表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界奴隷兵団  作者: 久保系
第一章 魔獣の森
3/26

森の中

 ゆっくりと意識が戻る感覚がある。なんだか、ふかふかしたものの上にいるみたいだ。まだ眠っていたかったが、重い瞼を開けてみる。


「…ここは?」


 俺はまだ生きているのか?だとすれば、人には生まれ変わらないという願いは、一旦お預けということか…残念。


 地面に触れてみると、ふかふかしたものの正体は土だった。もはや東京では殆ど失われた腐葉土が、絶妙な温もりを与えてくれていた。周囲は木で囲まれている。


「林…というよりは森っぽいな」


 ここにある木々は、苔の生え具合から、人の手が加わっていないように感じる。屋久島とかに生えてそうな木だ。しかし、何で俺はこんなところで眠っているんだ?まあ、寝っ転がりながらゆっくり考えるか。別に急いでいるわけでもないし。明日は会社があるって?そんなものは知らん!!


 首だけ動かしながら周りを見渡すと、金属らしきものが土に埋もれていることに気付く。起きるのは面倒だったが、ちょっと気になったので拾いに行くことにした。


「なんだこれ。オモチャの剣にしては、結構重みがあるな」


 装飾もしっかりしている。ちょっと古びてはいるものの、いぶし銀の輝きが、かえって神秘性を増している。


「ひょっとして、とんでもない美術品なんじゃないか?」


 念のため周囲を見渡し、誰もいないことを確認する。ふむ、落とし物なら拾ってあげなくては。決して盗もうなどとは思っていない。機会があれば、持ち主を捜すつもりだ。


 俺は剣を抱え、とりあえず森の出口を見つけようと歩き出す。しばらく歩くと、あることに気付いた。


「この森、想像以上にやばいぞ…」


 一体どこへ向かって歩いているのか、似たような景色のせいでわからない。そして、木々が太陽光を殆ど遮ってしまい、薄暗い世界が不安を増幅させる。せめて人が通った道でもあればよかったのだが、そんなものはどこにも見当たらない。


 …仕方がない。大声で助けを呼んでみるか。


「おーーーい!!誰かいませんかーーー!!」


 しばらく返事を待ってみたが、何も反応が無い。これはいよいよ詰んだかと思ったが、近くでガサガサと、地面を歩くような音が聞こえた。


「あっ。誰かいるんですか?」


 音のした方を見ると、そこには確かにいた。ただし、人ではない。大型犬ぐらいのサイズで、牙をむき出しにした黒い毛の狼?が、殺意をむき出しにしている。俺は暫く狼と睨み合い――――――――


 全力で逃げ出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ