほうが高い。だから、本当使うなら火の補助程度にしか扱えないかもしれないけど・・・」
「ううん。それでもいい。私、契約云々よりこうやって護が指輪をくれたのがなんか、力が湧いて来るっていうか、護ってもらえるって気がするから」
「そ、そう?」
「うん。そ、それに、指輪をくれるって・・・ち、誓いの証みたいだし・・・その・・・け、けっこ・・・」
「ん、何?」
「ううん。なんでもない!」
霞はなにやら顔を真っ赤にして手を振っている。
「あー、それにしても火の魔法使うと熱いわ」
まだ霞の放った魔法により燃えている草むらを見て護は手で顔を仰ぐ。確かにここら周辺の気温はかなり上がっている。護の場合、気温のこともあるが慣れないプレゼントの恥ずかしさによる熱さもあった。
「うん。熱いね。魔法唱えるだけでも熱くなるっていうのに。あーあ。私、汗かいてきちゃった」
額の汗を拭いつつ、霞もまた同様に手で顔を仰いでいる。
「ねー、護。確かここのキャンプ場にも水浴びできるところあったよね?」
「あぁ、あったねそういえば」
「私、ちょっと水浴びしてくるね。汗ばんで気持ち悪いの」
「了解。じゃあ、その間にこの火の消火作業でもしてるよ」
「うん。お願いね」
その場から立ち去ろうとした霞は、ふと何かを思い出したかのように立ち止まり、改めて護の方に顔を向けた。
「護」
「何?」
「の、覗いちゃだめよ?」
「はいはい」
護は何を今更と言った感じに呆れながら言葉を返し、燃えている草むらの消火作業に入った。
このキャンプ場から少し離れた森の中に、小さな滝と池がある。近くの山から綺麗な清流が流れ出しており、そこで水浴びが出来るのだ。
「ふー、旅で野宿とかしてるとお風呂にもなかなか入れなくて、それがちょっと嫌よね」
水辺で服を脱ぎ、流れ落ちる滝の元に向かう。
「はぁ〜、冷たくて気持ちいい〜」
顔を上に向け、落ちてくる水を当てながら火照った体をクールダウンさせる。
「ん〜、だいぶ髪が痛んじゃったかなぁ。サラサラなのが自慢だったのに」
自分の前髪をつまみ、見つめながらため息をついた。
昔はそんなことを気にしたことはなかった。周りから綺麗な髪だと褒められてはいたものの、あまり気にもとめていたなかった。幼少時、髪は長かったが剣の稽古や動くのに邪魔になるという理由で切った程、別に髪に執着などない。正直王女といってもあまり女らしく楚々としていた記憶はなく、むしろ男勝りで活発であったような気がする。自分でもその方が好きだった。
こういったことを気にするようになったことに霞自身驚いたりしているが、今は必要以上にでも気にしたいと思う。
「もっと女の子らしい方がいいのかなぁ」
改めて裸になっている自分の身体を見た。スタイルは良い方だと思う。別に太っているわけでもないし、足だってスラリとしてて長い方だろう。顔だって自分では分からないが、周りからは綺麗な顔立ちをしていると褒められているなら別に悪いわけでもない。ただ・・・。
「やっぱりこれはどうなんだろう」
ペタペタ
「むむぅ〜」
自分の胸を触りながら唸り声を上げる。霞の胸は非常に小さい。極小だ。いや、見る人が見たら無いだろうと言うかもしれない。服を着ているとよく分からないが、こうやって脱いで見るとはっきりと分かる。昔、男装をして自分でも驚くほど似合ったことがあるし、男性より楓みたいに女性に好かれる経験の方が多い。
それが、自分にとってマイナスかと言えば、別にマイナスだと思ったことはなかった。むしろ髪と同様に胸なんてあっても稽古とかに邪魔なだけじゃないと思っていた。一時期、男に生まれたかったと思ったほどだ。
しかし、今はそのことが非常に気になる。
「女の子なら楓みたいに胸はあった方がいいんだよね。男の人って胸が大きい子が好きだっていうし」
楓のことを思い出してみる。胸は豊満で綺麗と言うよりも可愛いという言葉がよく似合い、服装も可愛らしいのをよく着ている。自分が仮に楓が着るような服を着たとしても似合わないだろう。イメージすら出来ない。
「護も胸の大きいほうが好きなのかなぁ?あーあー、どうやったら大きくなるんだろう」
霞が自分の胸の小ささに悩んでいるとき、森の影からその姿を覗いている者がいた。
「むふふぅー!お姉さまの水浴び。こんなチャンス見逃すわけないじゃない。キャー!もぅ!素敵なお身体!!まさしく美の女神!」
楓は木陰から霞に見つからないように穴が開くほど霞を見ている。本来こういった視線等々に気づかない霞ではないのだが、霞も今はそれどころではなく自分のことで頭がいっぱいだった。
「あーん!本当肌も珠のようで真っ白で、まさしく芸術だわ!」
「うむ。確かにええ身体しとるのぉ」
「私もあんな風に綺麗になりたいわぁ」
「しかし、胸が小さいのがやはりわしとして好みではないが」
「そこがいいんじゃないですか!」
「いやいや、やはり女性は胸じゃろう?」
「そんなこと・・・って!?」
楓は声のした方を振り返ってみる。すると楓の横にザンドマンが立っていた。
「あ、あなた!何しに出てきたんですか!?」
「何って?決まっておるじゃろ?そなたと同じ覗きじゃよ」
「私のは覗きじゃなくて観察です!じゃなくて、何見てるんですか!!」
「良いではないか〜。わしだって見たいぞ」
「ダメダメダメ!お姉さまの清らかな姿を見るなんて!さっさと消えなさいよ、このスケベじじい!」
「えー、わし、これが生きがいなのにぃ。覗きこそわが人生」
「やかましい!とにかくお姉さまの裸体をこれ以上見るなんて私が許しません!」
「それなら、女子の裸を見せておくれ」
「あほぬかすなー!!」
楓はザンドマンの首を掴むとキュッと締めにかかる。
「ぐ、ぐるぢぃ・・・」
「お姉さまの裸を見る輩は万死に値です!」
「誰だ!」
さすがに声を大きかったためか、霞が楓たちのいる方に声をかけてきた。霞は直ぐにタオルを身体に巻いて、剣を握った。
「やばっ!ちょっと、あなたのせいでバレたじゃないですか!」
「わ、わしゃ知らん」
「出て来い!」
霞は、じっと楓たちのほうを睨み付け剣を構えている。
「ど、どうしましょう!こんなことでお姉さまの心象を悪くするわけには・・・」
本来、楓も女性なので別に霞の裸を見ようがさしたる問題はないのだが、楓として内緒で覗き行為をしていたということに悪いことをしたという感覚があるのだ。それにザンドマンもいる。
「そ、そうだ!ザンドマンが覗き行為をしていたので捕まえましたと言えば、問題ないじゃなーい!」
「女子、ずるいぞ!」
「だって、私お姉さまに嫌われたくないんだもーん」
「こうなりゃ、姿をくらませ・・・」
「おっと、逃がさないわよぉ」
逃げようとするザンドマンを楓はがしっと掴んで離さない。そうこうしてるうちに、直ぐ近くから声が聞こえた。
「あら、なんだ楓じゃない。あなたも水浴びに来たの?」
霞はいつまで経っても出てこない相手を不審に思い、自らやってきたのだ。
「え、あ、はい!実は、私も稽古で汗かいたので」
「ふーん。で、このじじいはなんでこんなところにいるのかしらぁ?」
霞は声のトーンを低くし、ゆらりと剣をザンドマンの首元に当てた。
「わ、わしゃぁ何も見とらんぞ!女子が召喚の練習とか言って急に呼び出されたのじゃ。わしにも何がなんだかさっぱり・・・」
「あ!何をいけしゃあしゃあと!覗いてたくせに」
「ほほぉ、覗いてたの」
「わ、わしゃしらんって!本当に知らんから!こんな老い先短い老人の言うことくらい聞いてくれたって良いじゃないかのぉ」
「だったら、さっさと消えなさい」
「う、うむ。消える、消えるぞ!」
そんな折、もう一人この場にやってきたものがいた。
「かーえーでー!ったく、何処に行ったんだよ。こっちか?」
森の間から護が姿を現したのだ。その場に居た全員が護の方を見る。
「あっ」
「ん?」
そのとき霞の身体に巻いていたタオルがはだけ、綺麗な裸体があらわになる。
「いっ!」
「キャーーーーー!!!」
ガツンっ!
思わず目を背けようとした護に霞の奇声と剣が投げつけられ、頭に直撃する。
護はそのまま倒れこみ意識を失った。
その後、再びキャンプ場を後にし旅路に出たパーティ内で護は必死に霞に謝っていたが、霞はそれからしばらく口を利いてくれなかったらしい・・・。
あーとながきです。がおー。
どうも、ごぶさたしております。不肖すぎる作者でございます。
今回は閑話休題として、ちょっと旅の合間にあった護たちパーティの話を書いてみました。
話的にはたいした内容ではないんですが、何故書いたか?それは本編に入る前になんとなく書きたかったから!です。
今回の話は、まだレナスを仲間にする前の話です。なのでレナスは出てきません。
一応本編の話はまとまっててさくさくと続きを書きたいなと思っていたんですけど、いらん思考が働いて別の話を書いてしまいました。
実は最近、書きたいという衝動と、こんな駄作をわざわざ公開して恥をさらすのはどうよという葛藤に悩まされていまして、筆が進みません。はい、チキンです。
こんな駄目でチキンな作者でありますが、毎度お付き合いいただきありがとうございます。
では、また次回お会いしましょう。